SSブログ

研修は、1カ月で終わりました [ブータン]


この技能研修、注目してたんですよね。3月末にブログでもご紹介した際、募集案内には「2カ月」と書いてあった。3Dプリントの研修に2カ月は時間かけすぎやろと思ったので、シラバス入手できないものかと少し手をまわしたが、入手できなかった。でも、2カ月で募集をかけておきながら1カ月で修了させるって、そもそもシラバスがあったのかどうかも疑わしい。

そんな研修が、チュメ職業訓練校で5月27日に修了式を迎えたと報じられたわけだけれど、お詫びや訂正があるわけでもなく、淡々と修了したことだけが報じられている。僕もこんなに早く終わるとは思っていなかったので、ティンプーの知人から「Facebookにこんなの出てますよ」と知らされるまで、修了式の話はまったく知らなかった。

理由は何だったんでしょうかね。5月16日の労働人材省Facebookページには、同じような3Dプリントの研修を、ゲレフのジグミワンチュク電気訓練所(JWPTI)で行うとして、5月26日を応募締切日に募集開始するとある。研修開始は6月15日だそうだ。これもまた急な話だ。JWPTIは6月4日にファブラボを開所するので、それとの関連かもしれない。ただ、開所するためのファブラボJWPTIの代表者は現在ティンプーで研修中で、少なくとも6月いっぱいはその研修自体が終わらない。この代表者が不在の状態で、ファブラボを会場として提供してやっちゃうのだろうか。そしてその時のインストラクターは、チュメでのお仕事を終えられた韓国人のシニアの方なのだろうか。

5月31日、たまたま労働人材省の技術訓練局に伺う機会があったので、訊いてみた。元々JWPTIは同省傘下の職業訓練校で、今度ファブラボができて3Dプリンターが6台入る。さらに今後はここで3Dプリントの常設コースも開設するので、それに向けてさらに3Dプリンターが追加で導入され、15台ぐらいになるらしい。また、ファブラボの担当者が6月末まで不在なのも承知していて、6月15日からの研修をリードするのは、チュメ校と同じ韓国人のインストラクターなのだそうだ。

また、シラバスはちゃんとあるらしく、ショートリストに上がって外国人インストラクターからシラバス提供を求めて、それを評価してインストラクターを誰にするかを決めるらしい。外国人にこだわる理由は不明だが、欧米人だと人件費が高くつくので、韓国人やシンガポール人、タイ人、フィリピン人あたりが候補なんだとか。日本人も高いと言われた。



また、労働人材省のFacebookページは、通常技能研修の開会式か修了式の集合写真しか掲載しないから、実際にチュメで行われた研修の模様がよくわからない。ただ、おそらく研修生がデザインしたであろう作品の展示の様子も今回は写真掲載されていたので。これを見ればある程度のことは想像がつく。もし使用された3Dプリンターが1台だけなら、写真に載っているような展示作品を印刷するのにそもそも1カ月近くはかかると思われる。ひょっとしたら、何台かあったのかもしれないと思って労働省で尋ねてみたら、韓国人ボランティアが個人的に寄贈したものが1台、さらに韓国の企業が寄付したのが4台あり、都合5台体制で研修は行われたらしい。

印刷された作品はエッフェル塔だったり花瓶だったり、チョルテンだったり、透かし彫刻のランプシェードだったりする。入門編としてはありの内容だが、1カ月やるなら、障がい者の自助具を作るとか、チュメ校の配備機械のパーツとか、より実践的な内容も盛り込まれたら良かったのになと思う。労働省でその点を指摘したところ、「あ、それいいね。次回から考えます」と言われた。

併せてこの記事には、1カ月で習得したこととして、①Tinkercadを使った3Dモデリング基礎、②123D Designを使った3Dモデリング上級編、③中国Kingroon社製3Dプリンターを使った操作とトラブル対応、④スライサーソフトウェア「CURA」の操作、⑤印刷時のパラメーター操作が含まれていたとの記述もある。Tinkercadから入るのはよくわかるが、Autodesk社はすでに123D Designの提供をやめて、Fusion 360にシフトしている。インストラクターだった韓国の元シニアボランティアが123D Designに慣れておられたのだと思われるが、なんでFusion 360にしなかったのかは謎だ。

なんとなくどんな形で研修が行われたのかは想像ができてしまうが、うかつに想像だけで物事を述べるとあとで違っていたら恥ずかしいので、これ以上の憶測は僕の中で留めておく。

チュメで開かれて、次にゲレフでも開かれるのなら、いずれプンツォリンもあるかも。別にチュメ校やJWPTIからインストラクターに来てもらわなくてもいいので、プンツォリンはファブラボCSTを会場としてやらせて欲しい。そういう申し入れをしてくるのが今回の労働省訪問で、たぶん聞き入れてもらえたと思う。


Tinkercadから入るのは常套手段なので、僕たちも当地で先ず着手した大学構内に住む教職員の子女向けの3Dモデリング教室ではTinkercadを使っている。5月だけで3回の研修を行い、クラスPPからクラス12まで、のべ30人前後の参加者を得て2時間の教室を開いてきた。

Tinkercadはウェブベースだからダウンロードの必要がなく、インストラクターと生徒がデザインを巡ってコミュニケーションを取る場合のプラットフォームとしても使える。また、男の子の間ではMINECRAFTで遊んでいる子も結構おり、Tinkercadで作った建物や構造物をMINECRAFTに取り込む方法も教えている。

3Dプリントではないのだけれど、3Dモデリングだけでもできることがあると考えて主宰している。ファブラボCSTはまだオープンしていない。今できるのは、個人的に持ち込んだ3Dプリンターで印刷してみるぐらいなのだが、7月末にオープンしたら、もっといろいろできるだろう。

そういう実践がすでに現地にはあるのだから、プンツォリンで3Dプリント研修をやられる際には、会場はファブラボCSTにして下さいというお話し。しかも、僕たちは利用者との共創デザインを意識しているので、見世物ではなく、使える物をデザインしようという取組みを進めていきたい。他所で行われている3Dプリント研修でも、そういうのは意識して欲しいと期待したいところだが、少なくとも僕たちは、率先してそういうものを目指せるいい立場にあると自負している。

nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 7

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント