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『生き抜くための12のルール』 [読書日記]

人生というカオスのための解毒剤 生き抜くための12のルール

人生というカオスのための解毒剤 生き抜くための12のルール

  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2020/07/07
  • メディア: Kindle版

内容紹介
トロント大学心理学研究者による、人生における12の処世術を著した大ベストセラー。ソクラテス、ニーチェなど偉大な哲学者、心理学者たちの言葉を引用しつつ、現実世界の残酷さに対処するための、人生のあるべきふるまいを具体的に、また手厳しく教示する。
【購入(キンドル)】
今週は、新党DTT(Druk Thuendrel Tshogpa)がブータン選挙管理委員会で政党登録申請書を提出したことが報じられていたが、その党首であるキンガ・ツェリンさんと首都のロックダウン中の滞在先ホテルでの食事中の会話の中で、愛読書として二度三度と話題に出た本の1つが、ジョーダン・ピーターソンの『12 Rules for Life』であった。最初に話題に上ったのは1月下旬だったと思うが、その頃にキンドルで日本語版をダウンロードして、それで読み始めた。

しかし、この本、570ページもあって手ごわい。また、各章とも、章のタイトルとなっている「ルール」と本文の記述の関係があまりはっきりせず、読み進めるうちに、自分が今どこにいるのかがわからなくなってしまうことが何度もあった。1つのルールについて、平均すると45ページぐらい割かれている計算だが、たいてい就寝前の時間を読書に充てているため、章を読み切る前に寝落ちしてしまう。そうすると、再開する際に今何の話だったっけと思い出すのが大変だ。

だらだら読んでいたら、自分自身の中での読書の優先度も下がり、何度も何度も後回しにする結果となった。自分としては頑張って読み進めたつもりでも、まだ30%かと思うとガックリくる。結果的に読みかけの状態で2カ月近くも放置したが、これじゃマズいと5月に入って読込みを再開した。

本書で著者が語っている「12のルール」とは、それぞれの章のタイトルをベタで列挙したらこんな感じだ。(比較が変だが、有名な「ウルトラ五つの誓い」より、数は多くて具体的でない(笑))

[Rule 01] 背筋を伸ばして、胸を張れ
[Rule 02] 「助けるべき他者」として自分自身を扱う
[Rule 03] あなたの最善を願う人と友達になりなさい
[Rule 04] 自分を今日の誰かではなく、昨日の自分と比べなさい
[Rule 05] 疎ましい行動はわが子にさせない
[Rule 06] 世界を批判する前に家のなかの秩序を正す
[Rule 07] その場しのぎの利益ではなく、意義深いことを追求する
[Rule 08] 真実を語ろう。少なくとも嘘はつかないことだ
[Rule 09] あなたが知らないことを相手は知っているかもしれないと考えて耳を傾ける
[Rule 10] 正直に、そして正確に話す
[Rule 11] スケートボードをしている子どもの邪魔をしてはいけない
[Rule 12] 道で猫に出会ったときは、撫でてやろう

ルール自体が比喩的で、その意味するところは何なのかが字面だけからは想像できないルールも多々ある。たぶん、解説がないとルールの表記自体が腑に落ちないケースもあるに違いない。1つのルールについて45ページ程度費やして著者も詳述を試みているわけだが、挿入される逸話や過去の哲学者、聖書などからの引用等、それがどうこのルールに結び付くのかがにわかに理解しづらかった。翻訳の質の問題ではない。訳文自体は読みやすかったとすら思う。

もう1つの問題は、本書を電子書籍で読んだことだ。各章が長すぎて自分が今どこにいるのかわからなくなるという現象は、製本版の方ならその都度その章の冒頭にまでページをめくり、そこからの展開を各節の小見出し等をたどって簡単におさらいするということもできるわけだが、電子書籍はそういうことができない。文脈をつかみづらい。本書は、製本版を読む方がずっといい。電子書籍でこれだけ冗長な本を読むのはおススメできない。

そんな悪戦苦闘の後、3月中頃だったか、キンガさんが、「あれ読んだ?」と尋ねてきた。僕は、正直に、読みづらい本だと訴えた。すると、キンガさんもそれは認めつつ、「あれは、YouTubeと並行して読むとわかりやすくなるよ」とアドバイスを下さった。曰く、YouTubeでは、この12のルールを、ルールごとに著者が10分弱で解説する動画がアップされているので、それを見てから読むか、読んでから見るといいという。

もう、そこまでやろうという気力もなかったので、取りあえず5月は月内で必ず読了しようと心に誓い、YouTubeの解説など見ずにどんどん読み進めた。無事読了してホッとしているが、その後、このブログ記事を書こうと考えた時、もうちょっと中身の解説ができた方がいいと思ったので、日本語でもいくつか出ているYouTuberによる解説の1つをここで紹介しておく。



キンガさんも、これから選挙活動でいろいろメンタルのタフさを試されるのだろうと思うが、こういう愛読書の中からエピソードを拾い出して、自分自身の行動に当てはめていかれるのだろう。

冗長な記述で読むのがつらいなどと弱音を吐いてしまった本書の読書日記だが、各章で挿入されるエピソードには、繰り返しになるが、聖書からの引用や、ソクラテス、ニーチェ、ルソーなどの哲学者からの引用など、心理学者としての世界中から絶大な支持を集める著者の知識量とリサーチの規模を裏付ける記述に満ちている。いわば本書自体が一種の百科事典みたいなもので、「古典を読め」とよく言われる中で、その古典の中のエッセンスをいい感じで抽出してくれて、それを人生を生き抜くためのルールとして整理してくれている良書であるともいえる。言い換えるなら、他人、特に自分の子どもたちに何かを語るときの蘊蓄に使いやすいのである。(勿論、実践が伴ってなければ説得的ではないが。)

だから、取りあえず電子書籍版を読了した時点で今回は本書を紹介したが、この後、いつか製本版での再読を試み、その上でまたブログで読後感について語ってみたいと思っている。

12 Rules for Life: An Antidote to Chaos (English Edition)

12 Rules for Life: An Antidote to Chaos (English Edition)

  • 作者: Peterson, Jordan B.
  • 出版社/メーカー: Random House Canada
  • 発売日: 2018/01/23
  • メディア: Kindle版


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