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そこがバジョだから [ブータン]

バジョタン高等中等学校での水耕栽培実践
Hands-on hydroponic farming taught in Bajothang Higher Secondary School
Changa Dorji記者、BBS、2022年5月22日(日)
http://www.bbs.bt/news/?p=169659
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【抄訳】
学びのスタイルは皆が違うが、ほぼ全員が平等に学べるスタイルが1つある。実践的学習である。ワンデュポダンのバジョタン高等中等学校(HSS)の農業食料安全保障科目では、生徒は水耕栽培施設を通じて栽培の実践を学んでいる。

土壌を用いずに作物を育てるという水耕栽培がバジョタンHSSに導入されたのは先月のこと。今では、トマト、ニンニク、トウガラシ、レタスが、栄養素を溶かした水によって育てられている。この施設が設置されてから、学習環境はより面白さが増し、実践的になった。

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学校農業プログラムの部員を含む農業食料安全保障を学ぶ200人以上の生徒は、毎日この施設を訪れる。生徒は実践的栽培法を試すだけでなく、スマート農業の技術を学んでいる。

シャルミラ・ライさん(生徒)「2週間で作物を育てることができます。通常の栽培法だとほぼ1カ月はかかります。これなら誰でもできます。骨の折れる作業がないので、お年寄りでも自宅でできます。」

テショック・ワンポさん(生徒)「水耕栽培の実習クラスは役に立ちます。こういった知識があれば、職に就けなくても将来こういうビジネスを立ち上げて生計を立てることができると思います。」

学校関係者によると、水耕栽培は生徒たちにとって魅力的な学習センターの1つとなっているという。ドイツが支援する「農村開発」プロジェクトで、総額13万ニュルタムで施設が導入された。バジョタンHSSは、水耕栽培施設が設置された国内最初の学校である。

キンレイ・ドルジ副校長「生徒は非常に短期間で自分の育てた作物が実ることに興奮しています。生徒にとって水耕栽培は初めての体験。今まで見たこともない子もいたようです。」

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農村開発プロジェクトの事務所では、こうした事業を他の学校でも複製していくため、教育省と協議を続けている。加えて、生徒たちは、養魚、キノコ栽培、養鶏といった他のタイプの農業についても体験していく。

農業プログラムのバラエティの豊富さが評価され、バジョタンHSSは農業省から、2019年と2020年に最優秀学校農業賞を授与された。

昨年、2年ぶりにブータンに来てから、水耕栽培についてブータン人が言及しているのを耳にする機会がとみに増えた気がする。しかも、いろいろな立場の人がいろいろな視点から水耕栽培をポジティブに語っている。ある人は、「肢体に何らかの機能障害があっても自宅でできる」と仰っている。スペース確保の問題もあるので、水耕栽培の施設をモジュール化して、狭い場所でもできるようなモジュールが開発されれば、普及はそこそこ進むかもしれない。

この報道は学校ベースの水耕栽培授業の話だから、ある程度の広い敷地で、面的にもかなりの規模で展開できている。学校という教育施設で、実践による学習効果を意識すれば、そういうレイアウトになるだろう。でも、このレイアウトで民間事業として導入することを考えた場合、用地確保はなかなか困難だろう。

また、報道の中で生徒が「お年寄りでもできる」と言っているが、腰を曲げるのも大変なので、スペースの制約、収穫作業の負担軽減を考えるなら、水平展開ではなく垂直に展開できる水耕栽培のデザインの開発も必要となる。挿入されている写真を見ると、垂直に展開されているプラントもあるようだが。

学校がこういう実践的学習の場になっていくのは悪い話ではないが、現時点でブータンで水耕栽培施設をインストールした学校がここだけということなら、数を増やしていくにはそれなりに時間もかかりそうだ。例えば、先日ご紹介したユニセフのASEというプロジェクトと、このドイツの農村開発プロジェクトは、コラボできれば相当な相互補完性が期待される。そういう掛け合わせがもっと進められれば、学校は実践的学習や21世紀型スキル修得の場になっていけるし、また各々の学校が特徴を出していける。

僕たちにとっても重要な示唆でもある。僕たちはそれぞれの配属先での本来業務があるわけだけれど、「〇〇[×]学校」という視点で、地域にある学校とコラボしていくようなプログラムをちょっと意識しておく必要があるのかもしれない。

最後に、こういう施設は導入された直後はメディアにも注目されやすいが、数年経過してシステムに不具合が生じてきた時にどう対応できるのかも考えていないといけない(そう思ってしまうのは業界人の性だ)。6月3日にロベサのCNR(Colllege of Natural Resources)にファブラボができる。「バイオラボ」という。準地元ともいえるバジョで水耕栽培の実践がなされているのであれば、バイオラボ、というかそもそもCNR自体のマンデートだと思うが、水耕栽培の施設デザインの研究や、地元で入手可能な材料を用いた設備の研究はなされるべきだ。組織の縦割りを越えたコラボがなかなか難しかったとしても、少なくともバイオラボの役割は「地域のニーズに応えるファブラボ」である筈で、CNRでは対応困難なことも、バイオラボなら対応できる筈。自分がバイオラボの担当者だったらそうする。

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