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再読『作ることで学ぶ』 [仕事の小ネタ]

作ることで学ぶ ―Makerを育てる新しい教育のメソッド (Make:Japan Books)

作ることで学ぶ ―Makerを育てる新しい教育のメソッド (Make:Japan Books)

  • 出版社/メーカー: オライリージャパン
  • 発売日: 2015/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

Invent To Learn: Making, Tinkering, and Engineering in the Classroom

Invent To Learn: Making, Tinkering, and Engineering in the Classroom

  • 出版社/メーカー: Constructing Modern Knowledge Press
  • 発売日: 2013/05/07
  • メディア: ペーパーバック

【購入(原書の方はキンドル)】
2017年1月にご紹介して以来、5年ぶりに再読した。前回読了時に、読書メーターの感想で、僕は「長くてかなりの部分は飛ばし読みしたけれども、先ずはどこに何が書かれているかを知っておくだけでも有用で、実際に教育機関でメイカースペースの付設やその運営に関わるようになったら、その局面局面で必要な助言を得るのに本書は活用すればいいと思う」と述べていた。結局、今そういう立場に身を置くようになったので、久々に読んでみようという気になった。

前回の記事を読み直してみたが、意外と今回と同じようなことを感想として述べていたというのがよくわかる。その意味では前回の記事に内容紹介は譲ってもいいと思うが、今回強調しておきたいのは、飛ばし読みをしないほどに、今の仕事との関連性が強いという点だ。いずれ何かの機会に引用することも想定して、原書の方も併読して、同じ箇所にはマーカーを引いたりもした。

この本を今再読しようとしたきっかけは、藤原さと『「探求」する学びをつくる』を読んだことにある。この本の中で紹介されたハイ・テック・ハイは徹底的に探求型学習を突き詰めていった米国の小中高校の事例だったが、1つのプロジェクトにおいて、理系的要素も人文系要素も組み込んだ学習が指向されていた。実際にデジタル工作機械を使って手を動かすというのが学習過程で相当組み込まれていた。

だが、『「探求」する学びをつくる』は、ハイ・テック・ハイの当事者が描いたわけではないし、デジタル工作機械を使いこなす著者が書いたわけでもない。そこが僕にはちょっとした物足りなさになっていて、ちょっとモヤモヤしていたところに、『作ることで学ぶ』が僕の派遣元の現地事務所の資料室の棚に刺さっていたのを思い出した。これなら、元々の実践者が描かれた本だし、僕のモヤモヤを解消してくれるかもしれない。『「探求」する学びをつくる』の論点の再確認にもなるかなと期待した。

それで、実際に読んでみて感じたのは、やっぱり「生徒が自分で学び続けていける環境を作る」ことに相当なウェートが置かれているという点だった。

「教師がどう教えるか」や「教えるために教師は何を知っていなければならないか」といったことではない。新技術は進展が速すぎて、教師はついていけない。教師が教えられるようなところまで技術やスキルの武装が進められないと教えられないというのでは、いつまで経っても生徒は学ぶ機会が得られない。

僕たちの置かれた今の文脈では、「教師は教えるもの」と思っているこちらの教師に、「教師は生徒の学びをサポートするもの」とか、「教師は全知全能でなくてもよい、生徒と一緒に学んでいい」とかいうのを、どうやって理解してもらい、実践してもらったらいいのかが、相当大きな課題なのだと思う。

ごくごく断片的にではあるが、生徒自身の探求心に火が点いたら、すごい勢いで自分で学び始めるというのを、僕自身もこの目で見たことがある。僕は元々文系人間で、作ることについて考えるようになったのは50代になってからなので、自分が人に教えられることなんてごく限られている。

そんな僕が、理系人間の集まりである工科大学でできることって、「教えること」じゃなくて「聴くこと」なのではないかと思う。また、理系的、工学的な領域での知見なんてほとんどないが、それ以外の領域でなら僕がすぐれているところもないこともないし、そういう人が混じっていることで、生み出せるイノベーションもあるのではないかとすら思っている。

今週、いよいよ僕は任地入りする。そこでの活動で道に迷った時、このマーカーを引きまくった本を時々読み返し、自分のあるべき姿を確認することにしたい。

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