果樹植林の行く末 [ブータン]
百万本の果樹植林事業がスタート
Million Fruit Trees Plantation Initiative launched
Samten Dolkar記者、BBS、2022年3月15日(火)
http://www.bbs.bt/news/?p=166763
若者を農村に近づけ、食料安全保障の促進にも、農民支援にもつなげるため、今後2.5ヵ月をかけ、国内各地で果樹植林が行われる。このプロジェクトは、国営DeSuung奉仕事業の一環で、農業省が協力する形で本日ローンチが行われた。2,000人のDeSuupが関わる予定。
ティンプーでは、42本の苗木がチャン・ゲオッグ(郡)の3世帯に配布された。アーモンドやナシ、桃、アボカドなどから成る22種類の果樹の苗木が農業省により国内各地の農村世帯に配布される予定。苗木の配布は、土地や各世帯の関心に応じて配布される。
「私たちのような農民は、いい苗木をどこで調達できるのか知りません。今日は政府が私たちに苗木をタダで下さいました。研修もして下さいます。私たちの大きな助けとなってくれることでしょう」と副郡長。農業研究開発センターで研修を受けた200人を含め、約2,000人のDeSuupが農家を支援する。
「20県でこのプロジェクトを発足させ、これまでに1,334人のDeSuupを動員しました。彼らは研修を受けています。国王の理想は農家の所得を向上させることです。また、ほとんどのDeSuupは都市部にいます。彼らは農村での人々の生活やその直面する困難というものを知りません。果樹はどのように栽培されるのか、どの土地にどのような果樹が適しているのかも知りません。なので、このプロジェクトは彼らに新しい知識を得てもらうのに寄与するでしょう」と、DeSuung事務局長。
「3~4年後には、通常これらの樹種は実をつけます。その後は毎年、3万3,000トンの果実を収穫できると見込んでいます。そして、これによって、農家の所得は向上し、また園芸と栄養に関する私たちの目標の達成にも寄与するのです」と農業局長。
温帯気候地域のゲオッグには40万本以上の苗木が配布され、また亜熱帯気候地域のゲオッグには50万本以上が配布される予定。配布は今年5月末までには完了予定。
半月も遅れての記事紹介で申し訳ありません。記事紹介の前にちょっと確認してきたかったことがあって、少し寝かせることにしました。
確認したかったことというのは、2017年7月に僕自身が関わった植林の現場の様子であった。メガゾーン内の移動が許される状況になってからちょっと歩いて確認に行ってこようと考えていて、それを20日(日)にようやく実現させた。
それで、わかりますか?あれから5年が経過して、あまりにも育ってないわけです。当時植林した苗木の樹種は果樹ではなかったので、実は結ばない。でも、生育はほとんどしていなかったというオチ。
当時から、この時の主催がティンプー市役所だったこともあったし、オーナーシップが明確でないのも気になっていたので、うまくいかないだろうなと予想はしていた。市役所の人にも、植樹に来られた方々にも、それぞれに苗木に植樹した人の名前のタグを付けて、あとのメンテも責任を負ってもらったらどうなのかと僕は提案していたが、採用されなかったし、僕も僕で結局後のフォローをまったくしなかった。で結果は案の定だったというわけだ。
その経験を踏まえれば、少なくとも農家の私有地に植えられたと思われる今回の果樹植林はまだましなのかもしれない。しかし、それでも気になるのは、研修の対象がDeSuupであって、農家でなかったということである。どんな研修だったのかはわからないが、DeSuupが栽培全般について研修を受けたわけではないだろうし、植林作業には動員されたとしても、今後の樹木のメンテまでは彼らはやらないだろう。
では農家はどうかというと、農家には辛うじてオーナーシップは多少あるだろうが、栽培の研修を受けたわけではなく、植林もDeSuupにやってもらってるから、そのオーナーシップも大したことはないだろう。放置して、害獣対策も害虫対策もやらないだろし、当然剪定作業なんかもやらないだろうから、どう苗木が育つのか、推して知るべしといったところだろう。それでうまく育たず、果実も収穫できなかったら、「苗木の質が悪い」とか、「DeSuupが後のケアをしてくれなかった」とか、「メンテナンスの研修をやってもらえなかった」とか、何かしらの言い訳がなされるのだろう。
自分も失敗の片棒を担いだ経験があるだけに、非常に複雑な心境である。
それと、都会しか知らないDeSuupに、農村生活の厳しさを見せてどうすんのというのも気になったポイントである。むしろ、農村もいいところだと思わせるような仕掛けの方が必要だったのではないかと思うが、それは農家が受け身でいては絶対に実現できないだろう。
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