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『メタバースとは何か』 [仕事の小ネタ]

メタバースとは何か~ネット上の「もう一つの世界」~ (光文社新書)

メタバースとは何か~ネット上の「もう一つの世界」~ (光文社新書)

  • 作者: 岡嶋 裕史
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2021/12/24
  • メディア: Kindle版
内容紹介
フェイスブック社が社名を「Meta」に変更すると発表した。「Meta」とは「Metaverse=メタバース」の「Meta」である。では「メタバース」とは何か? ITに関するわかりやすい説明に定評のある岡嶋裕史氏(中央大学教授)が、その基礎知識から未来の可能性までを解説。「メタバース」は第四次産業革命に匹敵する変革を我々の日常にもたらすのか? はたまた、ただのバズワードで終わるのか?
【Kindle Unlimited】
28日(金)からブータン政府が行っている、首都ティンプーでの「マス・スクリーニング(全世帯PCR検査)」で、僕が滞在しているホテルの目の前の検査会場で、6人の陽性が確認されたと今朝報じられた。本来なら首都のロックダウンは今日までの予定だったが、首都のど真ん中の商店街で陽性者が出たことで、少なくとも感染経路が特定されるまでは、ロックダウンは延長されるのだろう。

何度かブログでも書いてきたが、コロナでこんな状況になっても、自分にできることが何かないのかと、考え続けている。僕らの日常にZoomやTeamsを使ったオンライン会議はかなり入ってきているが、主催する人も参加する人も、ネット接続に不安があるため、皆が顔を伏せるので、意外と没頭できない。少し前に出てみた勉強会で、顔を伏せたからといってネット接続環境が大幅に改善するわけではないと聞いたので、僕はなるべく顔出しを心掛けている。

もっと面白かったのは、一度出前で講習会に出向いた際、プロジェクタと僕のPCをつなぐことができなかったため、プロジェクタではなく、急遽Zoomに切り替えたことがある。講習会参加者は全員目の前にいるのに、皆がZoomの画面共有を見て、僕がやっている操作を確認していた。ああ、こういうZoomの使い方もあるのかと、自分でも勉強になった。

話が脱線した。ホテルからあまり出られなくなってからというもの、1日三食はホテルのレストランで、オーナー夫妻が作って下さる食事をいただいている。お陰で普段よりも会話の機会は多いくらいで、毎回食卓での雑談があるが、ご主人の方は毎日Zoom会議に出ておられるご様子で、食卓の話題に「メタバース」が頻出するようになった。僕自身はあまり自分の言葉としては使ったことはないが、話を合わせるためには少しぐらいのキャッチアップは必要かと思ったので、今週末の週末読書として、Kindle Unlimitedで無料ダウンロードできる本書に目を通してみることにした。

本書における「メタバース」の定義は、「現実とは少し異なる理で作られ、自分にとって都合がいい快適な世界」というものだ。生活の大部分をそちらの世界へ移してしまいたいという要望に応える。メタバースは仮想現実なので、現実ばなれ(リアルばなれ)した『都合のいい世界』を作ることができる。その都合のいい世界を作るための要素技術としては、VRやアバターがあるのだという。

また、「リアルばなれ」を指向しているから、リアルの世界と仮想世界の併存と、仮想世界からリアル世界へのフィードバックを前提としているAR(拡張現実)やMR(混合現実)と、VR(仮想現実)を分けて著者は捉えていて、後者の方だけを「メタバース」と定義している。

そういう前提で読んでいくと、ホテルオーナーが言う「メタバース」と言うのは、ARやMRのことであって、著者は「デジタルツイン」や「ミラーワールド」という言葉をこれに充てている。著者によると、「メタバース」という言葉は、人により異なる定義で用いられているので注意が必要だという。

わざわざ出社しなくても、在宅で仕事は捗る。大勢が公共交通手段を利用して、ある職場に集まって1日を過ごすというのを無くせば、CO2排出削減にもつながるし、通勤時間という時間の浪費も減る。在宅では集中できないなら、近所のシェアオフィスでもいい。それでも通勤時間は少なくて済み、シェアオフィスでの利用者間のコミュニケーションから、新たなコミュニティビジネスの芽だって生まれてくるかもしれない。

確かに、僕自身も社会人になってからずっと腸に不安を抱えていて、通勤中にお腹が痛くなる経験を何度もしているから、それから解放されるのは救いだ。2019年度を過ごした部署では上司のパワハラもあって、通勤途中で胸が苦しくなったこともあった。上司のパワハラと距離を置けるのも、こういう通勤途中で胸が苦しくなるようなリスクから解放されるのもありがたい。さらに言うと、在宅でZoomを使って仕事して、さらにARやMRの環境が組み合わされば、相手の表情が見える中でのオンライン会議なんてのもでき、たとえ職場から遠く離れていても、仕事に大きな支障はないというライフスタイルを選択できるかもしれない。

良いことづくめだ、確かにこれはめざすべきだ。ただ、これはそもそもうちのホテルのオーナーのように、仕事がある立場の人、参加が求められる立場にある人だから言えることである。

ただ、本書のポイントはそこではないと思った。著者はこんなことを書いている。

 リアルが複雑化してその運営が行き詰まり、しかし個人主義の浸透で「人生を楽しめ」と圧がかけられ、敗者として生きることさえ許されなくなった。オンリーワンで価値ある人生にしろとすり込まれるのである。言う人はきっと強いのだろうが、リアルにそんな席は用意されていない。それでも人生を楽しめと言うのであれば、仮想現実は人生を過ごす環境として十分に選択したり得るのである。現実から目をそらさずに考察すると、もう仮想現実の中にしか希望はないのだ。それを逃げと見る人もいるだろうが、リアルよりもっと楽しい場所を探す開拓者と捉えることもできる。

つらいことも多い現実世界からの離れての「安らぎの場」として捉えているのである。そして、そもそもメタバースの開発ではフェイスブックやグーグル、マイクロソフト等がしのぎを削っており、僕たちはメタバースのインフラ開発への参入などできない。メタバースで巨利を得る大企業に課税して、僕らはメタバースの利用者となり、ベーシックインカムを受給しようというような政策制度設計の議論までされているのである。

今後の僕にVRを前提としたメタバースへの関与の余地がどのあたりのあるのかと考えたが、本書を読みながら、昔胸をときめかせたけれどもどうしても購入できなかったスーパーカーの運転の擬似体験をするとか、しげの秀一『頭文字D』のようなドリフト体験、ダウンヒルバトル体験とか、この齢のオジサンであってもできたら胸が躍るなと思った。

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