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ペマガツェル綿花栽培の再興 [シルク・コットン]

ペマガツェル県トンサ村の関心は綿花に
Cotton, a growing interest at Thongsa village in Pema Gatshel
Thinley Dorji記者、BBS、2022年1月22日(土)、
http://www.bbs.bt/news/?p=164970
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【抄訳】
この国の豊かな織物文化は、現存する数少ない古代アートの1つである。ペマガツェル県トンサ村では、かつて綿花を栽培し、そこから糸を紡いでいた織り手も、輸入織物をお金を出して買うことに依存してしまっていた。しかし、今、地域に設置された綿花加工工場のおかげで、人々は再び綿花栽培に興味を持ちはじめている。

導入された機械は綿繰りと梳綿の工程を実行するものである。この2工程は、村民によると最も難しい作業だという。綿繰り機はリントと種を分離する工程で、梳綿は繊維をきれいにして柔らかくする工程を指す。以前は、これらは手作業で行わねばならなかった。そのため、ほとんどの織り手はお店で糸を購入することを選ぶようになったのだという。

「以前、これらすべての作業は手作業で行わねばなりませんでした。1キロの綿花から種取りを行うのにまる1日かかります。でも、今では、私たちは数時間でこの作業を完了することができます。何キロもの綿花の種取りと梳綿を簡単に終えることができます」―――トンサ在住のソナム・ザンモさんはこう述べる。

「以前なら、種取りには脱穀装置を、梳綿には弓を使っていました。なかなか大変でした。機械のおかげでそれがとても簡単になりました。だから私は今、もっと綿花を育てることを考えています」―――シャチャ・ペルドンはこう述べた。

「以前なら、風のせいで、私たちの作った綿が吹き飛ばされていました。でも、今はこの作業を屋内で行っているので、問題にはなりません」―――こう言うのは、ツェリン・ぺルドンさんだ。

この加工部門は、伝統工芸新興庁(APIC)による130万ニュルタムの支援で加工場が建設された後、2019年から完全機能するようになった。APICはその3年前から、すでに約170万ニュルタムを拠出して機械調達・供与を進めてきていた。

「ここに移転する前は、ゲオッグ集会場でこれらの機械を利用していました。集会が開かれていない時に、私たちはここで働いていたのです」とツェリン・ぺルドンさん。

「数年前に機械を調達しましたが、適切な建屋がなかったため、適切な利用ができずにいました。機械はゲオッグセンター(郡庁)で保管されていました。機械を使いたいという時に限って、そこでは会議やその他の公式の行事が行われていたのです」―――ケルザン・ジグミさんはそう振り返る。

何年もの間、トンサの人々は主にゴとキラを綿糸だけで織り続けてきた。今日、全35世帯のすべての女性が伝統を引き継いでいる。各世帯は、年間150〜200キログラムの綿花を栽培している。

最初の赴任でブータンに来た時、ブータンでも綿花が採れて、それが「トンサ」だと聞き、ずっとそれが「トンサ県」のことだと思っていた。さすがにそういう関心を抱きつつ3年も駐在していると、どこかでその認識の訂正の機会が訪れる。「トンサ県(Trongsa)」ではなく、ペマガツェル県チョンシン・ゲオッグの「トンサ村(Thongsa)」なのだそうだ。日本人の僕にはこの微妙なスペリングの違いと、それに伴う発音の違いがまったく聴き取れないが、ブータンの人にはわかるのだという。

さて、ブータンの綿織物については、以前ブログで取り上げたことがある。「消えゆく綿織物の灯」(2019年4月1日)がそれで、しかもその記事では、僕がこのペマガツェル県トンサ村を訪問した時の写真も何枚か掲載し、訪問して学んだことについてもいくらか述べていた。

今回のBBSの報道では、種取りと梳綿という2つの工程を手作業で行うのが大変で、機械化されて助かっているとあったが、以前ブログで紹介した時には、この伝統的な手作業の部分ばかりを写真掲載していたので、導入された機械が実際に動いているところを撮影した写真や動画を披露することができずにいた。

今回のこのBBSの報道に加え、前の記事で述べた通り、首都がロックダウンになって以降、僕は動画編集に少しハマっており、この際だからトンサ村訪問時に撮っていた動画も編集して、伝統的な工程と機械による工程との対比を試みることにした。こういう対比をやる時には、動画は役に立つ。スマホで撮っていたことや、僕自身の撮影スキル、そして動画編集スキルが高くないこともあって、あまりいい動画には仕上がっていないが、是非ご覧下さい。


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