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再々読『FabLife(ファブライフ)』 [仕事の小ネタ]

FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)

FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)

  • 作者: 田中 浩也
  • 出版社/メーカー: オライリージャパン
  • 発売日: 2012/06/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
【蔵書】
1年前に「再読」として紹介したばかりなのに、今回また読み直した。座右に置いて、何か迷いが生じた時にはその都度手に取ってみるような1冊なのだが、節目節目で時々読み直すと、前回よくわからずにスルーした箇所が、今回は「そんなことまで書かれていたのか」と気付かされることもあり、自分の成長も確認できたりする。

特に、本書で紹介されている米MITの「(ほぼ)なんでも作る」コースの事前準備のための機械操作習熟研修がここブータンでも行われており、その様子をたびたびファブラボ・ブータンで見ていたから、本書の著者がMITの14週間講座に参加した際のレポートの記述がしっくり理解できた。ブータンでの研修の様子や、参加者との会話の中で頻出していたデザインソフトのほとんどは、本書においても言及がある。

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僕はMITの講座から派生したファブマスター養成講座「ファブ・アカデミー」を、いますぐ受講するつもりはない。でも、おそらく近い将来には受講する。その時までに、少なくともやっておいた方がいいことは何か、特に来年1年間で底上げした方がいいスキルは何なのか、それが確認できたのは再々読の収穫だ。

実は、今回は、「迷い」というよりも、今年4月頃からずっとしこっていた懸案事項に自分なりのケリをつけるための再読だった。

その点については、自分が行った新規事業の提案で最も欠けていたピースは、ファブマスターになり得る、ファブのコミュニティからも名の知られた社内人材なのではないかと気付いた。現状、縦割りの組織の中で、「(ほぼ)なんでも作れる」というプレゼンをしていて、どこの部署も拾ってくれない鬼っ子状態に陥っている。変に妥協して特定の部署に提案内容を寄せると、他の事業がやりづらくなり、結果いびつな事業になってしまう。僕の提案内容よりも組織・制度の建付けの問題だと僕はずっと考えてきたけれど、実は最も致命的なのは、事業の顔となる「マスター」を、組織内で確保する目途が立たない点にある。

また、今の仕事が終わって日本に帰り、僕が漠然とやりたいと思っていたことが、本書の再々読の過程で、少しだけクリアになった。所属組織にこだわってそれに寄せる内容の事業提案をしてきたわけだが、組織所属にこだわらなければ、そして提案していたタイムラインにこだわらなければ、事業のやりようはあるし、それまでに自分のスキルを上げて、「マスター」的個性を見せていければよいのかもしれない。

要は、組織に属さずともやりたいことはできるということだ。そう考えると、すごく気が楽になった。

最後に、同じ書籍を何度も読み返していると、その都度新しい記述が心に刺さるという経験をする。今回は「オープンソース文化とデザイン」に関する記述がそれで、前回までにはあまりクリアに理解できなかったけれど、今回はそこが明確になったのが大きな収穫だった。

 これまで数年間ファブラボの活動を行ってきて、日本では多くの人がデジタル工作機械の新しさには興味を持つものの、一方のオープンソース文化についてはまだきちんと共有できていないと感じる場面が多くあった。「デジタル工作機器の普及」と「つくる知識の共有・交換」はファブラボにおいてつねに両輪であり、2つが有機的に絡みあっていかないと、本当の意味でのパーソナル・ファブリケーションは耕されないはずだ。(p.184)

これは、ブータンのファブラボ関係者を見ていても感じる重要なポイントで、かつ僕自身もこの話をする時に「オープンソース」を端折ってしまうことがたびたびあった。自戒の意味も込めて、ここではその点を強調しておく。

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