地方高校でのハッカソン報道で思ったこと [ブータン]
サムツィ後期中等学校生、ハッカソンで11個のアプリを開発
Students of Samtse HSS developed 11 mobile applications
as part of hackathon
Passang Dorji記者(サムチ)、BBS、2021年9月9日(木)、
http://www.bbs.bt/news/?p=157155
【抄訳】
コーディングやコンピュータープログラミングはブータンの教育システムに最近導入されたばかりの課題だが、生徒からは好評である。 例えば、サムツィでは、コーディング導入からわずか1年で、サムツィ後期中等学校(HSS)の生徒は、今年行われたハッカソンイベントで、11の携帯アプリを開発した。
生徒たちは、通常の授業の後学校に戻り、次のハッカソンに向けてそれぞれの携帯アプリに取り組んでいる。 ITラボでは、ICT教師が彼らをサポートすることになっているが、彼が呼ばれることは滅多にない。
コンテスト当日までに、生徒たちは、簡単な情報共有アプリからCOVID-19対応助言アプリまで、11の携帯アプリを作成することができた。そのうち、音声アシスタントとカウンセラーとの連絡機能を持つアプリ「Semkham」が、今年のハッカソンの優勝者として発表された。
「私たちは、カウンセラーの代わりとして、このアプリを思いつきました。就職活動、面接スキル、セルフケア、簡単なゲーム、クイックダイヤルオプションなど、さまざまな機能があります」――こう説明するのは、Semkham開発チームのメンバー、ツンドゥ・パルデン君だ。別のメンバー、カマル・ロデ君もこう述べる。「このアプリはあなたにうつ病や不安に対処する重要なヒントを与えてくれます。同様に、就職の面接などに関する情報も含まれています。」
(後半に続く)
同様に、さまざまな重要な情報と機能を備えたアプリ「ShayTshub」が次点に選ばれた。 「ShayTshubと名付けられた理由は、アプリに合計5つの異なる機能が含まれるからです。オンラインカメラ、QRスキャン、世界地図、天気図、重要なニュースがあります」――開発チームのメンバー、ハズィン・プンツォ・デマさんはこう紹介した。
生徒が携帯アプリについて学び、自ら探索し、アプリ開発に至るまでに要した時間はわずか14時間だった。「私たちは彼らに最小限のことだけ教えました。私たちは紹介したのはapp inventorと呼ばれるオンラインプラットフォームです。私たちが行ったのはオリエンテーションだけで、その後、彼らに自分自身で探求するように求めました。そして、ハッカソン終了時までに、生徒たちは使用可能なアプリを作成することができました。」サムツィHSSのIT教師であるソナム・ワンチュクさんはこう述べた。
今年は約100人の学生が参加を表明した。しかし、資金や能力の制約から、参加者を40人に減らす必要があったという。その選抜は、中間試験におけるICT科目の成績に基づいて行われた。そして、ゲルポシンIT単科大学の専門家が彼らの作品を審査した。肯定的な提案やコメントにより、生徒たちは携帯アプリのさらなる改善に向けた新たな動機を得た。
プログラミング教育の方向性について懸念の声を度々上げてきた本ブログであるが、こんな学校もあるんだというのに驚いた。しかもプンツォリンから車で約2時間(但しインド経由…)のサムツィの学校である。そんな学校で、ハッカソンを企画したというのが驚きで、僕はこの報道を今回取り上げた。この学校が単独でハッカソンを開催したのだろうか。それともどこかが協力したのだろうか?
ひょっとしたらゲルポシンIT単科大学?最近、この大学から比較的近いマウンテン・ヘーゼルナッツの農場でコロナの影響から一時帰休させていた従業員76人を8月末で解雇したのが話題になっていたが、この農場のIoT実装への協力要請に応えなかったと噂に聞いたゲルポシンは、コードを書いてアプリ実装するだけなら遠方の高校の協力要請にも応えられるということなのだろうか。
もしそうだとしたら、同じくIT学科があるプンツォリンの科学技術短期大学(CST)にも応じられるキャパシティはあるのだろうと、ちょっと嬉しい気持ちになる。但し、コード書いてアプリ実装するだけなら面白くない。さっきの話じゃないが、センサーやアクチュエーターを備えたIoTデバイスとつなげるような、実体をいじって何かを作る、そんなハッカソン(いや、メイカソンか)ができるようになったら、CSTにとっての売りになるだろう。
だから、隣県のサムツィのこの生徒たちにも言いたい。
「そろそろ何か作りたくならない?」
《西餅『ハルロック』第3巻より》
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