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『地震イツモマニュアル』 [仕事の小ネタ]

地震イツモマニュアル (ポプラ文庫)

地震イツモマニュアル (ポプラ文庫)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2019/08/01
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
特別なことはしなくていい。「イツモの暮らし」が備えになる防災マニュアル。地震だけでなく台風や豪雨でも役立つ備え方をイラストでわかりやすく紹介。グーグルやアップル、東京ガスなどが防災に役立つ情報を紹介するコラムや防災グッズ一覧も必見です。
【購入】
今年7月、東京で暮らしている妻とのやり取りの中で、追加の物資をEMS便で送ってもらえることになった。5月の慌ただしい日本出発前のパッキングで置き忘れてきたもの、その時の判断で日本に残してきたのに、来てみたらやっぱり必要だと感じたものが何点かあったからだが、この際だからというので、カップ麺や粉末スープ等の食材も加えてもらい、さらに何冊かの本を僕の方で追加で購入して、届いたものをまとめてEMS便の中に入れてもらった。1ヶ月もかかったのは意外だったが、先週無事に僕のところに届いた。

その中に入れていたのが本日ご紹介の1冊だ。ブータンも地震国だから、地震の備えとして何をやっておけばいいか、コンパクトにまとまっている参考書を手元に置いておきたかった。

ちょうど、先週土曜日(9月4日)の全国紙クエンセルに、世界食糧機関(WFP)のブータン事務所長の寄稿が掲載された(Svante Helms "Is Bhutan prepared for an earthquake?")。内容的にはWFPが国連機関を代表してブータン政府と取り組んでいる地震災害対応策の紹介だったわけだが、その中に、こんな一節があった。

WFP also partnered with UK’s Durham and Newcastle Universities to research the potential impact of earthquakes on Bhutan. This Earthquake Impact Assessment Model assessed a range of possible seismic scenarios, with corresponding impacts across each of the 20 different dzongkhags during the day and night. Given Bhutan’s current range of preparedness, Bhutan’s worst-case scenario projection showed that an earthquake at night could cause at least 9,000 fatalities, 10,000 serious injuries and displace more than 40,000 people. Given that Bhutan’s entire population is barely 750,000, the potential scope of the damage is truly significant.

翻訳するのが面倒くさかったので、原文をママで転載したが、要すればWFPが英国の2つの大学と共同で行った地震のインパクトに関する研究で、最悪のシナリオとして、夜間に地震が発生した場合は少なくとも死者9,000人、重傷者10,000人、避難を余儀なくされる人が40,000人以上出ると予測されている。このシミュレーションの全貌はわからないが、おそらく最悪のシナリオというのは首都直下型地震だから、人口が10万人強のティンプーでは、相当高い確率で僕らは死傷することになる。恐ろしい。

限られた紙面の制約もあったからだろうが、この寄稿でちょっと残念だったのは、防災でよく言われる「自助・共助・公助」のうち、「公助」の部分のみにフォーカスしているように読めてしまう点だ。いざとなったらお互いに助け合うような「共助」の土壌は、ブータンには日本以上に残っていると僕は思っているのでいいとして、それらの前提となる「自助」の部分への働きかけは、あまりこの寄稿からは読み取れない。

とは言っても僕自身「自助」はちゃんとできていない。日本で暮らしていた頃は、耐震構造の家に住んでいたとはいえ、電気・ガス・上下水・食料備蓄・連絡手段・家具の転倒防止・落下対策・応急手当等、本書でカバーされている項目のほとんどについて、あまり意識していたとは思えない。

読みながら、自分自身の用意のできていなさ加減が怖くなった。家族の安全を確保する責任を果たしてこなかった世帯主の不徳を痛感させられた。今は世帯主からは外れているものの、東京に残してきている家族に対しては、執拗すぎるくらいにこのあたりは強調するようにしよう。

その上で、できればやりたいのは、このマニュアルをベースにして、ブータンで各自でできる地震対策が何かを考え、できる限り実践することだ。

前回も含めて、こちらにいる間に何度か地震は経験した。オフィスにいた時、どう行動したらいいかわからずボーっと立ち尽くすブータン人と違い、机の下に身を隠すなどの初動はしていた僕は、彼らの様子を見ていて「これはまずい」と思ったものだ。でも今は、自分自身も本来の任地に入らせてもらえておらず、あてがわれた首都の仮オフィスには同僚は少なく、宿舎もホテルなので普段から単独行動が多いスタイルで暮らしている。そうすると、巨大地震に襲われた時、机の下で身を隠したまではいいものの、その先の行動がどうとれるのか…。何をやったらいいのかわからず立ち尽くすのは、次は僕自身なのではないか…。リアルにイメージできてしまって恐ろしくなる。

ですので、本書の枠組みを参考としつつ、どこでどのような支援が受けられるのかを調査し、必要と思われるものはここにあるものをハックして何とかやり繰りし、食料や水の備蓄は進め、どうしょうもないものは日本からお取り寄せも考える、それを数カ月でやってしまいたいと思う。

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