手に入れたい、ナノンのジャゴリ [ブータン]
ナノンのジャゴリ生産、パンデミックで苦境に
Pandemic affects jaggery business in Nanong Gewog, Pema Gatshel
Thinley Dorji記者(ペマガツェル)、BBS、2021年8月25日(水)、
http://www.bbs.bt/news/?p=156194
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【抄訳】
ペマガツェル県ナノン郡(ゲオッグ)のジャゴリはとても人気がある。サトウキビ圧搾汁を固まるまで煮て作る。ナノン郡内のパンタン、ツァチ村のほとんどの村民にとって、それは主な収入源の1つである。しかし、現在は主にパンデミックにより需要が減少し、多くの農家がサトウキビ栽培を躊躇している。
ノルブ・デマは、かつて約1エーカーの土地でサトウキビを栽培していた。しかし、パンデミックのため、彼女はサトウキビの作付を減らす必要にかられた。「これまで、私たちのほとんどは大規模にサトウキビを収穫してきました。しかし、パンデミックの中、ジャゴリを仕入れに来る人は多くありません。また、国内移動制限のため、売りに行くこともできません。そのため、サトウキビ栽培を減らす必要がありました。」
ジャゴリ販売により、各世帯は年間5万から30万ニュルタムの収入を得ていた。しかし今、収入はほぼ40%減少している。
別の村民であるゲドップは、自分の収入は約50%減少したと言う。彼は、自分の製品が劣化するのを防ぐために、サトウキビ圧搾汁を樽に保管した。「以前なら、すべてジャゴリにして売る方が簡単でした。でも、国内移動の制限のため、私たちはそれを人々に売れなくなりましたた。集められた15バレルのサトウキ圧搾汁で、私は9バレル分しかジャゴリを売ることができませんでした。」
ナノン郡の2つの村の約100世帯がサトウキビを収穫し、ジャゴリを生産している。ジャゴリは、体を浄化し、消化を助ける機能など健康上の利点で知られている。
ジャゴリ(赤糖)は、たぶん国内見渡してもナノンでしか生産されていないんじゃないかと思う。手に入るのは、谷間に展開するナノンの村々から東側の尾根を上り、国道沿いにあるナルフンの集落の露店で、しかも直径5センチぐらいの二枚貝の上下のように、ペアで売られている。口にするにはデカすぎ、できればもっと小口のブロックにしてくれたらいいのにと思う。ペアなのは宗教上の理由だと聞いたが、なぜこの形なのかというと、型枠が木をくり抜いて使われているからだ。ここにもうちょっとセンスのいい型枠を持って行けたら、小口のブロックにして売りやすくもなると思う。ナノンは東部でも相当最貧困に近いゲオッグだから、売れる農産加工品というのは貴重な収入源だった筈だ。
ただ、ハチミツはともかく、ジャゴリは国内どこのマーケットを見てもあまりお目にかかる機会はない。ナルフンでしか見たことがない。流通手段が極端に限られていて、西部ではほとんど手に入らないのではないかと思われる。だから、BBSのこの報道を聴いた時、いったいどこから買い付けに来ていたのかがすごく気になった。せいぜい、タシガンかサムドゥップジョンカルあたりまでなんだろうが。
売れないのなら換金作物の作付は抑制して、自家消費用の穀物や野菜を作る方にシフトするのは致し方ないと思うが、また復活して欲しいと思う。早くコロナ禍が終息することを祈るしかない。なかなか実現に漕ぎ付けるのは難しいかもしれないが、万が一にも東部に行ける機会があれば、デジタル工作機械を駆使して型枠をいくつかサンプル作って持って行きたい、
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