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『Regulatory Hacking』 [仕事の小ネタ]

Regulatory Hacking: A Playbook for Startups (English Edition)

Regulatory Hacking: A Playbook for Startups (English Edition)

  • 出版社/メーカー: Portfolio
  • 発売日: 2018/06/19
  • メディア: Kindle版
内容紹介
すべてのスタートアップは世界を変えたいと思っている。しかし、本当にインパクトをもたらすようなスタートアップは、他の人が知らないことを知っている。それは、政府と規制を自分たちのために機能させる方法である。スタートアップはテクノロジーを駆使して我々の生活、仕事、学習の方法を形作っており、ヘルスケア、インフラ、教育などの分野で課題に取り組んでいる。そこでは、Siriとのユーモラスなチャットやあなたの玄関に転がっている間違ったパッケージよりもはるかに重要なことがある。これらの新興企業は必然的に、規制を通じて市民を保護する責任を負う政府と対峙せねばならない。好む好まないにかかわらず、我々はデジタル革命の次の時代、規制の時代に突入しているのだ。この時代に大勝利を収める者は、そのインパクトと経済的利益の両方の観点から、ビジネススクールやほとんどのスタートアップインキュベーターでは教えられないスキル、つまり政府と深く絡み合っている業界でビジネスを拡大する方法論を必要としている。そして、本書は、規制時代を勝ち抜く方法に関する手引きを提供しようと試みる。 「規制ハッキング」は「官僚的形式主義を切り抜ける」という意味ではない。本当に複雑な市場をナビゲートするための創造的で戦略的なアプローチを見つけることである。著者は、ワシントンDCを拠点とするベンチャーキャピタル会社であり、規制産業を専門とするインキュベーターである1776の共同設立者である。著者は、政府の規制を理解し、適応し、影響を与える方法についてスタートアップを指導してきた。本書では、その専門知識と実際のスタートアップの成功譚に基づき、同じことを起こすための方法論を示そうと試みる。
【購入】
隔離生活も1カ月にも及ぶと、1冊ぐらいは洋書に挑戦しておこうという気持ちにもなる。残念ながら隔離期間中に読了するには至らなかったけれど、隔離明けの最初の週末に追い込んで、なんとか読了にまで漕ぎ付けた。

本書のことを知ったのはいつだっけか。今となっては思い出すことも難しいが、雑誌『WIRED』か何かで著者の寄稿だかインタビューだかが載っていて、そのプロフィールに言及があったというのが経緯だと思う。米国のスタートアップ企業の経験を集約して示唆を引き出すような内容の本が、今の僕の置かれた立場で読むべき本なのかどうかは疑問だが、どこの国でも社会を変えようと頑張っている若手のスタートアップは、本書で述べられているような課題には直面することもあるだろう。まったく参考にならないというわけではない。米国のスタートアップのストーリーは、それなりに面白いし。

また、意外と英文がシンプルで、スラスラ読めた。時間がかかったのは、序論結論を合わせて合計17章もあり、各章読むだけでも1時間はかかるというそのボリューム感にある。少なくとも1日1章のペースは維持しようと心掛けたが、その横を駆け抜けていった本が数冊ある。1時間集中して英文を読むと、ちょっと息抜きもしたくなり、結果的に息抜きの方が時間が長くなってしまうということもあった。

くしくも、この直後に読み始めた伊藤亞聖『デジタル化する新興国』(中公新書、2020年)の中に、本書について言及するくだりがあった。

『ワイアード』誌は2019年に、「ナラティブと実装」特集を組んだ。そのなかで、ベンチャーキャピタリストであり、また『規制をハッキングせよ スタートアップのための作戦帳』(未邦訳)の著者エヴァン・バーフィールドは、アメリカのベンチャー業界を念頭に、規制を無視して「破る」のではなく、当局とも協調しながら乗り越える、つまり「ハッキング」sるうことの重要性を説く。なかでも強調されるのは、規制当局からの支持を得るために、新たなサービスが公益に資するという「ナラティブ(物語)」を語ることの重要性である。例えば電気自動車会社テスラのCEOであるイーロン・マスクの発言「テスラは、社会の石油への依存度を下げるために存在する」がその代表だ(WIRED 2019, Vol. 34)(p. 116)

第6章「ナラティブ」と、最終章「イーロン・マスク~究極の規制ハッカー」の2カ所からかいつまんでの要約をされているわけだが、確かに自社のサービスのストーリー性は再三強調されているポイントだからいいにせよ、先に読んだイーロン・マスクの評伝を思い返してみると、イーロン・マスクはメディアからどう見られているのかをものすごく気にするところとか、ポジ要素ばかりでもないような気がするのですけどね。

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