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電子書籍 vs 本 [備忘録]

一昨日、親友の主宰する北海道図書館研究会をオンライン聴講していて、MCを務めていた親友が電子書籍と本の比較という質問をパネリストの方に振った。登壇者はいずれも製本された書籍の装丁や紙の手触りなど、本に対する思い入れが強い方々ばかりだったので、「電子書籍もいいけど本もいいよね」という論調だったのだが、もう少し電子書籍擁護の論点があってもよかったのではないかとも思った。

第一のポイントは、言うまでもなく本はかさばるという点である。これは、本を手に入れたその場その場ではよいが、そういう本が溜まっていくにつれて場所を取るようになり、閾値を越えると家族の不和の争点にだってなりかねない。そしてその頃になって処分しようとしても、ブックオフなどは有料では引き取ってくれない。タダで引き取って資源ごみとして廃棄されるだけになってしまう。僕らのような市井の読書家ならあまり価値のない自宅の蔵書がそのように廃棄されるのも致し方ないが、例えば著名な研究者がお亡くなりになった時に、その蔵書をどう処分したらいいかはもっと深刻な課題となっているに違いない。

そこで僕が編み出した対策は、図書館で借りて読み、どうしても手元に置いておきたいものについては、電子書籍があれば電子書籍で購入、ないものについては購入(できれば中古で)というものだった。

電子書籍はとにかくかさばらない。僕は2013年からキンドルファイアのユーザーだったが、当時から感じていたメリットとしては、①かさばらないことの他に、②マーカーで線が引いて、後でダイジェストでマーカー箇所を一覧できる、③読みたいと思った時に即ダウンロードできる、④英文書籍の場合、わからない単語を長押しすると、内蔵の辞書が起動して意味を教えてくれる(辞書を引く必要がない)、⑤同じく英文書籍の場合、本によっては読上げ機能が付いていて、車を運転しながらとか、寝るときとかに聞き流しができる、等があった。

特に、上記③は、海外駐在が長いとか、長期出張の時に携行していた本を読み切ってしまい、手元に時間をつぶす他の手段がない時などに急遽ダウンロードして、何か読んだりするのに重宝した。

そのキンドルファイアが使用開始8年にしてとうとう動かなくなってしまい、今年初めに2台目のキンドルに買い替えた。今回はキンドルファイアではなく、ちょっとケチってキンドルペーパーホワイトにしてみた。カラー画面でなくなったのに加え、画面が小さくなったので、正直言って使い勝手は悪くなったが、軽くなったのはメリットだと言える。また、買い替えてみて、今のキンドルが進んだなと感じた点も幾つかあった。

第1に、マーカーで線を引っ張った箇所のダイジェストは以前の機種にもあったが、今ではなんとその引用部分をCSVファイル化してアマゾンでの登録メアド宛にエキスポートする機能が付いている。CSVファイルだけじゃなく、PDFファイルでもエキスポートしてくれる。(但し、マーカー箇所が長すぎるとキンドルが勝手に弾いてしまうので注意が必要。)

第2に、マーカー箇所のダイジェストだけじゃなく、今マーカーしたばかりの1カ所だけを、シェア機能というのを使って、「おすすめの一節」と題して自分の登録メアドに飛ばすことができる。勿論、他のメアドに飛ばすことも可能だ。

第3に、そのマーカーを引く箇所だが、過去にキンドルで読んだ読者の何人がどこをマークしたかが表示される。勿論どこが琴線に触れるかは読者毎の問題意識や興味によっても異なるものだが、多くの読者が共通してマークするような箇所は、その本のキモであることが多い。これは参考になる。

第4に、電子書籍の現在地表示がパーセンテージ(%)や何行目というので行われることから、学術論文での引用の際のページ数明記に対応できていない点が弱点だなとずっと思っていたが、もしキンドルとデスクトップPCでのキンドル・クラウドリーダーを併用すれば、少なくとも後者では今何ページなのかが確認できるのがわかった。

かなりレベルアップしたと思う。ペーパーホワイトに機種変更して、画面が小さいこと、モノクロ画面であること、過去にダウンロードした本の検索がしづらいこと等には今でも戸惑うが、機能は確実に上がっている。カラーでない点は、クラウドリーダーとの併用でなんとかカバーできる。

以上は、キンドルユーザーとしての視点だから、他の電子書籍リーダーにも適用可能な論点なのかどうかはわからないが、物理的に本を大量にストックできない制約のある人間にとっては、電子書籍を使いこなせることはかなり重要な次善策だと思うので、以上述べさせていただいた。

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