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『作って覚えるFusion 360の一番わかりやすい本』 [仕事の小ネタ]

作って覚える Fusion 360の一番わかりやすい本

作って覚える Fusion 360の一番わかりやすい本

  • 作者: 堀尾 和彦
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2017/11/28
  • メディア: Kindle版
内容紹介
Fusion360の一番やさしい解説書
Autodesk社が提供する3D-CADソフト、Fusion360の操作解説書です。3Dモデリングのテーマを木工という身近なものにすることで、誰でも取り組みやすい書籍になっています。機械部品作成でも木工でも、Fusion360の操作は全く同じなので、テーマが合わないと思う方でも問題なく操作を習得することができます。図をふんだんに使ってひとつひとつの操作を丁寧に解説している、とてもわかりやすい入門書です。
【購入】
こちらでの生活上必要なものは自分である程度作ってしまおうと思っている。個人的に3Dプリンターは携行してきているし、そうでなくても任国にはファブラボがあり、データさえ持って行けば工房に設置されたCNCウッドルーター等で自分の作りたいものが作れるからだ。

21日間にも及ぶ隔離生活の中でも、必要なものは作ろうと考えていた。しかし、渡航の際の預入荷物の個数制限が厳しすぎて、3Dプリンターや書籍類は国際EMS便で別送せざるを得なかった。EMS便は任国到着まで1週間、派遣元機関の現地事務所のご厚意で、EMSを引き取って隔離施設まで届けていただいたのは1週間前で、それからようやく開梱して、3Dプリンター組み立て。取りあえず必要なものということで、縦置きのスマホスタンドと洗濯バサミを「印刷」し、使い始めた。

その後始めたのが、EMS便に振り替えた書籍の中から3DモデリングソフトFusion 360の独習書を取り出して、家具のデザインを進めることだった。コロナ禍の中、派遣元機関の方針で、僕は当面、首都での勤務が義務付けられている。実際の任地はインド国境に近い南部の地方都市で、つい最近も配属先機関の構内で陽性者が確認されて構内がロックダウンになってしまったようなところだ。

一応、首都には仮のオフィスは確保してもらっている。ただ、以前駐在していた際にその建物は訪れたこともあるが、常駐の人がほとんどいない閑散とした建物で、オフィスファニチャーが揃っているとは思えなかった。事前の下見では、応接セットのようなものは部屋にあるようだが(元々応接室だったのかもね)、当然事務机がない、椅子もない、書棚もない。そんな状況らしいので、オフィスファニチャーは自分で作ってしまおうかと思っている。

そこで本日ご紹介する独習書である。

Fusion 360の独習書はいろいろ出ているが、本書が「一番わかりやすい」かというとそんなことはないと思う。操作法だけなら、カットシステムの『Fusion 360操作ガイド』のシリーズの方が、ベーシック編は易しいし、スーパーアドバンス編やCAM・切削加工編まであって詳しい。ただ、CNCウッドルーター操作にたどり着くには、ベーシック編、アドバンス編等を購入してステップアップしていく必要があり、そこまで悠長なことはやっていられないのが僕にとっては難点だ。

木材加工に一足飛びに行ける本の方がありがたい。オフィスファニチャーが作りたいと目的が明確なのだから、ファニチャーを素材にして3Dモデリングを習える独習書の方今の僕にはがありがたいのである。

僕は本書のその点を評価している。本書を読むと、結局パーツは個別でデザインして、それをアセンブルしてみて不具合がないことを確認した上で、それを図面、分解図等へ展開していくというステップを取っている。本書ではPCディスプレイテーブルの他に、棚(スパイスラック)を作り、さらにその棚のパーツからパラメーターを調整して壁掛け棚(ウォールシェルフ)を製作するというステップを踏む。スパイスラックで作ったデータを使えば、本棚に応用できそうだ。

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ただ、著者が各所で認められているが、Fusion 360は3Dデータを2Dの図面に展開する際の機能に制約がかなり多く、何カ所かでそのような指摘がなされていた。これを読むと、Fusion 360で木材加工するには制約も多いと感じるところもあり、言い換えるならよくこういった素材を用いた解説書を編集したものだと思う。そのあたりは読者から批判を呼ぶだろう。そういうリスクのある企画に敢えて挑んだ著者と編集者、版元の勇気は評価したい。

ただ、そうはいっても、こうしてデザインを終えた後の実際の加工工程への連携の部分にひと言も言及がないのには戸惑った。図面や分解図、木取図等を作成するというところまでは掲載されているが、では、木取図を作って材料の板が何枚必要かがわかったとして、次はその板に線を引いて電気のこぎりで切り出していくのは手作業なのかということになる。それなら3Dモデリングなどやらなくても、図面を描けばいいという話になってしまう。あえてFusion 360を使ってデータを作ることのメリットは何なのかがぼやけてしまっている気がする。

できれば、作ったデータからCNCウッドルーターへの連携をどのようにやったらいいのかにつても、少しばかりの解説が欲しかった。勿論、YouTubeを見れば、英語で説明されている動画がいくつもあるので、そっちを参考にしろと言われればそれまでなのだが。

なお、本書発刊は2017年11月だが、それ以降、Fusion 360はアップデートを重ねているので、本書の解説が実際のFusion 360と合っていないところが少々あって、それが気になる人もいるかもしれない。Fusion 360を多少わかっている人なら、本書の解説が実際と異なる箇所があっても、それが今どう改編されているのかはだいたい想像がつくので、理解の妨げになることは少ないと思うが。

さあ、これでスパイスラックができたのだから、これをベースに本棚は作れそうだ。今日午後、ようやく隔離施設から退所できる。まだ自主隔離が1週間あるが、いずれ新しい職場に実際に出入りできるようになり、そこで必要な寸法を確認した上でデータを作り、ファブラボにあるShopBotで自分で製作してみたい。すごい楽しみだ。

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