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『水のように』 [読書日記]

水のように

水のように

  • 作者: 浪花 千栄子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2020/11/06
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
貧しい家に生まれ、4歳で母を亡くし、8歳で奉公へ出された浪花千栄子。過酷な日々の中で、彼女が夢中になったもの、それが芝居の世界だった。溝口健二、小津安二郎など、日本映画史に残る名作に出演し、ラジオ・テレビドラマでも活躍した、昭和の名脇役。苦労多き人生の末にたどり着いた「水のように」という心境とは―生い立ち、芸歴、ゆかりの人々…NHK連続テレビ小説『おちょやん』のモデルとなった女優・唯一の著書にして自伝。
【コミセン図書室】
次の海外駐在が5月16日出発と決まりました。NHK連続テレビ小説『おちょやん』の最終回を見届けての出発となりそうです。

新型コロナウィルスに振り回されたこの1年、連ドラはよく見ていた。2020年は『麒麟がくる』に始まり、朝ドラ『エール』を見て、さらにNHK-BSで『太平記』の再放送を見て、さらに『澪つくし』の再放送を見た。夏場はTBSの『半沢直樹2』。「半沢ロス」になる間もなく、『エール』がフィナーレを迎え、11月下旬からは『おちょやん』である。

NHK-BSでは、朝7時15分から『澪つくし』再放送と『おちょやん』が続けて放送されるが、こうして見比べてみると、杉咲花の演技力のすさまじさがよくわかった。沢口靖子と同世代のオジサンにとっては沢口靖子は永遠のヒロインだが、杉咲花はいい女優さんだな。

さて、そんな『おちょやん』も、「朝ドラ史上最悪の父親」と言われた父・テルヲが先週とうとう逝き、翌週から寛治(藤山寛美のモデル?)が登場。天海天海との夫婦生活がどう描かれるのかも興味津々で、これからの7、8週間でドラマが問う展開するのか、予想したくて朝ドラオジサンが手に取ったのが、浪花千栄子の自伝であった。

ここまでの「おちょやん」の描き方のうち、どこが実話でどこがフィクションなのかの確認はできた。でも、本書では渋谷天外(二代目)との結婚以降の歩みについてはかなりアバウトな述懐になっていて、これだけ読んでも夫の裏切りに対してふつふつと湧いてくる怒りしか感じられない。夫と過ごした松竹新喜劇では、座長の妻ということで良い役を得ることに対しては遠慮の気持ちもあったようで、役に恵まれたということもなかったようだし、それ以外の述懐で嬉々として語っておられるのは、『アチャコ青春手帖』のヒットと京都嵐山に建てた旅館「竹生」の開館ストーリーぐらいしかない。藤山寛美は出てこない。

これだけ読んでも、今後数週間のドラマの展開は予想がしにくい。ドラマの脚本の自由度が増してそれはそれでいいことかもしれないが、毎朝ドラマを見ながら家族に蘊蓄を語って悦にひたっている朝ドラオジサンとしては、やや物足りなさの残った読書体験だった。

僕らの世代であっても、浪花千栄子といったら「オロナイン軟膏」の看板の女優さんというイメージしかなかった。そういう方に光を当てて、次の世代の子どもたちに、「昔はオロナイン軟膏と言えばこの人だったんだ」と話して、オヤジ世代の記憶を後世につなぐ役割を果してくれている朝ドラには感謝したい。

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