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『カラ売り屋、日本上陸』 [黒木亮]

カラ売り屋、日本上陸 (角川書店単行本)

カラ売り屋、日本上陸 (角川書店単行本)

  • 作者: 黒木 亮
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/10/28
  • メディア: Kindle版
内容紹介
日本企業の不正を投資ファンドが暴き出す!
粉飾決算や株価が過大評価されている企業を探し出し、カラ売りを仕掛けて追及レポートを発表、株価が下がったところで買い戻して利益を上げる投資ファンドを「カラ売り屋」という。ニューヨークに本拠地を置くカラ売り専業投資ファンド、パンゲア&カンパニーは東京事務所を開設。パートナーの北川靖は「タイヤ・キッカー」のトニーと組んで、傘下のMS法人を使って病院買収に邁進する巨大医療グループ、架空売上げの疑いがあるシロアリ駆除会社、タックス・ヘイブンを悪用して怪しい絵画取引を行う総合商社絵画部とそれぞれ対決。窮地に追い込まれた相手は、何とか株価を吊り上げ、パンゲアを叩きつぶそうと画策するが――。金融市場に蠢く男たちの息詰まる攻防戦の先に、気鋭の経済小説家が描いた日本経済の病巣とは!?
【コミセン図書室】
先々週、近所のコミセン図書室に本を返却&新規借出しの手続きに行ったが、さすがに毎回3~4冊のハイペースで行くと数カ月でネタの糞詰まりを起こしてしまい、なかなか借りたい本を見つけることができなかった。そこで目に留まったのが黒木亮の新作だった。

370ページあるが、だいたい1話が120ページぐらいある中編小説3話で構成されていて、それぞれ病院グループ、シロアリ駆除会社、絵画取扱い商社という、それぞれあまり取り上げられにくい業界でのコンプライアンスにもとるような株価つり上げ工作と対峙する話になっている。各々の業界の事情はよく知らなかったので、話がすごく新鮮だった。

「カラ売り屋」というとなんだかダーティーなイメージが付きまとうが、パンゲアという投資ファンドはまともで、ちゃんと情報収集して、適正な株価水準で市場の評価がなされるよう、まっとうな企業調査レポートを公表している。従って、勧善懲悪的な作品にどれもなっていて、読後には爽快感も得られる。

読んでいて、これを1作品3、4話で計10回になるようなドラマにしたら面白いだろうなと感じた。TBSの日曜劇場でよく取り上げられている池井戸潤作品みたいに、正しいことは正しい、間違っていることは間違っている、というエンディングにでき、気持ちよく翌日からの仕事に行かせてくれるような作品になるだろう。


タグ:角川書店
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