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『新型コロナ 7つの謎』 [時事]

新型コロナ 7つの謎 最新免疫学からわかった病原体の正体 (ブルーバックス)

新型コロナ 7つの謎 最新免疫学からわかった病原体の正体 (ブルーバックス)

  • 作者: 宮坂昌之
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/11/18
  • メディア: Kindle版
内容紹介
免疫学の第一人者が、最新の科学データで正体不明のウイルスの謎に迫る。これぞ新型コロナ解説書の決定版! 新型コロナウイルスが中国で発生したのは、2019年12月。それからわずか半年の間に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は瞬く間に世界に伝播し、10月末には全世界の感染者数は4400万人を突破し、死者は120万に迫ろうとしている。このウイルスは過去にパンデミックを引き起こしたインフルエンザウイルスとは明らかに違う性質を持っており、得体の知れない様々な謎を秘めている。「あり触れた風邪ウイルスがなぜパンデミックを起こしたのか?」「幼児は、感染しても軽症が多いのに対して、高齢者が感染すると重症化しやすい。なぜかくも症状に差が出るのか?」「なぜ獲得免疫のない日本人の多くが感染を免れたのか?」「有効なワクチンは本当に開発できるのか?」など誰も知りたい新型ウイルスの7つの謎に、最新の科学的知見に精通した免疫学の第一人者が果敢に挑む。本格的流行期を前に必ず読んでおきたい「読むワクチン」。
【購入】
某全国紙の科学部記者をやっていた大学時代のサークル同期が、Facebookで本書を薦めていたので、だまされたと思って昨年末に購入した。お正月休みの読書のつもりでキープしてあったのだが、これまでに図書館などで追加で借りた本の点数も多く、先送りを繰り返すうちに、1カ月以上が経過してしまった。

ただ、今読んでよかったとも思う。今はちょうど世間では新型コロナウィルスのワクチン接種がホットな話題として取り上げられており、本書で7つめの謎として掲げられている、「有効なワクチンを短期間に開発できるのか」で書かれていることが、とても腑に落ちたからだ。ワクチン開発には通常3年ぐらいはかかると思っていたので、パンデミックになってから1年も経たないうちにどんどん登場して接種が進められようとしているワクチンが、本当に効くのか謎で仕方がなかった。日本はワクチン接種が遅れ気味だけれど大丈夫なのかとメディアも不安を煽っている気がするし、僕も外国の友人から、「日本は大丈夫なのか」と訊かれることもあるけれど、拙速にならないようにしたいと改めて思った。

その他の謎については、エッセンスだけ拾えば確たることは未だわかっていないのだというのがわかったけれど、挿入されている図表を見ながら読み進めても、書かれている専門的なことはなかなか頭に入ってこなかった。優しい文体で書かれているけれど、内容が易しいわけではないから要注意。そこはさすがにブルーバックスだと思う。

免疫学者である著者は、今回のコロナ騒ぎでメディアの取材を何度も受けて来たそうだが、そこでわかったのは、日本のメディアの自然科学に関するリテラシーがほとんど醸成されていないという実態だったとあとがきで指摘されている。よくわかってないからパニック論調で報じる。するとそれに読者の僕らも踊らされてしまう。新聞記者である僕の友人がいみじくもFacebookで何度も発言しているが、ちゃんと理解していれば極端に恐れることもないし、だからといって極端な楽観論も危険だという。

メディアの報道を鵜呑みにせず、どこからどこまでは信じていいのか、自分なりのものさしを作ってリテラシーを高めていかないといけない。ちょっと深呼吸して、こういう分析の効いた時事ものも読まんで勉強しないとなぁ。

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