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『デジタル・ミニマリスト』 [読書日記]

デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する

デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2019/10/03
  • メディア: Kindle版
内容紹介
やらなきゃいけないことも、やりたいこともたくさんあるのに、SNSがとまらない……。AppleやTwitterが巧妙に仕掛ける依存の仕組みに抗うには、もはや一時的なデジタル・デトックスじゃ足りない。これは生き方の問題で、僕らには新しい「哲学」が必要だ。すなわち、デジタル・ミニマリズム。スマートフォンとSNSから可処分時間/可処分精神を守り、情報の見逃しを怖れず、大切なことを大切にできる思考法=実践法。1600人超を対象に行なった集団実験から導き出されたメソッド――30日間の「デジタル片づけ」を実行し、あなたもデジタル・ミニマリストになろう。テック界の「こんまり」として話題のコンピューター科学者による、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー & Amazonベストブック。

駅のプラットフォームで歩きスマホをしてる奴や、電車の車内で隣に座った奴がスマホを見ながら肘をぶつけてくるのにイラッとする一方、電車待ちのプラットフォームや信号待ちの交差点で、手持ち無沙汰な時についスマホに手を伸ばしてFacebookに新たな「イイね」が付いていないかどうかをチェックしている自分に気づく。大学3年生の娘がスマホで動画やツイッターから目が離せず、夜更かししているのを見て就職の心配をしたり、娘に限らずうちの子どもたち全員がスマホやタブレットを持ち込んでトイレで長居して、用を足したい時に困ったりして、スマホやSNSに恨みの気持ちを抱きつつも、朝起きてトイレで用を足すときにはスマホを持ち込んでいたりする。他人の習慣に舌打ちしつつ、自分だってやってることは変わらないと気付いた時、猛烈な自己嫌悪に襲われる。

ついつい始めてしまうスマホいじりの時間が長すぎると、かなりマズイとさすがに思う。幸いなことに僕は趣味として挙げられるくらいの読書はしているつもりだし(但し、読書記録のためにSNSやブログは使っているけれど)、コロナ禍で1日2時間近い早朝ウォーキングもやっている(但し、スマホは携行してRadikoは聴いているけど)。本書で推奨されていることのうち、比較的手を付けやすいことは既に始めてはいる。

スマホいじりやSNSは、やっていてもあまりお金になるという実感はない。今はともかく、スマホいじりやSNSにハマっている家族をもう少しだけ養っていけるお金が必要だし、自分の老後のことも考えた能力アップもやっておかなければならない。そう考えたら、中長期的には自分のためにならないものに時間を割くのは抑制せねばならない。そう考えて、前述の通り多少なりともやってはきたけれど、その必要性を再確認し、さらに何をやっていくべきなのか、追加的演習課題を知りたいなとも思ったので、本書をコミセン図書室で借りて読んでみることにした。

8月に読んだ宇野常寛『遅いインターネット』と趣旨は似ているかもしれないが、それよりかはよほどわかりやすい本だ。ただ、メッセージがわりとクリアなわりには、エビデンスとしていろいろなエピソードや各所での研究の成果を詳述しているため、長い文章になってしまっている。ハウツー本として読めたらいいのに、学術書並みの書きぶりになっているので、読み進めるのはしんどかった。

ハウツー本として、演習課題で挙げられている取組みをご紹介してみよう。
◆スマートフォンを置いて外に出てみよう
◆長い散歩に出よう
◆自分に手紙を書こう
◆”イイね”をしない
◆テキストメッセージはまとめて処理しよう
◆営業時間を設けよう
◆週に何か1つ、修理するか作るかしてみよう
◆質の低い余暇活動をスケジューリングしよう
◆何かに参加しよう
◆余暇の活動計画を立てよう
◆デバイスをシングルタスクな道具に戻そう
◆ソーシャルメディアのプロを真似しよう
◆スローメディアを活用しよう
◆フィーチャーフォンに戻そう

読んでいくと、時々、著者の批判はSNSに対してなのか、i-phoneに対してなのかがわからなくなる時があるが、著者が批判の対象としているのは先ずはFacebookやツイッターといったSNSであり、それがインストールされているスマホである。SNSがインストールされているデスクトップPCや、SNSがインストールされていないスマホに対しては、さほど批判の矛先が向いていないように感じる。

また、スマホから距離を置けと言われても、やっぱり地図アプリは便利だし、路線情報も便利だし、検索アプリが入っていることで、わからない言葉が出てきた時にすぐ調べられるし、ウェアラブルデバイスで体調データの管理も自動でできるし、便利なことは便利なので、やっぱりスマホは手放せない。

しかし、無駄にSNSを閲覧する時間は、今以上に抑制する方法を考えたほうがいいと思う。繰り返しになるが、読書やウォーキングで孤独になる時間は意識的に作ってきているし、コロナ禍で制約があるとはいえ余暇の過ごし方も相当計画的にやっていて、それらメリットも実感しているわけだが、次のステップは、①モノづくり、②何かに参加、③Yahoo!ニュースをやめて活字メディア(新聞)をちゃんと読む、ぐらいから始めるのかなと思う。

そして、手持ち無沙汰になるとついスマホに手を伸ばすあの癖は、ズボンのポケットではなくバッグの中にスマホを入れることでやり過ごすか、それともRadiko聴取に時間を割くんだろうな―――そんなふうに考えます。

それにしても、この本の中でもヘンリー・ソローの『森の生活』が引用されていた。今年何度目なんだろうか。来年の目標は、こうした頻繁に引用されるような古典をもう少し読むことに定めている。
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