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『四月になれば彼女は』 [読書日記]

四月になれば彼女は (文春文庫)

四月になれば彼女は (文春文庫)

  • 作者: 元気, 川村
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/07/10
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
4月、精神科医の藤代のもとに、初めての恋人・ハルから手紙が届いた。だが藤代は1年後に結婚を決めていた。愛しているのかわからない恋人・弥生と。失った恋に翻弄される12か月がはじまる―なぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去ってしまうのか。川村元気が挑む、恋愛なき時代における異形の恋愛小説。

時々お断りをしなければいけないのだが、僕が「読書日記」というカテゴリーで読んだ本を紹介する時、「日記」という部分が前面に出して書くことがある。特に対象が小説の場合、ストーリー紹介を書き込み過ぎてネタばらしになってしまってはいけないので、余計に別の話で余白を埋めるようなセコイ手段をとる。

今回も、そんな形で書いていきます。

11月は、いろいろな作業の期限が集中する中で、イベントもいくつもあった。特に月後半は、2週間で講義やプレゼンを6つもこなすという過密日程。1日2つもオンライン講義をやった日もあった。その間には、来年の自分の進路を決める究極の選択を迫られる出来事も…。

いろいろあった11月だが、昨日(28日)に、某私大のオンライン講義を無事終えて、怒涛のイベントラッシュを完走で終えることができた。その講義で取り上げたテーマが「インド」―――インドの貧困問題を取り上げたのである。(ついでに言えば、その前日と前々日に外部の研修を受けたのだが、ここでのテーマも「インド」であった。

そう、ここ数日はインドのことを集中して情報収集していた。講義資料を仕上げる過程で読んだ文献もインド絡みのものが多く、過去にこのブログで紹介した際に自分が書いた文献情報が、講義での発言ポイントを考える上で役立つという経験もした。

で、その最後のイベントが無事終わったので、この週末は頭を休めようと思い、これまで借りていた本をコミセン図書室に返却に行ったついでに、小説ばかり新たに3冊借りた。それぞれ全然作家もテーマも異なる。元々映画プロデューサーである川村元気の作品だって、僕は『億男』しか知らなかったぐらいなのだが、書架を物色していて、南米ボリビアのウユニ塩湖の写真を表紙に使っている別の作品に目を奪われた。ウユニ塩湖が出てくる作品なら読もう―――そう考えて、借りる本に加えることにした。

ウユニ塩湖が出てくるのは、そこを訪れたハルが9年も前に別れに追い込まれた昔の恋人・藤代に、そこから手紙を書くというシーンがあったからである。その後、12ヵ月のうちに何度か登場する彼女は、その都度別の土地から藤代に手紙を送っている。プラハ、アイスランドと。

で、最後に行けなかった場所がインド。本土最南端の聖地カンニャークマリだったというわけ。

このオチは当然知らずに僕は本書を借りたわけだ。「インドしばり」で呼び寄せられたとしか思えない作品選択だった。

ストーリーは、主人公の藤代君の年齢からすると20歳~25歳は年上で、既に妻とは銀婚式まで迎えてしまった今の僕が読むには、ちょっと共感はしづらい展開だった。ただ、自分が今の妻と結婚する覚悟を決めた26年前の状況を振り返った時、僕自身はどうだったかなというのは思い出しながら読ませてもらった。

僕も学生時代に藤代君たちに似たような話がなかったわけではないのだが、そこまで元カレに思いを遺した形での別れ方ではなかったし、そこから現在の妻との結婚に至るまでの元カノとの関係性の変化の過程も違うので、やっぱりよくわからないというのが正直なところ。

ただ、これくらいの静かな展開って心地いいなとは思った。その分最後の展開は対照的なものだったし。

いいんじゃないでしょうかね。この作品、そのうち映画化されるんじゃないかね。ハルは勝手に波留さんがやったらいいとイメージはめ込んじゃっている。

さて、そんなわけで偶然ながらインドが舞台に出てくる作品と出会ったわけだが、なんとなくカンニャークマリには呼ばれているのではないかと思っている。実は冒頭、来年の自分の進路について究極の選択を今週迫られたと述べたが、その選択の結果、インドにはもう一度行ける可能性が出てきた。コロナ禍が終息することが前提ではあるが、可能であればコチンには行ってみたいし、そこから足を延ばしてカンニャークマリってのはあり得る話なんだろう。

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