『ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか』 [読書日記]
ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか
- 作者: 酒井大輔
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2020/06/25
- メディア: Kindle版
内容紹介
【全編コロナ後、書き下ろし! 「ワークマン初のビジネス書」誕生】
作業服専門店がアウトドアショップに転身!? 商品を全く変えず、売り方を変えただけで2倍売れた、「アパレル史上に残る革命」の舞台裏を渾身ルポ! 消費増税も、新型コロナ禍も、全く揺るがぬ右肩成長。ワークマンはなぜ、強いのか。その強さは、本物か。ビジネスモデルのすべてに迫ったノンフィクションの決定版が登場。
今週末2冊目の読了。これを読み終えたら、三連休の間に終わらせておきたい作業に入ろうと思う。近所のコミセン図書室で借りた本。それにしても、タイトルが長いね。
僕はワークマン初心者で、過去に2、3回しか買い物で訪れたことがない。僕の住むエリアにはワークマンの店舗が2つある。昨年3月に帰国してすぐに、サンダルとノギスを買いに行ったのが最初で、思っていた以上の品揃えで驚いた。その時に店頭で見かけた、扇風機付きの作業着は、酷暑の2019年夏のヒット商品になった。その後も、昔の市民ランナー仲間が、「ワークマンのランニングシューズはコスパが良い」とSNS上で話題にし始めた。これもヒットしているようだ。テレビでも、汚れがつきにくいTシャツとか話題に取り上げられたりもしている。この1年半ぐらいの間、ワークマンのことを耳にする機会は確実に増えたと思う。
徐々にワークマンが僕らの生活に近づいてきている―――そんな予感がある。
だから、先取りでどんな会社なのか知っておこうと思い、コミセン図書室の新着本の棚で見つけるやいなや、すぐに借りることにした。多分、今後ワークマンの店舗を訪れる時には、陳列のされ方や品揃えには注意が行くだろうし、手に取る商品1つ1つにも、その開発ストーリーに思いをはせることになるだろう。
自分がこういう営利企業の事業戦略を考える立場にないからか、本書の主人公である土屋専務の取った方針のひとつひとつを細かくここで紹介する気にはなれない。大手商社で部長まで務めた人だから、経験も豊富で、それが父親の社長に呼ばれて、ワークマンの事業戦略を担うことになった。面白いことに、本書では歴代の社長はある意味脇役っぽくて、実質的に同社を仕切っているのは、社長よりも多分シニアであろう土屋専務ということになる。
唯一、興味深かったのは、AI導入を取りやめて、エクセルでデータ重視経営を進めたという話。AIは便利だが、そのアルゴリズムがブラックボックス化して、何がどうしてそうなったのか、ユーザーがそのロジックを理解できないことになりかねない。エクセルでもアルゴリズムは作れるし、それを作るのにユーザーもそれなりに頭を使って考える。エクセルも、もっと使いこなせれば結構いろいろな作業ができるのだというのを改めて思い出させてくれる指摘だったと思う。
多分本書は売れるだろう。ライターのネームバリューよりも、取材対象のワークマンの知名度が高いから。新型コロナウィルス感染拡大の中でも着実に業績を維持し、この先に向けた布石もいくつか打たれている様子が垣間見える。その成功の秘訣を知りたいと思う経営者は多いに違いない。
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