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『ブータンにデジタル工房を設置した』 [ブータン]

ブータンにデジタル工房を設置した (OnDeck Books(NextPublishing))

ブータンにデジタル工房を設置した (OnDeck Books(NextPublishing))

  • 作者: 山田 浩司
  • 出版社/メーカー: インプレスR&D
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
内容紹介
 本書は、2016年4月から19年3月までの3年間、JICA事務所長としてブータンに駐在した著者の活動記録を、「デジタルものづくり(デジタル・ファブリケーション)」という概念の普及と事業の具体化という点に絞ってまとめたものです。
 ネット社会が到来したばかりのブータンで、デジタルデータを利用したものづくりが可能な拠点施設を作り、距離と時間の壁を一気に乗り越え、それによって現地で就業機会を生み出す、というのが著者の狙いでした。
 本書は、これからブータンで始まるJICAの技術協力プロジェクトの参考情報としてだけでなく、他国で開発協力を展開する皆さんにも参考になるでしょう。現地にあるファブラボのようなデジタルものづくり拠点は、使いようによってはどんな開発ニーズにも、たとえそれが自然災害や感染症拡大のような突如襲ってくる緊急事態に対する支援ニーズであったとしても、現場での迅速対応を可能にするでしょう。

著者です。ずっと匿名でやってきたブログで、自分の正体を明かすのには躊躇もありますけど、自分の本を紹介するのに三人称を使うのは、いかにも他人行儀で書きづらい。セールスプロモーションへの本気度も問われますので、ここは実名で拙著を紹介させていただきます。

今回、初めて自分がやったことを一人称で描きました。人は人生において必ず1冊は本が書ける、自分の歩んできた道のりを描けばいいと言われます。今回はそんなわがままを通させていただきました。かなり独りよがりの書きぶりで、前著の冷静で客観的な記述とのギャップがスゴイと思いますが、そこは私自身のこのテーマへの取組みの「熱さ」だと思ってご容赦下さい。

ブータンについて紹介している本は最近も出されています。平山修一さんの『現代ブータンを知るための60章』(改訂版)とか、冨安裕一さんの『幸福の国で働いてみた』とか。ブータンのことを俯瞰的に見るなら平山さんの本、そして2000年以降の農業協力の歩みを知るなら冨安さんの本はおススメです。どちらも、ブータンにこれから渡航される方には是非読んでいただきたい文献です。

その上で、拙著はブータンのこれからを思いながら描きました。私の仕事がそうだから、きっと国際協力の記録だろうと思われるかもしれませんが、ちょっと違います。確かに私は国際協力機関の職員として現地駐在していましたが、本書で書かれたことの多くは、国際協力事業にはつながっていないから。しいて言うなら、これをやりたがっていた若いブータン人と出会い、政府高官や職員に働きかけて、彼らが活躍できる環境を作っていっただけですから。

でも、きっと面白いと思います。日本でアートやクリエイター、建築設計、木材加工、コミュニティデザインなどの仕事をしている若い方々に読んで欲しいと思います。そういう人に、ブータンに関心持って欲しい。あ、ブータンだけじゃなく、インドやネパールにも関心持って欲しいと思います。タイトルからは想像できませんが、近隣国のファブ施設を訪ねた話にも紙面を割いていますので。

これから海外赴任されるうちの事業の関係者の方々への講義の中でも、また現地駐在になって現地で日本から来られた関係者の方々を受け入れた時にも、私は必ず「日記」をつけるようお願いしてきました。後で自分がやったことを時系列的に振り返る時に役に立ちますし、四半期報告とか年次報告とか、派遣元から求められる定期報告ではきれいごとしか書かないのに対し、日記では本音が書けますから。

そして、それを3年間ずっと続けていれば、その間に何かしらの成果をあげて、多くの人々とその経験を共有したい、任国のこと、仕事相手のことを知ってもらいたいと思う時には、その記憶をたどって本にまとめていくのに、日記はとても役に立ちました。今回は、その日記がこうして活用され得るという、1つの形を見せられたかと思います。

そして最後にもう1つ。

前回、『シルク大国インドに継承された日本の養蚕の技』を上梓した際、先輩方から、「この本を書いて、次は何をするのか?」という問いを投げかけられました。このテーマの本を出したからには、このテーマにこれからも取り組んでいく覚悟はあるのかという問いかけだと理解しています。その時は即答できなかったし、今も答えが見つかったわけではありません。しかし、本を書くというのはそういうことなのだということは心に留めています。

今回もこのテーマで本を出した以上、「デジタルファブリケーション」×「南アジア」には今後もこだわっていくつもりですし、「デジタル」×「シルク」という新しい掛け合わせで、何かできることはないか探究していきたいと思っています。

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