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『発注いただきました!』 [朝井リョウ]

発注いただきました!

発注いただきました!

  • 作者: 朝井 リョウ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2020/03/05
  • メディア: 単行本

内容紹介
『桐島、部活やめるってよ』でのデビューから十年。森永製菓、ディオール、JT、JRA、アサヒビール、サッポロビール、資生堂、JA共済など、様々な企業からの原稿依頼があった。原稿枚数や登場人物、物語のシチュエーションなど、小説誌ではあまり例を見ないような制約、お題が与えられるなか、著者はどのように応えてきたのか!? 「キャラメルが登場する小説」「人生の相棒をテーマにする短編」「ウイスキーにまつわる小説」「20を題材にした小説」など、短編小説14本、エッセイ6本。普段は明かされることのない原稿依頼内容と、書き終えての自作解説も収録された1冊。十周年に合わせて依頼された新作小説も収録。

つくづく、小説家というのは当たってナンボの自営業者なんだなと思う。月刊の文学誌で短編を書くだけでなく、長編書き下ろしも書く。それも、ある程度の評価を受け続けなければ執筆の依頼は来ない。長編は書き下ろしだけでなく、新聞雑誌での連載というのもあるだろうし、これも依頼だろう。

売れっ子だったら、それ以外にも、企業の機関紙とか、企業主催の何かのイベントのパンフレットにも書いて欲しいと依頼が舞い込んで来たりもするのだろう。単に、お馴染みの本や雑誌といったメディアだけでなく、活字メディアにはもっといろいろあるんだというのと、それぞれのメディアの制約により、文字数も規定されるし、テーマも規定される。

本作品は、そういう執筆依頼を受けた朝井リョウ君が、どうさばいたかというのの記録集といえる。20本も収録されて1600円というのは、かなりコスパも良いし、小気味よいいい作品が集められているとも思う。多少冒険したところはあったらしいが、どの執筆依頼にも真摯に応え、いい作品を書いて納めているように思う。これでギャラって幾らぐらいなんだろうか? 依頼先の売れっ子具合によって変わって来るんだろうけれど、朝井リョウクラスだったらいくらぐらいが相場なのか、誰が決めているのか、興味は尽きない。

おかげで、彼の岐阜県での小中高校生時代の様子が窺える作品もチラホラ含まれている。最近の朝井作品はどうしても東京舞台で僕にはついて行けない20代やよくて30代の人々を描いたものが多く、手に取るのに勇気が必要だったが、高校生かそれよりも若い子どもたちが出てくる話は、多くが岐阜県での彼の少年時代を想起させるもので、僕にはまだイメージがしやすい。何しろ、彼の高校時代のクラスメートの母親というのが、僕の小学校時代の同級生だったりする。お陰で、同窓会でそんな話題が出たりする。

だから、彼のことは応援し続けている。

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