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『海洋プラスチック』 [持続可能な開発]

海洋プラスチック 永遠のごみの行方 (角川新書)

海洋プラスチック 永遠のごみの行方 (角川新書)

  • 作者: 保坂 直紀
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/06/10
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
プラスチックごみによる海洋汚染や生き物の被害が世界中で報告されるなか、日本でも2020年7月からレジ袋が有料化される。マイバッグを持つのはいいが、それは本当に意味があるのか。問題を追い続けるサイエンスライターが、永遠のごみの現状を報告し、納得感のある向き合い方を提示する。

某全国紙で記者をやっている、大学時代の友人から読むように勧められ、近所の書店を4つ回って、ようやく4つめの「最後の砦」で発見し、購入した。先週後半から読み始めたのだけれど、読了までには数日要した。

最大の理由は、今までこのテーマに関して全く予備知識がなかったこと。僕自身、海よりも山が好きな人間なので、とかく海岸や海洋の問題については疎くて、その問題をどう捉えるかという枠組み自体を持っていない。今までやってきたことと言えば、オーガニックコットン製のトートバッグを常に持ち歩いていて、コンビニやドラッグストアでちょっとした買い物をする際には、お店のビニール袋は不要と、かなり早い時期から断るようにしていたことぐらいかと思う。

お陰で、スーパー、コンビニなどのレジ袋が有料化になったからといって、特段影響を受けることはなかった。ただ、元々無料でお店が出していたレジ袋がただなわけがなくて、商品価格に上乗せされていたのだろうから、お店にとっては体のいい値上げなんだろうけど。また、本書によれば、スーパー、コンビニのレジ袋なんて、プラゴミ全体の1.7%程度にしかならないので、ちゃんと取り組んだからといって効果のほどは知れているのだが。

そんな具合なので、先ずは枠組を理解しようと思って読み始めた。さすがは元読売新聞で科学報道に関わられていた方らしく、物事を白黒はっきりさせることなく、賛否ともに併記する形で論点の提示に努めておられる。

従って、論点の幅が非常に広くて著者が言いたいことがクリアに伝わってこないことが、読み進めるのに難儀したもう1つの理由だともいえる。いかにもサイエンス・ライターが書いた良心的な本なのだけれど、あまりに理解できずに凹んだ。

ただ、ある事情からこれから半年間ぐらい、ちょっとこの問題とは関わることになるので、これからも何度か読み直して、もう少し理解を深めるよう努めたいと思う。

とはいえ、現時点でちょっと気になったことだけ以下述べておく。

1つめは、僕がここのところ関心を持っていた「シビックテック」が、本書では「シチズンサイエンス」という言い方でその役割に光が当たっている点である。ゴミの調査に関して、国や自治体が行う調査と違い、市民が自発的に参加する活動でデータを集められれば、それは長期間継続的にデータが得られるという点を評価されている。IoTのような形ではなく、市民がサンプルデータ収集でひと手間かけねばならないところはちょっと違うけれど、集めたデータを分析し、結果を公開して政策形成につなげていこうという指向性は、都市における環境モニタリングなんかともよく似ているような気がする。

しかし、本書におけるプラゴミのサンプル収集は海岸や近海、要するに「海洋」というところに絞られており、しかも、中国や東南アジアのゴミが海流で流されて日本近海に漂着するという動きと、日本で排出されたゴミが北米大陸の太平洋沿岸に漂着する動きに注目が集まっている。逆に、例えばある河川の上流域で出されたゴミが、下流域で溜まったり、河口部にまで漂着して、潮の流れによって特定のエリアに滞留するというようなシナリオに、あまり言及されていない。「流域管理」という文脈でゴミ管理は描かれていないのである。

そうすると、沿岸部ではなく、内陸部に住んでいる僕らが、「じゃ、僕らにできることって何でしょうか」と自問しても、自身の行動につながるような対策をなかなか導き出せないのではないかという気がする。

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