SSブログ

『センサーシティー』 [持続可能な開発]

センサーシティー 都市をシェアする位置情報サービス (#xtech-books(NextPublishing))

センサーシティー 都市をシェアする位置情報サービス (#xtech-books(NextPublishing))

  • 出版社/メーカー: インプレスR&D
  • 発売日: 2017/09/29
  • メディア: Kindle版
内容紹介
スマホや車、家電、POSなど今や都市に暮らす市民はデジタルデータを発信するセンサーに囲まれて暮らしています。ポケモンGOに代表されるAR、シェアリングエコノミーなど都市の空間とサイバー空間上のデータが密接に結びついた新サービスもこうしたセンサーから発せられるデータに支えられて成立します。そして今や都市に住む人たちはデータをシェアし、それがまた新たな人や車の流れを生み出し、さらに市民自身が能動的にデータを活用するというデータの循環モデルも形成されようとしています。サイバー空間と都市空間のシームレスになり、新たな「共創」の世界を創るセンサーシティー。本書は位置情報を中心とするメディアサービスや都市の取り組み事例を通して、センサーシティーの一端を解説します。

IoTの中でも特に街をセンシングしデータを取得し、そのデータを分析・可視化する「センシング&マッピング」に特化し、その実践が都市や街において様々な貢献をする可能性を論じた1冊。

著者の問題意識として、利用者から価値のあるデータや情報を発信することが可能になると、従来、企業や行政から利用者や市民に一方的に提供され続けてきたデータや情報が、利用者や市民からも提供されるようになり、様々な形で循環し始めるようになる筈だが、現状では、データや情報は循環はし始めてはいるものの、特に日本では、テクノロジーやサービスを提供する立場とそれを利用する立場を超えたデータや情報の共有や、それを踏まえた新しいサービスの共創が十分には行われておらず、ダイナミックなイノベーションが起きにくい状況なのだという。

例えば、スマホにはカメラ(光学センサー)やマイク(音センサー)をはじめ、近接センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、地磁気センサー、指数センサー、虹彩センサー、GPS受信機など様々なセンサーが内蔵されているので、インバウンド(外国人旅行)の位置情報ビッグデータを分析することで、どのエリアにどの国の人が滞在したのかが見えてくる。その結果、観光案内所やWi-Fiの設置、ホテル、レストランの言語対応をより的確に進めることが可能だった。今まさに新型コロナウイルス対策として論じられているようなことが、2017年当時には既に指摘されていたということである。

海外の取組みとして紹介されているものの1つを紹介する。

Fab Lab Barcelonaによる大気情報の公開
 また、IAAC(Institute for Advanced Architecture of Catalonia:カタロニア先端建築研究所))のFab Lab Barcelonaは、シスコやインテルなどのIT企業および大学等と協力し、汚染物質や騒音など大気の情報を取得する小型センサーを開発している(写真参照)。小型センサーはGitHub(ソフトウェア開発のバージョン管理ウェブサービス)に設計仕様が公開されており、市民が自由に作ることができる。
 すでにバルセロナには200個以上のセンサーが設置されており、取得された情報は「Smart Citizen」と呼ばれるウェブサイトに一元化され公開されている。このような取り組みは、都市全体の環境活動を可視化し次なるアクションにつながることに加えて、必要なものは自分たちで作るという市民参加活動の推進力として期待がかかる。
URL:https://smartcitizen.me/
SmartCitizen01.jpg

ただ、国内の取組みが皆無というわけではなく、いくつかは紹介されている。

例えば、藤沢市では、ごみ収集車にセンサーをつけて市内をくまなく走り回り、温度、湿度に加えて排気ガスやPM2.5、紫外線などの環境データを取得し分析をしている。年から発生したデータをきめ細かく取得し分析、マッピングすることで、きめ細かい都市開発やまちづくりにつながる。また、ごみの量を事前に知ることができれば、ごみ収集車を効率よく配車することが可能になる。こうして都市の情報を可視化することによって、専門家だけでなく市民がまちづくりに参加できるようにもなると期待される。

その他にも、印象に残る取組みを以下2つ挙げておく。

「非エンジニアがゼロから学ぶGitHub勉強会」(横浜市港北区):「子育て支援の情報をまとめたアプリが欲しい」という区民の思いから開催され、子育て中の女性たちが積極的に参加してアプリ開発が行われた。「従来、企業や研究機関のエンジニアが中心に開発していたアプリを、いよいよ誰もが開発できる環境が整ってきた」

「ちばレポ」(千葉市民協働レポート):市内の道路の損傷個所や、講演の遊具が壊れている場所などを市民がスマートフォン等で投稿(レポート)し、行政と課題を共有し、解決することを目指す。

著者が冒頭序論の中でもわざわざ図表を掲載して論じられているのが、都市における「データ循環モデル」である。①都市のデータを集める→②分析・可視化することで魅力や課題が浮き彫りになる→③新しいまちづくり・サービスが生まれ、さらに人が集まる→①というループである。これ、只今取組み真っ最中の発表用資料の中でも、活用させてもらおうと思っている。

nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 13

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント