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『オープンデータ』 [仕事の小ネタ]

智場#119 オープンデータ特集号 (庄司昌彦 責任編集)

智場#119 オープンデータ特集号 (庄司昌彦 責任編集)

  • 出版社/メーカー: 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
  • 発売日: 2014/10/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
本特集は,「自由に使えるデータ」であるオープンデータの活用を通じて社会的なデータ活用の将来を展望するものである.具体的なビジネスの可能性や経済効果の展望,アジアや欧米諸国の動向,国内で活用を進めるためのビジョンや先行事例等を,最先端で活躍する方々に論じていただいた.このテーマを社会科学的な観点から11人もの論者が議論したものはこれまでになく,多様な知見を集めることができたと考えている.一人でも多くの読者の方にお役立ていただければ幸いである.

アマゾンの本書の書評欄には、「これを読めば、オープンデータ政策の背景をほぼ理解できます。関係者は必読かと」とある。まったく同感である。多分、理解のベースとして、今でも必読の書だと思う。

本書は2014年10月に出ている。発刊当初にすぐに本書に出会っていれば、2014年末から16年初頭にかけての仕事の上での過ごし方もちょっと変わったかもしれない。まさにオープンデータ、オープンガバメントの政策導入で、社内の大勢がなかなか理解してくれていない中、孤軍奮闘していた同僚を近くで見ていたから。

でも、それを6年後の今理解できるようになってきたとはいえ、社内に理解者が増えたかというと、そうでもない。理解できつつあると自負する僕も、じきに今の組織を去る年齢だし、かといって僕よりもっと若い社員が、承知しているとも思えない。

そもそも本書刊行から6年が経過していても、日本政府はオープンデータパートナーシップに加盟していない。2014年、15年当時、あれだけ社内で大騒ぎしていたAid Transparency Indexも、2018年の数値でJICAは「Poor」、日本の外務省に至ってはさらに超低空飛行の「Very Poor」である。その下には、アラブ首長国連邦と中国しか存在しない。

AidTransparency2018.png
《クリックしたら拡大できます》

多分、この評価ランキングを上げようという努力自体を放棄してしまったんじゃないかと想像する。

さて、オープンデータ、オープンガバメント関連の理解のベースラインとして必読の書と評した本書は、論文集なので、備忘録的に目次を転記しておく。

庄司昌彦「〔巻頭論文〕オープンデータの定義・目的・最新の課題」
森田朗「〔Interview〕データ活用社会と政府の役割」

【Part 1】オープンデータとビジネス、経済効果
東富彦「オープンデータビジネスの事例と分析」
実積寿也「オープンデータのインパクト―――経済効果の正しい解釈」
今井武「〔Interview〕ホンダは安全な社会づくりにオープンデータを使う」

【Part 2】海外動向と国際戦略
渡辺智暁「欧州から考える政府のオープンデータ国際戦略」
川島宏一「オープン・ガバメント・パートナーシップの概要とアジア太平洋連携の方向性」

【Part 3】国内での推進と社会課題解決
西田亮介「「データシティ鯖江」モデルーなぜ鯖江市は、情報化に積極的なのか」
関治之「〔Interview〕シビックテックとオープンデータ」
早田吉伸「「循環」視点によるオープンデータ推進への提言」

林雅之「〔解説〕オープンデータを理解するための10のポイント」

一つ一つの論文に何らか感想を述べるのも大変なので、1つだけ。オープンデータ&オープンガバメントに取り組んでいくことは、行政の効率化や住民生活の向上は言うに及ばず、さらには地方での就業機会の創出にもつながるという視点も大切にしたいものだと思った。この取組みに関わるシビックテックは、その地域に愛着があるITエンジニアが多いらしいし、なんでもかんでも大手のコンサルティング会社や会計事務所にというものでもない。

僕の心に最も響いた記述は、故郷の岐阜県大垣市に言及がある以下の部分である。
 近年、本論文で取り上げたオープンデータに限らず、さまざまな中小規模の自治体が情報技術を利用した独自の産業振興や、地域の魅力発信に取り組み成果をあげている。たとえば島根県松江市では、Rubyを用いた地域内情報産業企業のコミュニケーション活性化やシステム開発の発注を行っている。岐阜県大垣市では、商工労働部や公益財団法人ソフトピアジャパンを通して、大学院教育から起業、地域産業振興を一気通貫した支援を行って、成果を出している。オープンデータも含めた、地域の実態に即した新しい地域情報化が求められている。(p. 99)

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