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『VRが変える これからの仕事図鑑』 [仕事の小ネタ]

VRが変える これからの仕事図鑑

VRが変える これからの仕事図鑑

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/08/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
午後2時からの会議は、カリブ海を眺めながらにしようか? それとも、ウユニ塩湖の中がいい? ――銀行、建設、旅行などのビジネスから、エンタメ、スポーツ、美術、はたまた風俗産業に至るまで、〈VR+5G〉で変わる仕事、変わる業界、変わる働き方、新しく生まれる仕事、稼げる仕事をお教えします!

新清士『VRビジネスの衝撃』が、「VR元年」と言われた2016年の発刊で、今VR業界で主流となっているヘッドマウントディスプレイ(HMD)、オキュラスリフト、HTCヴァイヴ、PSVRが次々発表された年だった。その先鞭をつけたオキュラスリフトの発表直後の発刊だったことから、内容的にオキュラスリフト押しで、かつ既述がゲーム寄り過ぎだと感じた。できればもっと最近の本で、ゲームだけでなく他の産業での用途にも目配りができているエントリー編をもう1冊読みたいなと思いながら、タイトルだけで物色していて、出会ったのが本書である。

対象読者としてVR業界以外のビジネスマンを想定しており、多くの人にVRに興味を持ってもらい、体験し、VRの未来をともに作る人を増やしたい、という著者の思いがよく表れている内容。難しい技術用語を極力排し、僕のようなド素人でもその可能性を理解できる。しかも、興味を持ったら次に何をしたらいいのかも具体的に示してくれている。

VR産業の市場規模は、将来的には現在の10倍以上になる見込みだという。でも、HMDを着けてもらわないことには、VRの魅力をきちんとわかってもらえない。VRを装着する習慣は、まだ一般の人に根付いていない。そもそもVR機材を持っていない、買ったけれどもコンテンツが少なくて飽きてしまった、ソーシャルVRにログインしても知人が少なくてプレーできない等、様々な理由が考えられるが、そこを何とかしないとという著者の問題意識が感じられる。

著者が押すVR適用分野として、「トレーニング・移動・営業ツール・無人化・エンターテインメント」等が挙げられている。

トレーニング(研修)分野では、特定の条件を意図的に作り出すことができ、苦手な部分を反復練習できるというメリットがある。企業のマニュアルはテキストで共有されるのが一般的だが、これがVRコンテンツ化されれば、習得対象を目の前に置き、視覚情報と操作を組み合わせて体得することができる。家電や家具の取扱説明書や組立方法説明書も、テキストやイラストで見るより映像で見た方がわかりやすいので、VRに置き換わる可能性が高い。一度VRのコンテンツを作ってしまえばずっと使い回しでき、同時に大人数のトレーニングもできる。

VRは、既に手術のトレーニングでは使用されている。想定外の部位からの出血や容態の急変など、不測の事態までも再現できるので、急患を受け入れた際の、医師や看護師のトレーニングも行なわれている。

「移動」に関しては、今流行りのリモートでの会議を、自分そっくりのアバターを入れて、臨場感たっぷりの会議に変えることもできる。「自宅では集中できない」という人も、HMDを装着すれば、目の前に予備校の自習室や図書館、カフェといった空間が広がり、どこにいても集中できる環境をつくり上げることができる。

「移動の必要がなくなる」「まるでその場にいるような体験ができる」というVRの特徴は、旅行と最高に相性がいいと強調されている。物理的に移動しなくても、まるで本当に移動しているかのような感覚が得られる。わざわざ飛行機に乗ってブータンに行かなくても、自宅にいながらブータンの雰囲気を存分に体感できるようになる。飛行機の需要が抑制されるから、温室効果ガス排出抑制にも寄与する。

…などといろいろな用途がひろまっていく可能性は確かにある。

しかし、課題はその発展を支えるべき人材であり、通信キャリアによるバックアップであり、想定受益者からの支持であるという。現状でもVRエンジニアは一般的なSEに比べて1.5~2倍の年収を稼いでいるというから、引く手あまたなのだろう。オジサンが今から目指すわけにはいかないけれど、ピクシブやツイッターを使いこなしている子どもたちの世代なら、そういうものにもっとアンテナ張っていてほしいなという気がする。(それが引いては自分のメリットにもなると密かに期待して。)

こうして関心を持った読者が、次に何をしたらいいかも具体的に述べられている。ちょっとかじってみようかな。背中を押してくれる内容だ。

タグ:AR VR MR
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