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『アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう』 [仕事の小ネタ]

アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう (NextPublishing)

アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう (NextPublishing)

  • 出版社/メーカー: インプレスR&D
  • 発売日: 2015/11/13
  • メディア: Kindle版

内容紹介
さまざまな人が一堂に会し、立場を超えて話し合ったり共に手を動かしたりすることで、課題解決のためのアイデアやプロダクト、サービスなどをスピーディーに創出する「アイデアソン」や「ハッカソン」が、現在、各地で開催されています。フェイスブックの「いいね!」も社内ハッカソンから生まれたと言われ、オープンイノベーションの手法として急速に注目が集めていますが、今後はそれらのイベントをいかに具体的なソリューションに結び付けるかという課題も残っています。本書は、アイデアソン、ハッカソン、マーケソンのプロセスと手法の構築を目指す「G空間未来デザインプロジェクト」が、2014年に行った川崎市宮前区のプロジェクトをモデルケースに、具体的なプロセスやノウハウをレポート。あらゆる分野に応用できる手法を公開します。

アイデアソン、ハッカソンと関連書籍を2冊紹介した後、そのシリーズの大トリを飾るのは、特定地域を対象として、アイデアソンで課題解決のアイデアを創出し、そのアイデアをベースにハッカソンでプロトタイプを開発してその有効性を検証し、さらにその上でハッカソンで生み出されたプロトタイプによる利用実証や改良、事業計画の策定を行うという「マーケソン」まで実施し、足掛け半年程度をかけて、プロトタイプを社会実装に近づけるところまで取り組んだ事例をまとめた1冊をご紹介する。

特定の地域を取り上げることで、一連のサイクルが理解しやすい。各ステップで、実際にどんなアイデアが出てきて、それがプロトタイプとして開発されていき、実装段階でどのように改良が加えられたのか、その各プロセスにどのような人がかかわったのかがわかるので、参考にしやすい。

本書の付加価値は、やはり「マーケソン」という新たな概念提示にあるように思う。

その問題意識は、「既存のアイデアソン&ハッカソンでは、「アイデアを具現化したプロトタイプを作るところまでがゴールになっていることが多い」」という点にあったという。そこで創出されたものが最終的なソリューションにうまく結びつかなかったり、実際の現場で時億的に利用される事例が少なかったりする課題もあったという。また、アイデアソンやハッカソンに参加する人の目的が、スキルアップや人脈作り、業界動向のリサーチなど多種多様であり、すべての参加者が最初から事業化や起業を考えているわけではないともみられている。

そこで、①課題発見からそれを解決するアイデアの創出、②アイデアを具現化するためのシステムアーキテクチャの設計、に加えて、③システムを誰がどのように運用するかという運用シナリオやビジネスモデルの設計にまで持ち込むために、さらにもう一段階のチームでの取組みが考案され、ハッカソンの2カ月後に、2日間にわたってマーケソンが開催され、その有効性が検証されたのだという。

この川崎市宮前区での取組みは、地理空間情報を中心としたオープンデータを活用して、宮前区に役立つようなサービスやアプリを作り、それを事業として動かす仕組みを作るというものである。お陰でオープンデータに向けた自治体の取組みと、どのようなデータセットが実際にオープンにされ、住民や事業者が利用可能なのかというのがイメージできて、勉強になった。アイデアソンやハッカソンが実際にどこで開催されているのか、そういうサークルに対してアンテナが張れてないからかなかなか把握できてないが、自治体のオープンデータの活用法というのは1つの切り口なんだろうなというあたりがつけられたのも良かった。

また、ハッカソンというとエンジニアの集まりという印象が強く、開発スキルを持たない人は参加できないと僕らは考えがちだが、実際は開発スキルを持たない人にも、情報を収集・分析したり、コンテンツやプレゼン資料を作ったりと、様々な役割があり得ると本書は強調している。そう言われれば、なんとなく参加に対する心理的ハードルは下がったかもしれない。

非常にいい事例紹介だと思う。ただ、いかんせん主催者目線で事例がまとめられているため、実際に各チームがどんなアイデア出しとかプロトタイプ開発とかのどんなところで煮詰まったり、チームのリソースの限界を感じたりしたのか、どのようなスキルがもうちょっとあればもっと参加しやすかったのか、といった、参加者目線でのコメントがあるともっと参考になったと思う。

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