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『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』 [仕事の小ネタ]

次のテクノロジーで世界はどう変わるのか (講談社現代新書)

次のテクノロジーで世界はどう変わるのか (講談社現代新書)

  • 作者: 山本 康正
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/01/15
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
新世界はAI+5G+クラウドの三角形で激変する。ハーバード大学院理学修士+38歳ベンチャー投資家にして元グーグル+京大特任准教授がわかりやすく描く、これから必須の「テクノロジー基礎教養」。生き残る会社、消える会社はどこで決まる?

先週末の週末読書で読んだ本。これも、巣ごもり生活が始まった直後に書店で購入していたもので、25日に緊急事態宣言が解除されて、いよいよ巣ごもり脱却が視野に入って来る中で、積読放置は良くないと思い、早めに読んでおくことにした。

僕にとってはいい本だった。半導体やインターネット、人工知能といった基幹テクノロジーの進化の歴史なんて、「ネットで調べればわかるレベル」だと言う評者もいるかもしれないけれど、僕ごときのヘボ読者がそこまで貪欲に情報探索をするわけでもないので、AIや5G、クラウドなど近未来を規定していきそうなテクノロジーについて簡単に学ぶついでにおさらいできたらこんなにありがたいことはない。どのテクノロジーはどこの企業が進んでいるのかとか、そういう情報は僕らにはあまりないので、そういう業界にも造詣があって鼻が利く人がこうやって書いてくれたら読者としては嬉しい。

そもそもそういう目的で購入したんだから、ざっと読んでひと通り頭に入ればそれでよい。テクノロジーは日進月歩だというが、少なくとも定点観測ぐらいにはなると思う。

それにしても、アマゾンの書評欄を見ていると、星1つとか2つとかの辛口コメントが意外と多い。著者の経歴自慢がウザいとか、内容が薄いとかいった声もある。そういうコメントはそういうコメントとして、こういう経歴の人がこれからの世の中には必要なんだろうなという気もしている。

新型コロナウィルス感染対策で、時の政権の対応が手ぬるいとの批判が相当あったが、隣りの台湾の対策と比較してみて、一番残念だと思ったのは、閣僚にその道の専門性があまりなくて、何かというと「専門家会議」というのに諮問しないといけない日本の体制だった。その頃民間では「この時期に自分たちに何ができるか」と考えて、様々な動きが起こった。特に、若い世代の人たちが、テクノロジーを駆使して、中には世界中の人々と問題意識を共有しながらローカルの課題解決に向けて様々なソリューションを打ち出し、実装を試みていた。台湾政府の対応はそれを上手く取り込んでいたように思えるが、日本政府は、メディアに登場する人々が皆お疲れ気味のシニアの方々で、活力ないなという気がしてしまう。

僕ももう年齢的にはお疲れ気味の方に属する人間なので、もっと若い人々が活躍してくれるような場をもっと作っていくにはどうしたらいいのだろうかと考えるようにせねばならないと思っている。なので、新しい世代の人は、1つの組織の中でずっとキャリア形成を図るのではなく、こういう、アカデミックと企業と、時に公的機関、国際機関との間を往来するようなキャリアで、知見と人的ネットワークを拡げていっていただけたらいいし、できれば自分の子どもたちにも、そういう意識でいて欲しいと期待もしたい。

それにしても考えさせられる。著者はこういう、テクノロジーに対して目利きのできる人を組織に置かなければならないと主張している。

 ディープラーニングのように、日進月歩の勢いでテクノロジーが進化するなか、最新の動向をひたすら学び続けたビジネスパーソンだけが一歩先の未来を読める時代になりつつある。そして、その予想に基づいた意思決定がビジネス、ひいては経済に影響を与える割合がますます大きくなっている。
 この能力は外注によって得られるものではない。経営や政策に関わる者全員が身につけるべき素養・教養だと思う。お世辞やお追従ではなく、耳に痛いことも正直に話してくれるような、信頼のおける、同時に技術も分かる人材を経営の中に―――社外取締役や資本提携、買収、あるいは政府委員などの立場や手段を通じてでも―――置かなければならない。(p.237)

なんとなく著者の自薦売り込みのようにも思えるところがもったいないけれど、テクノロジーに対して目利きのできる人が社内に必要だというのは、それは僕自身も感じている。以前、どこかの新聞のコラムで、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関して、「プールに誰も飛び込まず、プールサイドで単に話題にしているだけ」という表現がなされていたのを思い出す。そう言われないためにも、議論をうわすべりさせないためにも、取りあえずは飛び込んで体験してみるというのが必要なんだろう。

それはまだまだオジサンにもできることだと思う。

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