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『アフターデジタル』 [仕事の小ネタ]

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2019/03/23
  • メディア: 単行本
内容紹介
デジタル化する世界の本質を解説。経済産業大臣の世耕弘成氏など、多くのリーダーたちが絶賛!
現在、多くの日本企業は「デジタルテクノロジー」に取り組んでいますが、そのアプローチは「オフラインを軸にしてオンラインを活用する」ではないでしょうか。世界的なトップランナーは、そのようなアプローチを採っていません。
まず、来るべき未来を考えたとき、「すべてがオンラインになる」と捉えています。考えて見れば、モバイル決済などが主流となれば、すべての購買行動はオンライン化され、個人を特定するIDにひも付きます。IoTやカメラをはじめとする様々なセンサーが実世界に置かれると、人のあらゆる行動がオンラインデータ化します。つまり、オフラインはもう存在しなくなるとさえ言えるのです。そう考えると、「オフラインを軸にオンラインをアドオンするというアプローチは間違っている」とさえ言えるでしょう。
筆者らはオフラインがなくなる世界を「アフターデジタル」と呼んでいます。その世界を理解し、その世界で生き残る術を本書で解説しています。デジタル担当者はもちろんのこと、未来を拓く、すべてのビジネスパーソンに読んでほしい1冊です。

近頃社内でも「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を唱える人が相当増えてきていて、今の仕事柄まったく無知でもいられないことから、時の本は時々読むよう心掛けている。本書も、ここ数週間、興味があれば聞くことにしている外部のオンラインセミナーで、何人かの登壇者が言及しており、読んでおいてもいいかなと思って購入した。

「アフター」と付くぐらいだから、たまにはデジタルから身を切り離してオフラインの時間を作ることも必要だとでも言われるのかなと思っていたら、著者の主張は真逆で、もはやデジタルから身を切り離すことなどできない、常につながっているオンラインの状況が「アフターデジタル」だということらしい。また、オンラインセミナーで聞いていた感じでは中国のデジタル化社会の様子がある程度のウェートで描かれているのだろうなと予想はしていたけれど、実際のところはさにあらずで、ほぼ全てのページが中国の勝ち組プラットフォーマーの話だった。

中国がそれくらい進んでいるということなので、中国中心に描かれることについて違和感はあまりない。でも、中国の勝ち組プラットフォーマーの話をされても、それを範に日本で同等のプラットフォームビジネスの展開、ないしは著者の提唱する「OMO(Online merges with Offline)」の中での自分の居場所を考えられる企業や企業家といったらやっぱりひと握りで、誰でもがその流れに乗れるわけではないという、50代後半の、自社の方向性を決めるような議論にあまり参加もしていないオジサンには、諦めのような気持ちを抱かせる内容であった。

また、セールスフォース・ドットコムのような統合型CRMビジネスプラットフォームのオンライン説明会も、この巣ごもりの間に何を血迷ったか僕は出てしまったのだが、それに出た後にOMOという話を聞くと、かなり腑に落ちるところがあった。ただ、オンライン説明会で紹介されていた日本企業の導入事例は、先ずは一部署での試験的導入というような部分最適化を試行したものだったため、トップマネジメントの強力なリーダーシップの下で全社的に一気に展開されたというものでは必ずしもなかった。そういう点では、本書の著者が嘆いているように、「すべてをオンラインにする」というところまでは行けてない企業が圧倒的に多いのだろうなというのも、なんとなく理解できた。

繰り返しになるが、会社組織の中枢で組織戦略の立案を担うような立場には僕はいないから、本書を読んで実戦で役立てる余地はほとんどないと思う。ただ、世の中そういうトレンドなのだというのは常に知っておく必要はあると思う。また、同じ中国ということもあって、ちょっとばかり深圳のメイカーコミュニティについて言及があり、それは自分自身のこれからの仕事を組み立てる上では参考になるところもあった。

現地の研究員にここ2~3年の変化を聞いてみたところ、「スタートアップやソフトウェア企業が増えた。そうした会社もものづくりをする時代になり、深センはそれに応えられる土地だから」と教えてくれました。これまで、ものづくりをするには様々なアセットを持たなければなりませんでしたし、ロットも半端な数では発注できませんでした。開発力と資金的体力のあるプレイヤーが、試行錯誤の開発の後に一気に生産し、流通するのが普通でした。しかし、深センという場所は前述の特徴により、必要な個数(パーツだけでなく、サプライチェーン上の一部のアセット)を必要な分だけ取り出したり、外部化したり、借りたりできるようになったため、「ものづくりの負荷が限りなくフリーアップされた」とも言える状態になっています。(p. 135)

こと深圳に関してだけは、今後も要注目だろう。機会があれば一度行ってみたいと思うし、一度ぐらいは発注もしてみたいと思う。

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