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AXIS vol.204「捨てないためのデザイン」 [持続可能な開発]

AXIS(アクシス)2020年04月号(捨てないためのデザイン)

AXIS(アクシス)2020年04月号(捨てないためのデザイン)

  • 作者: AXIS編集部
  • 出版社/メーカー: アクシス
  • 発売日: 2020/02/29
  • メディア: 雑誌
AXIS vol.204
特集「捨てないためのデザイン(Design to keep)」
日々のゴミを減らし、環境負荷の少ない循環型社会の実現を目指す動きが世界で加速しています。その一方、いくつもの複雑な問題が絡み合い、個人でできることの限界を感じる人も少なくないかもしれません。本号では廃棄物にまつわる歴史を振り返りながら、その解決に向けて立ち上がった起業家やデザイナーらの取り組みや考え方を追いました。私たちが次なる一歩を踏み出すときの後押しになることを願って。

Facebook上で、僕の友人がこの雑誌の4月号を勧めていたので、読んでみることにした。製本版だと1,800円もするので、僕は電子書籍版1,100円で済ませた。アート&デザイン系の雑誌は、挿入写真やアート作品の掲載にかなりのスペースを取るので、ボリュームの割には文字が少ないことが多い気がする。また、その文字情報も、日本語だけでなく各記事やキャプションの後には英訳も付いているので、実質的にはもっと情報量が少なくなる。写真やイラストが付加価値であり、英語が読める読者も想定されているのだからこの強気の値段設定なのだと言われそうだが、僕にはどうしても1,800円は出す気にはなれなかった。

結局、連載やルポ、某企業の提灯記事のようなものはあまり読まず、特集「捨てないためのデザイン(Design to Keep)」の関連記事だけを読み込んだ。備忘録的に、関連記事のラインナップを以下に列挙しておく。

◆◆◆◆

「ゴミという言葉がいらなくなる日まで」(巻頭言)

「廃棄物を出さない循環サイクルで人とメーカーをつなぐテラサイクル」
テラサイクル社が展開する持続可能なショッピングシステム「Loop(ループ)」の話

「牛糞から生み出した新素材「メスティック」が畜産農家を救う」
オランダ・アイントホーフェンのバイオアート・ラボラトリーズが取り組む、新素材開発の社会実装の話

「「ゲットオンボード:リデュース リユース リシンク」展から始まるプリーストマングードの旅」
航空業界における産業デザインを手がける英国のプリーストマングード社が取り組む、航空会社及び乗客と協力した空の廃棄物問題の解決に向けた取組みの話

「スノヘッタが再生プラスチックに挑んだ「プラスト」」
オスロを読天とする建築設計事務所スノヘッタ社による再生プラスチックのプロジェクト「プラスト」。漁網から椅子を製作。

「世界各地の減らす努力。企業とデザイナーのリデュースへの取組み」
消費者の「買い過ぎない」「ものを長く使う、使い切る」という日頃の姿勢や、ものを作ったり売ったりする生産者、事業者側の減らす努力など、世界各地で実施されている具体的な取組み。
(1)代替可能なプロダクト:know(ノウ)(日本)、クリーム(日本)、
   食べられるコーヒーカップ(トゥワイス&ニュージーランド航空)、ロリウェア(米国)、
   バイオデグラパック(ギリシャ)
(2)生分解性プロダクト:ゴーラブ・MK・ワリ(インド)、ヴォレバッグ(英国)、
   チップスボード(英国)、ステュディオ・ダ・ルチザン・インターナショナル(日本)、
   フォーム・アス・ウィズ・ラブ(スウェーデン)
(3)組織活動としてのリデュース:メルカリ(日本)、オーシャン・クリンナップ(オランダ)
   ファーストリテイリング(日本)
(4)材料を減らすテクノロジー:ゼロ・マス・ウォーター(米国)、エアー(ニュージーランド)、
   ソーラーフーズ(フィンランド)、夢職人(日本)

「マテリアルからサーキュラーエコノミーへ、デザイナーに求められるビジョン」
マテリアルはエンジニアとデザイナーを結び付け、循環経済はサステナビリティとビジネスモデルの両立を可能にする。それらの取組みの現状を、日本人有識者2人の対談で描く。

「環境問題に一石を投じる、松山祥樹のデザインアプローチ」
プロダクトデザイナー松山氏に訊く、環境問題とデザイナーとの関わり

「求められるのは具体的な解決策と長期的なビジョン~フォルマファンタズマとGEOデザイン」
若手デザイナーが廃棄物問題に対して様々な側面からリサーチ、提案したオランダで2019年10月に開催されたエキシビション「GEO-デザイン:ジャンク すべては溶けてゴミとなる」の主催者デザイン・アカデミー・アイントホーフェンのGEOデザインコース担当教授に訊く、エキシビションとデザインコースの狙い。

「GEO-デザイン:ジャンク「すべては溶けてゴミとなる」」
エキシビションに参加した3人の若手デザイナーによる作品と考え方を紹介。

◆◆◆◆

想定読者に外国人を含んでいるからだろうと思うが、特集関連記事の中にも、欧米発のデザインやプロダクトの紹介記事が多い。特に、テーマがテーマだけに、「持続可能な開発」への取組みが先行している欧州のエンジニアやデザイナーの取組み事例が多いということもあるに違いない。

その中には、参考になるものも幾つかあった。

第1に、航空機が吐き出すのは温室効果ガスが多く、それだけに航空便には追加の課税措置の対象にもなっているが、温室効果ガスだけでなく、機内食で出てくる容器やペットボトルにも、生分解プラスチック等の素材を用いるよう働きかける動きがあるということ。

第2に、生分解可能な素材の利活用を促進していくなら、素材についての理解を深めることが必要不可欠だと気付かせてもらったこと。また、利用可能な素材は決して生分解プラスチックだけではなく、松葉や竹であっても検討すべきであるということ。特に、インドの若手デザイナーGaurav MKのチアプロジェクト(Cheer Project)は、北インドでは豊富に入手でき、放っておいたら山火事の原因にもなりかねない松葉を利用して、文具、食器等を試作するというプロジェクトで、インドに限らず、マツが群生しているブータンあたりでも導入検討されてもいいような取組みであった。

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