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再読『政党から軍部へ』(日本の近代5) [仕事の小ネタ]

日本の近代5 - 政党から軍部へ 1924~1941 (中公文庫)

日本の近代5 - 政党から軍部へ 1924~1941 (中公文庫)

  • 作者: 北岡 伸一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/06/22
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
原敬没後、軍部の介入と党内対立に苦しみ続けた政党内閣は五・一五事件で潰えた。軍部は日中戦争を引き起こし、二・二六事件を経て時代は「非常時」から「戦時」へと移っていく。しかし、昭和初期の社会が育んだ豊かで自由な精神文化は戦後復興の礎となったのだ。昭和戦前史の決定版。

外出自粛の週末読書の3冊目である。これも、先週末の三連休が明けて以降、毎日少しずつ読み進めていたもので、今週末までに残っていた200頁少々を、半日かけて全部読み切った。

とはいっても再読である。前回は市立図書館で借りて単行本として読んだが、今回は中公文庫から出ている文庫版を取り寄せた。感想については前回のものが相当書き込まれているので、今回は軽めにしておく。

2カ月前に読んで以降、自分なりに歴代首相のリストとか、戦前の政党変遷図を本書収録のもの以上にシンプルにしたものを作る作業とか、そういうのを仕事の一環でやっていた。その作業をやる過程で、何度か本書は参照させてもらった。特に、戦前の歴代首相がどちらの政党(政友会 or 民政党)出身なのか、あるいは軍人出身者なのかとか、なんでその政権が倒れちゃったのかとか、そういうのを調べるには本書はとても役に立った。

今回最初から通して読み直してみたのは、そうした取組みの復習も兼ねたもので、この2カ月の間に関連書籍も含めてそれなりに調べたものもあるので、誰が誰なのかがある程度認識できるようになり、それも本書再読の際の理解を助けてくれたと思う。

なんで日本は戦争に向かっていく流れを止められなかったのか?―――僕たちが常に何かしらを語れることが求められる問いだと思うが、本書はこれを、政党政治の腐敗、元老の死去、軍部の台頭といったところから描いている。また、その過程で、不平等の拡大や、世界恐慌化での国民生活の窮乏にも遠因として言及している。

その上で少しだけ補足しておくと、多分他の著書の執筆過程で調べられたからというのもあるのだろうが、清沢冽とか宇垣一成に対してはポジティブな評価をされているように見受けられる一方、石原莞爾や近衛文麿の描き方はかなりネガティブだった。著者の視点によって人物評価にバラつきがあるのは致し方ないところである。当時の関係者が日記をこれだけ残しておられるのにも驚いたが、学者はこれだけの文献をしっかり読み込んで、それで真実に迫っていくのだというのにも感銘を受けた。

こうした二次資料でにわか勉強したぐらいじゃ、とうてい太刀打ちできないわ…。

これで本当にひと区切り。日本の近代化に関する蔵書はこれでクリアしたし、これからは別のテーマの本にももう少し挑戦していきたい。(が、その前に積読状態の蔵書を圧縮する作業をもう少しやっとこう。)

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