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『破天荒フェニックス』 [読書日記]

破天荒フェニックス オンデーズ再生物語 (NewsPicks Book) (幻冬舎文庫)

破天荒フェニックス オンデーズ再生物語 (NewsPicks Book) (幻冬舎文庫)

  • 作者: 田中 修治
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/11/18
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
人生を大きく変えるため、倒産寸前のメガネチェーン店を買収した田中。しかし、社長就任3か月で銀行から「死刑宣告」が下される。度重なる倒産の危機、裏切りに次ぐ裏切り、決死の資金繰り…。何度も襲いかかる絶体絶命のピンチに破天荒な施策で立ち向かっていく。実在する企業「OWNDAYS」の死闘の日々を描いた、ノンストップ実話ストーリー。

今日はバレンタインデー。今さらチョコをもらえるかどうかを気にする歳でもないが、実は妻からは3日前にすでにもらっている。なぜかというと、今日2月14日は妻の手術が予定されていたからだ。僕の母も昔やった手術なので、難易度が高いわけでもないが、病院の先生方にあまりにも念入りな説明を聞かされると、ちょっと不安にも駆られる。ともかく手術は無事終わった。それが今日最高のプレゼントだと思っている。

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《今日はここでずっと待機》

前日から妻は入院し、僕は静かな夜を過ごした。こんな夜は読書には最適だ。同時並行で読んでいた本は3冊もあったが、あまり頭を使う専門書は敬遠し、小説を読み進めることにした。それがメガネチェーン「オンデーズ」の田中社長が実話をもとに小説として描いた、同社の再建ストーリーだった。

この小説は、田中社長が先週あるラジオ番組に出演されて、その時に語っておられたオンデーズ再建ストーリーがかなり面白かった。それで興味を持った。買わずに先ずはどこかで借りることはできないかと考えたが、近所のコミセン図書室にはまだ入っておらず、市立図書館では順番待ちが10人近く並んでいた。とにかく人気の本である。編集が幻冬舎の箕輪厚介だから、そうなるのは予想もつく。結局待ち切れずに、僕はアマゾン・キンドルでダウンロードすることにした。

ラジオのトークで田中社長が仰っていたが、この本は小説だとはいえ、元々は田中社長がnoteで綴っておられた日記が面白いと目に留まり、ご本人も名刺代わりになると考えて書籍化にゴーサインを出されたものだとか。資金ショートや社内の同僚の裏切り等、サスペンス性もたっぷりあり、読んでいてハラハラさせられつつ、ページをめくる手がなかなか止まらない。

結局、1人で過ごした昨夜は夜更かししてしまい、今朝も病院に出向く前の時間を使ってコツコツ読み込み、手術が無事終わって妻をICUに残していったん帰宅した後も、しばらくは読み込み、夕方までには読了した。文庫版だと500頁を超える大作だが、そんなに長かったという印象はない。田中社長の攻めの経営姿勢は素晴らしいが、ギリギリのところで資金繰りを支えた奥野さんという相談役がいて、適材適所になってはいなかったけれども、買収されたオンデーズの社内にも、商品力向上に大きく貢献した高橋部長のような人材もいた。脇役にもちゃんと光を当てた、いいストーリーになっている。

ラジオ番組のインタビューで田中社長が答えておられた部分もあったので、ある程度は予想しながら読めたのだが、大方の読者にとっては確実に好評であろう内容だが、冷静になって見てみると、こんなことも知りたかったと思える点が2つほどある。

1つは、田中社長の私生活があまり出てきてないこと。主題からすれば些末な話なのでそんなにクリティカルな指摘ではないが、奥野さんが何度も会社で夜を明かした姿は想像できるものの、田中社長はどう過ごされていたのかがよくわからず、実際のところこういう破天荒なビジネスを遂行するにはどれくらいの頻度で完全に仕事から距離を置く時間が取れるのか想像できると良かったかもなと思った。

もう1つは、本作品を読む限りでは、日本国内での販売実績向上で、「薄型非球面レンズ0円」以上の施策を打ち出した形跡がなく、ラジオ番組で語っておられたところでは、オンデーズはユーザー参加のイベントを頻繁にやっておられるらしいが、それがいつ頃、どのような考えに基づいて始められたのか、それは本作品の中では言及されていない。

最後にもう1つ。田中社長はこのお話をnoteで何話かに分けて書かれていたのだが、noteってこういう使い方ができるのねというのを知った。参考にさせていただきます。

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