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『日本人はなぜ戦争へと向かったのか』(上) [仕事の小ネタ]

NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか 上

NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか 上

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2011/02/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
新たに見つかった膨大な証言・資料から浮かび上がる太平洋戦争へと至った「本当の」道のりとは。大きな反響を呼んだ「外交」と「陸軍」を収載。第一線の研究者による解説も充実。

最初から宣言しておくけれど、仕事の一環として読む日本の近現代史の書籍は、この上下巻2冊セットでひとまず打ち止めにしておく。歴史は好きだから、金輪際読まないというつもりはないが、義務感に駆られて他の読みたい本を差し置いて読むというのは、これからご紹介する2冊で最後にしておきたい。

1週間ほど前に、北岡伸一『政党から軍部へ』を読了した。そのタイトルが示す通り、この本は政党政治全盛の1920年代からスタートするが、二大政党が政争に明け暮れ、国民の不信感を増幅していくところから軍部の台頭を許す結果につながっていく姿を描いている。

それを読んだうえで、次どうしようかと考えたところ、先週末に訪れた近所のコミセン図書室で、NHKスペシャル取材班のこの2冊セットを見かけた。とりあえず上巻だけ借りて、読んでみることにした。

もとになったのはNHKが2011年1月に放送した4回シリーズのNHKスペシャルで、本書はその前半2本分―――「“外交敗戦”孤立への道」と「巨大組織“陸軍”暴走のメカニズム」での番組放送分のドキュメンタリーを文章化したものである。NHKスペシャルの書籍化は、番組で取り上げられた内容の詳述を中心に、あとは取材班のメンバー自身が書き下ろした追加情報で構成されるものが多いが、本書はそれは少なめにして、外交については、1930年代の日本の空気や、陸軍の暗号解読能力とそれを外交に生かせなかった組織的事情、それに当時の日本を取り巻く国際情勢、陸軍については、人事システム、組織論からの分析、内向き論理等の問題点を、外部の有識者による寄稿という形で構成されている。

この辺の寄稿は、やり始めたらきりがなくて、以前読んだ江利川春雄『英語と日本軍』のように、陸軍のエリートの学んだ外国語がドイツ語偏重で、米軍を相手として想定した英語の能力が低かったなんて分析をしている論考もある。

下巻を読んでいない中で感想を述べるのは時期尚早だが、本書は満州事変のあたりからスタートしているので、印象としてはこういう複合要因を遡っていったところにある根本要因に対する切り込みが少ないとの印象を今のところ受けている。石原莞爾が言ったような、「そもそも日本は鎖国していたのだから、それを圧倒的な軍事力を見せつけて開国を迫ったペリーが悪い」なんて話にもなっていってしまうのだが、それは置いておいて、せめて、二大政党時代の政党の体たらくぐらいは下巻で取り上げて欲しいと思う。

さて、残るはあと1冊。
タグ:NHK
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