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『政党から軍部へ』(日本の近代5) [仕事の小ネタ]

日本の近代 5 政党から軍部へ―1924~1941

日本の近代 5 政党から軍部へ―1924~1941

  • 作者: 北岡 伸一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/02/02
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
原敬没後、軍部の介入と党内対立に苦しみ続けた政党内閣は五・一五事件で潰えた。軍部は日中戦争を引き起こし、二・二六事件を経て時代は「非常時」から「戦時」へと移っていく。しかし、昭和初期の社会が育んだ豊かで自由な精神文化は戦後復興の礎となったのだ。昭和戦前史の決定版。

僕の高校生の頃は、センター入試も「共通一次」と言われていて、科目の選択方法も割とシンプルで、社会科は2科目選択して受験だった。僕の高校は、1年次に地理と政治経済、2年次に世界史と倫理社会、3年次に日本史を習わせた。現代社会ってのが加わってから、ちょっとパターンが変わったかもしれないが。そうすると、3年次の1月に実施された共通一次試験に間に合わせるには、日本史を選択するのは不利だということになり、国公立大学志望の多くの同級生は、社会科としては政治経済と世界史を選択して共通一次に臨んでいた。

奇特にも日本史を選択する同級生は、学校の授業を先取りして、明治・大正・昭和の近現代もしっかり勉強しておく必要があった。でも、日本史を選択しなかった奴の方が圧倒的に多く、しかも3年次の三学期に入ると、学校の授業はほとんど惰性で行われるようになり、出ても出なくてもとやかく言われない状態だった。インフルエンザにでも罹ろうものなら、クラスメートに迷惑をかけるわけにもいかないから、1週間ぐらい平気で休んだ。正確には当時付けていた日記でも確認しないとわからないが、正直言ってあまり1月、2月に授業に出ていた記憶はない。

要するに、何が言いたいかというと、僕らの同世代の人々の中で、日本の近現代史をちゃんと高校時代に勉強したという人は非常に少ないということである。だから、この歳にもなって改めてそこをやり直す時、ベースになるべき基本情報をほとんど有していない自分自身の無学っぷりに愕然とさせられる。

ー平民宰相・原敬はどこが凄かったのか?
―板垣退助の自由党と大隈重信の立憲改進党は、結党後どうなっていったのか?
―元老って何だ?
―最後の元老だった西園寺公望って、いつ頃までご存命だったんだろうか?
―歴代首相の名前は知ってても、順番はどうなっていたのか?
―歴代首相はなんで辞めたのか、あるいは何でなったのか?
―政党出身者が首相を務めていたところから、軍人が首相を務めるようになったのはいつからなのか?
―政友会と民政党、歴代首相はどちらの出身だったのか?
ーなんで日本は戦争に向かっていってしまったのか?いったいいつどのように道を誤ったのか?
ー近衛文麿や東条英機のどこが悪いのか?

思い付くままに挙げたけど、あまりにも多くのことを僕は知らないでいた。

この歳になって、今さら猛勉強してキャッチアップするのは難しいが、ひと通りのことはちゃんと知っておきたい。そんな中で巡り合ったのが本日ご紹介のこの1冊であった。

多分、日本史の教科書のうち、1921年の原敬首相から1941年の東条英機首相までの20年間を切り出して一般読者が最低限知っておくべき歴史を通史的に学ぶとしたら、この本が最適だろう。政党変遷図だとか、歴代首相の在任期間も併載された年表も付いていて、理解を助けてくれる。重要な出来事や政策決定を、淡々と描くだけでなく、それに誰がどう賛成し(反対し)たかとか、誰が誰をどのように見ていたかとか、人間ドラマとしても描かれている気がする。

通史を1回通読したからといってパッと理解できたとはとうてい思えないけれど、何度か確認のために該当箇所を見直す、そんな読み方をしばらくはするのだろう。そろそろ足を洗いたいとも思っているのだけれど(苦笑)。

僕の同業者で、同じような必要性に駆られている方は、この本はおススメであると申し上げておく。

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