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『歩道橋シネマ』 [読書日記]

歩道橋シネマ

歩道橋シネマ

  • 作者: 恩田陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/11/20
  • メディア: 単行本

内容紹介
あなたは、小説の奇跡を目撃する。とある強盗殺人事件の不可解な証言を集めるうちに、戦慄の真相に辿り着いて……(「ありふれた事件」)。幼なじみのバレエダンサーとの再会を通じて才能の美しさ、酷薄さを流麗な筆致で描く「春の祭典」。密かに都市伝説となった歩道橋を訪れた「私」が記憶と、現実と、世界の裂け目を目撃する表題作ほか、まさにセンスオブワンダーな、小説の粋を全て詰め込んだ珠玉の一冊。

以前、同じ作者の短編集『図書館の海』を読んだとき、自分には合わないけれど、就寝前の睡眠導入剤としてはちょうどいい長さかもというような感想を述べたことがある。『図書館の海』の場合は、1編あたり平均30頁ほどあったが、本日ご紹介の『歩道橋シネマ』は18編で300頁、つまり、1編あたり16~17頁程度ということになる。

この長さだと、睡眠導入剤としては勿論のこと、朝の出勤前にトイレを占拠して、用が済むまでの10分程度であっても十分読み切れる。多分通勤電車の中でも可能だろうが、今は同時並行的に2冊の本を読み進めるスタイルをとっているので、あまり外を出歩くときには小説は読んでいない。

なので、本書は読了までに数回の就寝と、数回の朝のおつとめが絡んでいる(笑)。

で、内容はというと、結構なインターバルを入れたとはいえ、18編も読むと、正直言ってこの場で感想など書きづらい。印象としてはどれもホラーで、しかも少しばかり想像力を働かせないとオチが理解しずらいところがある。同じ恩田作品でも、『夜のピクニック』や『蜜蜂と遠雷』とは明らかに異質で、同じ作家の違った一面を感じることができる。それをよしとできるか否かは、読み手側の許容度による。

ただ、収録作品の中には、今作者が取り組んでいる長編作品の習作として描いてみたという短編が含まれている。『図書館の海』の中の「ピクニックの準備」のような作品である。よって、将来その長編作品が世に出て、そして売れた時、『歩道橋シネマ』も再び注目を集めることになるのだろう。


タグ:恩田陸
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