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再読『実践ソーシャルイノベーション』 [仕事の小ネタ]

実践ソーシャルイノベーション - 知を価値に変えたコミュニティ・企業・NPO

実践ソーシャルイノベーション - 知を価値に変えたコミュニティ・企業・NPO

  • 作者: 野中 郁次郎
  • 出版社/メーカー: 千倉書房
  • 発売日: 2014/06/04
  • メディア: 単行本

2014年10月以来の久々の再読である。初出の際のブログ記事をご覧いただければ本書が扱った7つの事例はお分かりいただけるかと思う。驚いたことに、三鷹在住だった僕がブータン駐在することになった後、仕事の関係で接点ができた自治体が2つ、このケースの中に含まれている。僕がブータンで仕事をする際、この本を事前に読んで予備知識を得ていたことが役に立った場面もある。また、実現には至らなかったものの、「アートサイト直島」のことを知っていたことで、現代アートを通じた地域おこしをブータンなりに演出できないものかと思い付き、それなりの頭の体操もできた気がする。

それを久々に読み直したのは、この事例に関する記憶自体をリフレッシュしておこうと思ったからである。確かこう書いてあったなと思っていた記憶が、結構怪しいような気もしたので。初めて読んだ時には、将来ブータンでこの事例で取り上げられた離島の関係者の方々と接点ができるとは思っていなかったので、わりと飛ばし読みしていた。曖昧な記憶に基づいて僕はしゃべっていたが、今回読み直してみたら事例の記述のトーンがやっぱり「町長のリーダーシップ」ありきだった。「それよりも住民が問題を直視して行動を起こしたからだろ」と何度か発言したことがあるが、これはむしろ三鷹市のことだった(冷や汗)。

7つの事例を読んでみて、各々の取組みの革新性、先進性には改めて頭が下がる思いがする。だからといって、その離島に特段の便宜を図れと言われると、「ちょっと違うんだけどな~」という複雑な思いを抱く。既に成功しているんだからいいじゃないかと考える自分もいる。僕は仕事以外の点ではこの離島とは全く接点がないし、自分が地域おこしに関わりたいと思うとしたら、自分の故郷で、この離島ほどメディアからは注目はされていないけれど、「知る人ぞ知る」という活動にである。これは、年老いた両親を故郷に残して東京だったり海外だったりとかで好き勝手に生きてきた自分が、この歳になって強烈に思うところでもある。

責任ある立場から外れて少しは自分が今後関わりたいことに選り好みができるなら、仕事の10%程度の時間はこんな活動にも充てたい。我が社が社員のモチベーションを損ねない形でオープンイノベーション的なことを始めるとしたら、そういう形を言うんじゃないのかな。

だから、本書で取り上げられた離島や山村の事例は、あくまでも参考ということで。また、ある意味、これらの事例はライバルということで捉えている。注目されてるんだからここを支援しろという人もいるが、この事例を形式知化して、他の地域での実践にもつなげていくのが本来やるべきことなんじゃないか。

それと、もう1つ本書で参考になったのは、まとめの第4章に書かれていた「実践知のリーダーシップ」であった。ここに、リーダーのあるべき姿が挙げられているが、これが自分がインドやブータンでやってきたことと照らし合わせてみてどうだったのかは考えてみてもよい。

 能力1:「善い」目的をつくる能力―「リーダーは信念を持つ」
 能力2:現実を直観する能力ー「リーダーは個別具体の現実のただ中で実践する」
 能力3:場をタイムリーにつくる能力ー「リーダーは文脈を読む」
 能力4:直観の本質を物語る能力ー「リーダーはプロデューサーである」
 能力5:物語を実現する政治力-「リーダーは自己組織化のきっかけをつくる」
 能力6:実践知を組織する能力-「リーダーは変革を持続させる」

実は今、自分がブータンでやってきたことを文書でまとめておこうかと思いつつ、どう構成するかで悩んでいた。本書を久々に再読しての最大の収穫は、この枠組みで捉えてみた場合、結構やることはやっていたかもと思えたことであった。特に、プロデュースや自己組織化のきっかけ作りは、相当やってた気がする。今書こうとしている本は、ある特定のイシューにフォーカスすることになるけれど、そのイシューを主流化する取組みの中で、僕は相当「つなぐ」ことを意識していた。

別に本書を事前に読んでいたからというわけじゃないが、結果的にはそうなっていた。自分がやってきたこともまんざらじゃないなとわかり、気持ちよく読了した。

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