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ドナー円卓会議の記事総ざらえ [ブータン]

ラストマイルは戦略的に行かないと:首相
Bhutan needs to strategise the last mile ride: PM
Kuensel、2019年3月13日、Tshering Dorji記者
http://www.kuenselonline.com/bhutan-needs-to-strategise-the-last-mile-ride-pm/
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民主化が人間開発を前進させる
Democracy progresses human development
Kuensel、2019年3月13日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/democracy-progresses-human-development/
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改めて開発と卒業後をイメージする
Re-imagining development, post graduation
Kuensel、2019年3月14日、Tshering Dorji記者
http://www.kuenselonline.com/re-imagining-development-post-graduation/

UNDP、国王に記念盾を贈呈
UNDP honours His Majesty The King
Kuensel、2019年3月14日
http://www.kuenselonline.com/undp-honours-his-majesty-the-king/

開発協力パートナー、LDC卒業支援を表明
Development partners commit to support graduation
Kuensel、2019年3月15日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/development-partners-commit-to-support-graduation/
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小規模零細産業と市民社会組織が持続可能な卒業への鍵
CSIs and CSOs, agents for sustainable graduation
Kuensel、2019年3月15日、Tshering Dorji記者
http://www.kuenselonline.com/csis-and-csos-agents-for-sustainable-graduation/

円卓会議、卒業に向け政府を後押し
RTM boosts government’s confidence to graduate
Kuensel、2019年3月16日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/rtm-boosts-governments-confidence-to-graduate/
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◇◇◇◇

GNH委員会と国連は、3月12~14日、当地で2年ぶりの開発協力ドナー円卓会議を開催。第12次五カ年計画の概要と2023年のLDC卒業に向けた、経済多角化や新たな開発資金動員策といった課題についてブータン政府側から説明があり、参加した32の二国間、多国間協力機関がLDC卒業に向けた支援の継続を表明した。共同議長はタンディ・ドルジ外相とUNDPシュタイナー総裁が務め、UNDP総裁訪ブに合わせ、2019年版ブータン人間開発報告書公開、ワンチュク国王拝謁等のイベントも行なわれた。

円卓会議関連のクエンセルの記事を全部まとめてご紹介する。個々の記事の解説は省略するが、見出しだけ読んでもある程度何が書いてあるかはおおよそ想像がつくと思う。

前回の2017年3月の会議と今回の会議、両方傍聴させてもらって、「LDC卒業に向けたラストマイル」というところは全く同じことが言われていて、開発協力パートナーの支援表明についても、「おっ!」と思わせるものはなかったが、定点観測してみて気付いたことが幾つかある。

1つは、「ラストマイル」の定義に関するもので、この2年間で「ラストマイル」の議論はそれなりに進んだと思うが、各セッションの発表者の顔ぶれと発表内容から見て、経済の多角化と新たな開発資金動員策の2つが主催者側のメッセージとして大きかった印象を受けた。ブータン政府の人と話していると、第12次五カ年計画で重要なのは「人材」だと常々仰っていたのだが、人材を強調したのはフロアから発言した幾つかの開発協力実施機関の方だった。

2つめは、新政権の閣僚で円卓会議に出られていた方々からの「支援要請」の発言が、前回よりもかなりストレートになっていたのが印象的だった。前回はもうちょっと控えめな言い方をされていたと思うが、今回はかなりストレートだった。国民の福祉拡充を強調して選挙を勝ち抜かれた政党で、傍から見ていても国政選挙に当初出ていた4党の中で、最も「大きな政府」の指向が強かったのが今の与党である。

3つめは、経済多角化の方策の中で相当「小規模零細産業」というのが特出しされてきたなという印象だが、さらに言うと、「テクノロジー」が頻出のキーワードになっていた。3年前に赴任してこられていたJICAの所長が赴任当時から推進に孤軍奮闘していた「デジタルファブリケーション」や「第4次産業革命」が、3年の歳月を経て、ブータン政府高官の口から飛び出すようになってきた。前回の円卓会議の頃は、国連常駐代表であっても「デジタルファブリケーション」のことを「AI」だと仰っていたぐらいだったが、今や円卓会議の場で普通に議論されるようになった。2017年7月にオープンしたファブラボ・ブータンの活動実績が認知を受けてきた証しだと言えるだろう。

4つめは、今回はUNDPの総裁が来られたからだと思うが、円卓会議全体がUNDP中心に動いていたような印象を強く受けた。新所長も来られたこともあるし、このタイミングで人間開発報告も公開した。円卓会議自体がブータン政府と国連の共催イベントなのでまあそれはいいにせよ、UNDP総裁が国王謁見やらバイ面談やらで円卓会議を中抜けしている間、国連の関係者はそれにくっ付いて退席し、メディアもそれにくっ付いて会場を後にした。このため、円卓会議初日の午後に行われたセッションについてはメディアは全くカバーしていない。

このメディアもカバーせず、国連の幹部はほとんど聞いていない「気候変動と防災」のパネルセッションに登壇したのがJICAの前所長であった。(前所長と書いたのは、3月1日付で新所長が任命されて赴任準備に入っておられ、前所長は帰国準備に入っていたからである。)前回の円卓会議では席も与えられず、発言機会のなかったJICAの所長が、今回は最前列に席をゲットし、さらにパネリスト登壇を果たしたというだけでも大きな変化だと思うが、その席上、前所長はこんなことを述べた―――。

開発協力資金は依然必要だと言われるが、大きな資金投入など必要なく、現場の工夫でもっとできることがある筈。スペアパーツがないからとその場で放置するのではなく、ないならその場で作れるようにするべき。ものづくりのカルチャーは国内でもっと醸成できる筈。新しい援助も大切だが、今までやってきたことをちゃんと生かしていくことがもっと大切。

舌足らずだがこんな趣旨だったかと思う。外国から50人もの訪問団が来て、現場を知らない中で往々にして空中戦になりがちな会議の場で、現場のリアリティを持ち込んで「ブータン側がもっとできることがある筈」と主張したJICAの所長の声は、メディアでは全然報じられていないけれども、もっと知ってもらって良かったのではないかと思えた。

◇◇◇◇

もう1つ、個人的に僕が「おや?」と思ったのは、円卓会議2日目の第1セッションの財務事務次官の発表の中で、将来的な開発資金の追加動員策の検討テーマの中に、「GNH of Business Certificationツールの活用」が含まれていたことである。これ、僕が2017年11月の第7回GNH国際会議の場で提案したやつじゃないか!?

確かに、あの時に僕が書いた論文は財務省マクロ経済局の知り合いのスタッフにも手渡したことがあるが、それが円卓会議の場で言及されると、本気で考えてくれ始めているんだと初めて実感した。東京・中野で親友と酒を飲んで盛り上がった構想が、ちょっと動き出しそうな気配を感じた。個人的にはそんな円卓会議であった。

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