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国際ブータン学会 [ブータン]

ブータンを深く知る
A deep dive into Bhutan
The Bhutanese、2019年1月12日、Tenzing Lamsang編集長
https://thebhutanese.bt/a-deep-dive-into-bhutan/
2019-1-12 Bhutanese.jpg
【ポイント】
国際ブータン学会(ISBS)は2015年の発足後、初めての大会を1月8日から10日まで、英国オックスフォード大学で開催した。ブータンと言えば、2つの超大国に挟まれ、小国ながら戦略的に重要な国として捉える有識者もいれば、旅行者の記事にあるように、桃源郷、ないしは雲に覆われた神秘の王国と捉えるような人もいる。ブータンとそこに暮らす人々を真に理解する取組みは世界では類を見ない。ISBSはその第一歩ともいえるもの。

これまでブータンは「チベット・ヒマラヤ地域研究」の括りで捉えられることが多かったが、ISBSはブータン1国にフォーカス、世界の研究者が一堂に会して研究成果を論じる初めての枠組みとして重要。ブータンにとっても、ブータンに関する世界の知見を得られる貴重な場として期待される。

第1回大会は、80以上の国からブータン専門家が参加し、3つのプレナリー(全体セッション)、2つの基調講演(ダショー・ツェリン・トブゲイ、ダショー・カルマ・ウラ)に加え、12の分科会セッションから構成された。セッションは、言語学、生態学、人類学、法律学、国際関係学、GNH、開発学、食文化、教育、歴史、仏教学、ガバナンス等に分かれ、各セッションの発表者は事前のペーパー提出と、それに基づく発表が求められた。

◇◇◇◇

長い記事なので、各セッションの登壇者の発表内容の記述は省略する。僕がこの記事を読んだ時、まず最初に思ったのは、日本ブータン学会(JSBS)日本GNH学会はこれに参加していくことが求められていくんだろうなということである。日本でなら通じる議論を英語で戦わせるというのはしんどいが、そういうのができる日本人研究者も中にはいると思う。

などと考えながら記事を読み進めていくと、明らかに日本人だと思われる研究者の名前がお二人出てくる。1人は東北大学の西田文信准教授、もう1人は公益財団法人中曽根康弘世界平和研究所の高橋義明主任研究員。折角だからとISBSのウェブサイトで全てのセッションの登壇者を調べてみたら、京都大学の今枝由郎客員教授、京都大学こころの未来研究センターの熊谷誠慈教授のお名前も見られた。全ての発表者の要約とスライドは、このウェブサイトでダウンロード可能なので、英語の自信のある方は是非ご覧下さい。

例によって例のごとく、僕はこの学会のカンファレンスの開催情報を直前になってから知った。僕のアンテナの張り方が十分ではない不徳は痛感させられたが、だからといって今は他に非常に重要なオペレーションの真っ最中で、カンファレンスが開催されていた先週に、のこのこ英国まで行けた余裕など全くなかったから無理だった。また、ペーパー執筆もちゃんとやっていられたとは思えない。

僕は、2017年度は結構頑張って論文を書いたりしたが、今はそれらを全部まとめて1冊の本にする作業と、仕事の上では総仕上げの時期に入ってきている。2018年度にやってきたことの中には、これをまとめればペーパーの1本、2本は書けそうなものも含まれてはいるが、とにかく今は書けない。

ということで、この記事からの僕の学びは、ISBSが3年ないしは4年後、つまり、2021年から22年頃をターゲットに第2回大会を開催する可能性があるということを知ったという点に尽きる。まあ、そこまで待たなくても毎年王立ブータン研究所(CBS)はGNH国際会議を開いているわけだし、自分のやってきたこととその効果をまとめて発表し、多くの人に知ってもらうのに使える場がもう1つ増えたと捉えている。駐在経験のあるネパールやインドにもそれなりの思い入れがあるので、ブータンに「ディープダイブ」というわけにはいかないと思いますけどね。

末筆ながら、この記事を読み、ISBSのウェブサイトをちょっと読んでみて、もう1つ思ったのは、タクツェの言語文化カレッジ(CLCS)がこういう場にちゃんと出て来て、東北大学の西田先生や京都大学の熊谷先生のような方々とちゃんとコネクションを作るべきだということである。(CLCSからは講師が1人参加しているようだが。)たまたまタクツェを訪れた人にメッセンジャー役を頼むべきではない。ここまでの記事は日本のブータン研究者が国際的な学会でちゃんと発信していくことを念頭に書いてきたが、逆にブータン人研究者が外に出てきてネットワークを拡げる取組みももっと進められるべきだと感じた。
タグ:地域研究
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