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「ブータンの企業家」のイメージ [ブータン]

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昨年10月末、「予測性の大問題」と題したブログポストで、「ブータン企業家フェスティバル(Druk Tshongrig Gatoen)」というのを取り上げた。記事の中で、そのオープニングで、約90人の企業家の起業に至るまでの歩みをまとめた本「Entrepreneur Stories」というが公表されたことにも触れた。

これまでこの国には企業家になりたくてもそのロールモデルになれる人がいないとよく指摘される。本書はそうしたロールモデルになり得る人々の経験をまとめたもので、どんな人がブータン人的には「今をときめく企業家」なのか、イメージを掴むにはいい本だと思う。

さっそくフェスティバルを主催したローデン財団に問い合わせたところ、今は印刷中ですぐには渡せないと言って待たされた。2カ月後、ようやく入手できた。そもそもこの装丁からしてどこで印刷製本やったのかも興味があったので尋ねたところ、ベルギーでやったとのこと。それをブータンまで空送するのには費用もかかり、その費用を値切る交渉を航空会社としたりしていて、時間がかかってしまった由。

まあそれはともかく、入手できたのでページをパラパラめくってみた。僕も知ってる企業家が数名、カッコいい写真入りで紹介されていた。カメラアングルもいいし、ページのデザインもいい。ここでカバーされている約90人の企業家は、ティンプーやパロに留まらず、全国から選ばれている。(ガサとペマガツェルでは適当な企業家がまだ台頭して来てないとのことだが。)

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ちなみに、僕が出張に行くと帰りに必ず立ち寄るロベサの「ブブ・ベーカリー」の女性経営者も紹介されている。スイーツのラインナップはティンプーでもよく見られるものだが、これがティンプーに戻る最後の山登りの手前のロベサの町にあることで、休憩の際についつい自分へのご褒美として買ってしまうのである。

まだ詳しく読んでないので、選ばれている企業家の顔ぶれと写真からしか判断できないが、自作のレーザー加工機で今までブータンにはなかったモノを作っていて、僕的にはかなり頑張っていると思える企業家もいれば、地方の農家さんのような企業家もいる。カバー範囲がかなり広い。広めにとっておかないと、なかなか自分で起業しようという若者が出て来れないというのもあるのだろう。

日本だったら、起業する人って大学卒業後どこかの企業で数年働いて起業資金を積み立てつつ人的ネットワークを拡げ、ビジネスセンスを磨いて起業のタネを探すというプロセスを経ている人が多いが、ブータンにはそういう若者を吸収してくれる企業があまりないので、職業訓練校や大学を出てすぐに起業という、かなり難易度の高い経路を推奨せざるを得ないのが現状だ。ローデン財団の人に訊くと、同財団では大学生をターゲットにして起業推奨をしようとしているが、学生に「大学を出たら起業したい人」と言って挙手を求めても、ほとんど手が上がらないのが現状だという。

大学生や職訓校の生徒にアプローチして「起業」を選択肢の1つとして加えさせるところまで持って行くのは、既に卒業して求職状態にある若者にアプローチするよりも長期的には効果が期待できると思うが、時間もかかる。また、起業推奨するだけでなく、シードマネーを融資として提供し、数年間にわたってモニタリングし続けることも必要になるが、こうした回転資金も、欧米の民間篤志家の寄付に依存しているのが現状らしい。

昨年、ローデン財団の日本支部が京都にできたと何かのメディアで紹介されていたのを見た記憶がある。お隣りのインドには10年ぐらい前にRang Deという、自分が資金プレッジをしたい事業を選べて、目標金額にプレッジ総額が到達したらバッカーのアカウントから引き落としされるという、クラウドファンディングっぽいサイトができていたのを覚えているが、財団の支部が欧米だけでなく日本にもできたことで、クラウドファンディングはやりやすくなるのかなという気がする。


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