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『ファシリテーション・グラフィック』 [仕事の小ネタ]

ファシリテーション・グラフィック―議論を「見える化」する技法 (ファシリテーション・スキルズ)

ファシリテーション・グラフィック―議論を「見える化」する技法 (ファシリテーション・スキルズ)

  • 作者: 堀公俊・加藤彰
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2006/09/01
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
議論を描けば会議が変わる!ミーティングやワークショップを効果的に進行する必須スキルを豊富なビジュアルを用いて解説する初めての入門書。

2019年一発目のネタは、未だ継続実践中の積読蔵書圧縮計画の続き。この本、もはやいつ購入したのかすら覚えていないが、薦められて購入したのだけは覚えている。ワークショップのファシリテーションの入門書として堀公俊の著書はおススメであると誰かに言われた記憶があって、その時に具体的に薦められたのが本書だったというわけ。

2日あれば十分読める内容だが、問題は実践。僕は2014年2月に地元で行われた講演会で、講師の方が話されたことを全てホワイトボードに箇条書きで板書するという経験をしたことがあるが、ノンペーパーでどんな話が飛び出すかわからない中で話の筋を書き出す作業は、結構大変だった。(勿論、講師の方の著書は読んだ上で板書に臨んでいたのだが。)

言われてみれば、僕の職場にも身近なところにホワイトボードがあるが、あまり使ってないなというのが気になる。ホワイトボード自体が小さいということもあるが、本書でも指摘されている「マーカーのインク切れ」という状況が改善されないので、やってて嫌気がさしてきたことも実はある。

その一方で、ホワイトボードにアイデアを書き出すことで、その場にいた皆がアイデアを出しやすくなったというメリットも実際には何度か経験した。ブータン人は目上の人と面と向かって話をして、自分の意見を言うのはかなり苦手である。対面で視線が交差するようなポジションで意見を出し合うと結構議論が停滞してしまう。もっと意見言えと言われてもなかなか意見できない。なので、彼らの視線を1カ所に集中させるようなレイアウトにして意見を出し合う方が、議論は確かに活性化できる。ホワイトボードを使ったディスカッションは、もっともっと行ってもいいように思う。

昨年はうちの職場でも仕事上お世話になっていた関係者が地方でお亡くなりになるという緊急事態を経験したが、今となって振り返ってみれば、あの時いつ誰が何をしたのか、皆が一覧できるように記録を取っていれば、10年に一度あるかないかという緊急事態の対応オペレーションを、その時に職場にいたスタッフが皆、覚えていられる環境を整えられたかもしれない。本書を読みながら、ちょいとそんな反省をした。

一方で、自分がブータン駐在生活を終えて東京に戻った場合、地元の国際交流協会の仕事をまた手伝う可能性もある。2014年3月末を以ていったん距離を置いたのだが、最大の理由は自分が委員をやっていた分科会での議論の停滞ぶりにあり、特に、議論を収束させる気などなく自分の意見だけ言いまくるシニアの委員の暴走ぶりに嫌気がさしたというのが大きい。そういう暴走老人が牛耳っている間は復帰には躊躇もあるが、本書を読みながら思ったのは、あの当時の問題は、分科会の委員長のファシリテーション能力と、国際交流協会事務局スタッフが本書で言う「グラフィッカー」としての役割を果たしていなかった2点にあるのではないかということだった。

あの時、事務局スタッフがこのファシリテーション・グラフィックの効能について多少なりとも知見があり、議論を板書にしたためる工夫をしていれば、委員の発言が逸脱した際の軌道修正もできただろうし、議論の漏れや抜けも早く気づき、形成された事業の方向性に関して、誰が何をやるのか、誰に仕事が集中し、誰が暇そうなのか、もうちょっと建設的に論じることができたかもしれない。だから、この手法の効能について学んだ今なら、あの場に再挑戦したとしても、当時とは異なる形に持って行けるかもしれない、そんな前向きな気持ちになれたのである。

この道を究めようというつもりはないものの、個人的には会議のノートテークなどで今年はちょっと試してみようかと思っている。僕のノートテークは、基本的には青色ボールペン1色で、せいぜいピンクの蛍光ペンで下線を引くか、青ペンでキーワードに囲みを付けるかの強調しかしていないのだが、ここ2年ぐらいそれでやってみて、書き出したポイントに基づいて会議で発言したり、スピーチやったりする際に、ノートが読みづらいと感じたことが何度かある。この点は今年は少しばかり工夫を凝らしてみたい。

最後に、本書を読んでもう1つ思い出したのは、昨年9月末にブログでもご紹介した「ソトコト2018年10月号」の特集記事のことだった。確かその中に、「グラフィックレコーダー」という仕事について紹介されている記事があったが、今振り返ってみると、グラフィックレコーダーって、議論の活性化を助けるという目的においては「グラフィック・ファシリテーター」とよく似ていて、多分前者はもっとイラストを多用するのかなという印象を受けた。

さて、取りあえず本書もこれで積読状態は解消となった。当地で活動している日本人の方々にも使っていただきたいスキルだと思うので、本書は何らかの形で当地に残していくつもりでいる。

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