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『NEVER LOST AGAIN』 [仕事の小ネタ]

NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生 (世界を変えた地図)

NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生 (世界を変えた地図)

  • 作者: ビル・キルデイ
  • 出版社/メーカー: TAC出版
  • 発売日: 2018/11/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
【知られざるグーグルマップ誕生物語】
キーホールの立ち上げからグーグルによる買収、世界的な成功を得るまでを臨場感迫る筆致で描く。いまや、世界中の人たちの必須アプリ「グーグルマップ」の知られざる誕生物語が緊急翻訳出版!

ブログ復活記事第2弾は、グーグルマップ、グーグルアース、さらにグーグルストリートビュー、ポケモンGO誕生の物語。読み始めは11月23日、読了は12月8日。460頁もあるかなり分厚い本だとはいえ、こんなに時間がかかったのは生活に余裕がなかったからだ。

実は11月初旬、うちの組織はグーグル社から派遣された社員ボランティアを受け入れた。僕たちが普段直面している課題について、同社が提供できるソリューションがないか意見交換をする場だった。聞くところによると、グーグル社は年に2回ほどブータンに社員ボランティアを派遣してきているらしい。それがうちに来て下さったのは、僕が昨年、グーグル・シンガポール社の方と、知人を介してたまたま夕食をご一緒したからで、今年社員ボランティアを派遣するにあたって、Sanchaiのいる組織にも声をかけてみろとコーディネーターの方に提案して下さったのだそうだ。当然ながら僕は受入れ歓迎したし、ついでに2カ所紹介もした。

このグーグル・ボランティアは今後も続くだろうから、顔合わせだった今回はともかく、次回以降はもうちょっと実装につながるような具体的な相談ができたらいいと思った。そこで、そもそもグーグルが得意としているものが何なのか、実際にどのような形で実装されているのか、さらにはそうしたテクノロジーがどのようなプロセスを経て開発されてきたのか、そんなことを知りたいと思い、本書を読んでみることにした。

グーグル社の地図情報サービス開発チームを率いたジョン・ハンケの、テキサス大学時代からの親友だったビル・キルディがまとめたこの開発史は、大学卒業後の1999年にハンケがキーホール社を立ち上げ、それがスタートアップによくある資金繰りの行き詰まりをなんとか乗り越え、2004年にグーグル社に買収されるまでが前半。さらに中盤はグーグルマップ、グーグルアースの立ち上げまでのストーリーが続く。著者はその後シリコンバレーを離れてテキサス州オースチンに拠点を移すが、その後のハンケとキーホール創業時から続くチームの活躍を描き、そして終盤はそのハンケもグーグル社から独立して、キーホール創業時のメンバー数名と新たな企業を設立し、それがポケモンGOを生みだすまでが描かれる。

その合間合間に、グーグルマップやグーグルアースが開発チーム自身も思いもよらぬ形で社会で活用されるケースも出て来るし、2007年のアップル社iPhoneリリースとそのキラーコンテンツとしてのグーグルマップ搭載を巡るアップル対グーグルの攻防の話も出てくる。いずれも会社内でのやりとりを間近で見ていないと描けない臨場感で、読ませるストーリーになっている。誤植が3、4カ所あったけれど、全体的に流れのある翻訳になっていて、スラスラ読める。

それで肝心のグーグル・ボランティアの方々が次回来られた際にぶつけられそうなアイデアはあったのかというと、読んでて3つ思い付いた。

1つは、これから行われる全国防災計画策定への統合。これは、2005年のハリケーン・カトリーナで被災した米国ニューオリンズでグーグルマップが威力を発揮したケースを参考に、救命救助の際の所在地特定で威力を発揮しそう。勿論、その前提は携帯がちゃんとつながることなのだが。

2つめは、犬咬傷対策。こんなことを書くと僕の実名を知っている方々からお叱りを受けそうだが、ブータンの犬咬傷は相当深刻なので、この問題になんとか地図情報サービスによるソリューションが考案できないものかと考えた。最初は総ての犬にGPS付けたらと考えたのだが、バッテリーの問題があって難しいと思うので、むしろどこが危ないかを地図上で見える化する取組みができないかと思う。噛まれたら噛まれた場所でポチっと押すアプリを開発し、自動的に地図にプロットされる。そうすると、リアルタイムのリスクマップができる。市民はハイリスクの区域では注意だけはできるし、その区域を名指しされた住民にはプレッシャーを与えることができる。

3つめは、以前ブログでも主張した「インフラも観光資源」という関連で、日本も22橋もブータンで架けているんだから、「橋カード」でも作ったらどうかと述べたことがあるが、カードを製作するのも費用がかかるので、どうせなら各橋にカメラをかざすと自動的に橋の情報がスマホにポップアップされるような仕組みを作っちゃったらどうだろうか。また、カード集める代わりにポイント制で自動的にポイントを加算できるアプリを開発するとか…。

まあ、多分次回グーグル・ボランティアの方々がブータンにお越しになる頃に僕がいられる保証はないので、誰かが読んでその時に思い出してくれることを期待して、ここに挙げておく。

僕自身は、グーグルマップはともかく、グーグルアースのユーザーでは必ずしもなかったけど、本書を読んだ後グーグルアースを使ってみて、起伏に富んだブータンのランドスケープを見るにはものすごく面白いなと改めて実感した。ついでに東京の自宅を見て、駐車場に白いステップワゴンが停まっているのを見て、もう1年日本に帰ってないなと懐かしさを感じたりもしたが、自分がブータンを離れたら、今度は東京(?)から、ブータンの衛星画像を見て懐かしさを感じたりするときも来るのかなと思う。

Never Lost Again: The Google Mapping Revolution That Sparked New Industries and Augmented Our Reality

Never Lost Again: The Google Mapping Revolution That Sparked New Industries and Augmented Our Reality

  • 作者: Bill Kilday
  • 出版社/メーカー: HarperBusiness
  • 発売日: 2018/05/29
  • メディア: ハードカバー


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