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『マイクロモノづくりはじめよう』 [仕事の小ネタ]

マイクロモノづくりはじめよう ~「やりたい! 」をビジネスにする産業論~

マイクロモノづくりはじめよう ~「やりたい! 」をビジネスにする産業論~

  • 作者: 三木康司・宇都宮茂
  • 出版社/メーカー: テン・ブックス
  • 発売日: 2013/04/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
★サラリーマンも上司の下請け。脱・下請けするなら、今でしょ!
「マイクロモノづくり」は「自分が本当にやりたいコト」に気付いて、それをビジネスにしていく、今まさに迎える時代の産業革命論だ。クライアントに逆らえない中小企業やフリーランス、そして上司に逆らえない会社員――。大量生産・大量消費の資本主義では「自分が本当にやりたいコト」のために、時間やコストを犠牲にすることは「罪」だった。だが、時代は変わった。
★メイド・イン・ジャパニーズ・ドリーム――ワクワクモノづくりで世界を元気にする!
インターネットの普及、デジタルツールの進化でインフラは低コスト化した。人々の心にも変化が起きている。多くの人たちが、大量生産品では満足できずに、他の人とはちょっと違う何かを求めはじめている今、マイクロな市場に向けてのモノづくりが価値を生み出すようになった。「自分が本当にやりたいコト」をして、幸せに生きていける時代がやって来たのである。 本当に必要なモノを、本当に必要なだけ数だけ生産し、本当に必要な数だけ消費する。地球と共生し、人間の幸福を取り戻すための産業論を最前線の事例とともに紹介する。

今月に入ってからなんと5冊目の「ものづくり」の本。それぞれ内容は少し異なるけれど、本のタイトルに「作る」という言葉が含まれているのが共通している。ある程度テーマを持って読書はやりたいと思っていたこともあるが、うち何冊かは先週末に妻がバンコクまで来てくれた時に、中古の本を持ってきてくれたもので、今回ご紹介の1冊もこれに含まれる。ついでに言うと、この5冊のうち、3冊はトマス・トウェイツ『ゼロからトースターを作ってみた結果』を引用している。うち1冊はこの本そのものなのだが。それだけものづくり愛好家には影響力のあった本なのだろう。

では、どの本がいちばん自分にとって役立つのか、自分を奮い立たせてくれそうなのかというと、本日ご紹介の1冊なのであった。本書の立ち位置は丸幸弘『ミライを変えるモノづくりベンチャーのはじめ方』 に近いし、著者が始めた新世代クラウドファンディング「zenmono」の仕組みは、丸がCEOを務めるリバネスと近いという印象を受けた。ただ、敷居の高さから言えばリバネスは最初から理系の、しかも大学院修了者に向きそうなスタートアップ支援の仕組みのように感じる。これに対して、本書の著者が共同で立ち上げたzenmonoは、理系の研究室経験を問わない、町工場を継承した若手経営者とか、大企業で自分の作りたいものとは違うものを設計するのに取り組まされて悶々としてきたデザイナーとかが、次に何をやるかという視点からモノづくりを捉えている。

もうちょっと視点を拡げて、スタートアップというところで捉えてみると、ダイアナ・キャンダー『スタートアップ』あたりを読むと、「スタートアップの目的は顧客を見つけることであって、商品を作ることではない」なんて書かれていて、「マーケットイン」の思想に基づいている。これは僕あたりが起業を考えるには結構高いハードルとなり得る。少なくともこれを読んで「自分も起業するか」とは思えなかった。一方、本日ご紹介の本では、著者は「リーン・プロダクトアウト」という考えを提示して、マイクロモノづくりは自分が何を作るのが楽しいのかというところからスタートする。ダイアナ・キャンダーとは真逆の考え方であり、これなら、僕でもやりたいものがないわけでもないし、周囲の誰もそれに取り組んでないよなと思うものでもある。

但し、それでもハードルはちょっと高い。なぜなら、本書で登場するほとんどのモノづくり愛好家は、元々モノづくりをしていた人々で、基本的な工作のノウハウを既に持っている人たちだからだ。同じことを僕がすぐにできるかと言われると、まず無理だろう。まだまだ心理的なハードルは高いと言わざるを得ないのである。そういうド素人にも「やってみようかな」と思える書きぶりにしてくれたら、本書の読者のボリュームはもっともっと広がるだろう。

僕自身、会社で上から言われて、あるいは組織の目標として決められていて、本社から作業指示されて取り組む仕事からはそろそろ足を洗いたい、自分のやりたいことにある程度特化させていきたいと思っている。問題は自分のやりたいことは何かということだが、少なくとも今の自分にはまだまだデザインや工作機械の操作のノウハウは十分にはないなと思っている。そのあたりはやっておかないといけないが、いろいろな人のアイデアを知ることも結構重要だと思っている。

このブログ記事は僕がバンコクからティンプーに戻ってから掲載される予定だが、バンコクでもいろいろ見る機会があった。下の写真は、ペットボトルからTシャツやバッグパックを作る取組みである。僕が付き合いのあるファブラボ・ブータンの創業者は、「これからは『ファブ・テキスタイル』だ」と言うが、民族衣装中心のブータンで、各人の体形に合わせてクイックに編み上げるような取組みがヒットするのかどうかは少し疑問に思っていた。でも、今回このPETリサイクルを見てたら、この方法なら民族衣装はともかく、学校の生徒が着るスクールジャージぐらいは輸入代替に持って行ける可能性があるのかなとも感じた。

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最後にもう1つ。本書を読んでて瓢箪から駒というか、アマゾンのキンドル・ダイレクト・パブリッシング(KDP)について知ることができたのは収穫だった。バンコク滞在中、僕は現在ブータンで印刷製本計画中の英文書籍の原稿最終チェックの作業をシコシコやっていたのだが、製本版の部数を個人出版で作って離任前に関係者に配るだけじゃなく、他の希望する読者にどうやって届けたらいいか、ちょっと悩んでいたところがあった。本書でKDPについて知り、さっそく調べてみた。英文なら対応可ということだった。その手があったか!!ある意味、これが僕にとって最大の収穫だった。

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