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『ダンデライオン』 [読書日記]

ダンデライオン

ダンデライオン

  • 作者: 中田 永一
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/10/25
  • メディア: 単行本
内容紹介
「くちびるに歌を」以来7年ぶりの長編小説 ―――。11歳の下野蓮司はある日、病院で目覚めると大人の姿になっていた。20年の歳月が流れていた。そこに恋人と名乗る西園小春が姿を現す。子ども時代と大人時代の一日が交換されたのだ、と彼女は話した。一方、20年後の蓮司は11歳の自分の体に送り込まれていた。ある目的を達成するために、彼は急いでいた。残された時間は半日に満たないものだった―――。ミリ単位でひかれた、切なさの設計図。著者だからこそできた、完全犯罪のような青春ミステリーの誕生。

この週末は完全オフ。単身赴任状態の僕が健康診断のために滞在中のバンコクに妻を呼び寄せ、久々に2人で過ごしている。この間、仕事関連の全ての作業をストップさせた。ちょっと空いている時間は小説を読むことにした。

選んだのは中田永一の最新作。そんな多作の人ではないので、読んだのは確かに『くちびるに歌を』からも7年もの歳月が経過している。『百瀬、こっちを向いて。』にしても『吉祥寺の朝日奈くん』にしても、登場人物が比較的若いが、今回の最新作はというと、20年前の自分と入れ替わってしまう下野蓮司は31歳であるから、これまでの作品に較べると出てくる人物が比較的年齢が高い。ただ、読者の僕自身も『吉祥寺の朝日奈くん』初読から8歳もの歳を重ねているので、中田作品を読むのには小恥ずかしいオジサンになってきている。

その辺の違和感、というか、「オレ、何やってんだ」という罪悪感めいたものを感じながらの読書であった。31歳の下野蓮司、11歳の下野蓮司、28歳の西園小春、8歳の西園小春、それに蓮司の兄、小春の叔父等、視点が目まぐるしく変わるので、融通の利かないオジサンには読みにくさも感じた。どうもタイムスリップものは読んでて自分にはわかりづらいなと感じながら、それでもページをめくるスピードはそれなりに速かった。

多分多くの読者がそれを感じるだろうと思うが、蓮司11歳、小春8歳の時に起きた事件の犯人捜しを20年後に達成するため、そこまでは「観測済み」の未来に向けて行動するのでいいとして、そこからの彼らがどう生きていくのだろうかというのがすごく気になる。2人がまともな仕事をしているというわけでもなさそうだし、もっと気になるのは蓮司の兄貴の生き方だ。あれだけ未来を言い当てて稼ぎまくった人が、それを一切やめられるのかなと…。

自分にとっては軽めの読書だったので、今日のレビューもごく軽めで失礼します。

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