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『モディが変えるインド』 [インド]

モディが変えるインド:台頭するアジア巨大国家の「静かな革命」

モディが変えるインド:台頭するアジア巨大国家の「静かな革命」

  • 作者: 笠井 亮平
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2017/06/28
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
「SNSフォロワー数世界一のリーダー」といわれる第18代首相の姿を通して、現代インドの政治、経済、社会、外交を概観し、南アジア情勢と日印関係を気鋭の研究者がわかりやすく解説する。

理由あって今はブータンにいる身であるが、古くからのフォロワーの方々には、「インドはどうなったんだ」とお叱りを受けそうなので、久々にインドネタで行かせてもらおうと思う。(…と言いつつ、今僕はインドに来ている。1泊だけの予定で。)

最近のインド本って全然読んでいないので、久しぶりにインドに来るにあたって、1冊ぐらい最近出た本を読んでおこうと思い、キンドルでダウンロードした。今のインドの政治経済外交と、そこに至るまでの経緯をおさらいするには良い本だと思う。

以前、僕は突然来られた方に、「ブータン情勢を10分で話せ」と急に要求され、しどろもどろになってるうちに、「お前じゃ話にならん」と怒られ、お客様をご立腹の状態でお帰しした苦い経験がある。自分よりもずっとご年配の方に、急に来られて「ブータン情勢」と言われて、その時は何をどう10分でまとめればいいのか全く頭の中が真っ白になってしまったが、この本を読んだら、ああ「情勢」と訊かれた場合は政治、経済、外交あたりをそれぞれ1トピックぐらいでさらっと喋れば10分で及第点が付くのかなと思った。僕がブータンでの仕事を終えて日本に帰って「喋ってくれ」と頼まれた時の話の枠組みとして、この本は参考にしたいと思う。

さて、その本の紹介文の中から、あえて「社会」を外したのは、紹介文が言うほど、「社会」っぽさが感じられない記述だったからだ。日本大使館で専門調査員をご経験されたインド研究者の方が書かれた本だと聞けば合点がいく。大所高所の記述、いかにも首都からものを見ているという記述になっていて、市井の人々の暮らしがなかなか見えない。むしろ政治経済の中枢をウォッチしてきた人でないと書けない内容で、その点では本書はとても有用だと思う。でも、南インドや北東州から見たデリーはどうなのかとか、それぞれの地域の情勢まではわからない。

また、僕自身がブータンにいるから余計に思うのだが、もうちょっと西ベンガルやアッサムの情勢について詳述された本でもあったら本当はいいのになと思ってしまう。ないものねだりだとわかっちゃいるが。

そもそもインドを200頁少々の本の中で語れというのは難しく、読者だってインドの何を知りたいのかという関心はそれぞれ違うから、それに1冊の本で答えるというのはとてつもなく困難な仕事だとは自分もわかっている。全国紙だって数紙あるし、地方紙でもそこそこ購読者数があるのだってある。各々視点やポジショニングも違うので、それらを全て読みこなして分析して行くのでも大変な作業である。しかも、デスクリサーチだけやってれば事足りるというわけでもなく、政策ウォッチャーや政権中枢にいる影響力のある人々にも食い込んでいないといけないわけだし。

でも、最大公約数的に、インド駐在を命じられた企業マンが取りあえず最初に読む本、あるいは、駐在員生活を終えて日本に帰られた方が「インドについて話してくれ」と言われた時に、自分自身の見聞だけに頼らないで、ある程度無難にインドについて知ったかぶりをするには、こういう本はネタ本として極めて有用だろうと思う。

さあ、そんな感じで復習したので、僕はこれから街に出ようか!

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