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祝・ブータン証券取引所創設25周年 [ブータン]

証券取引所、オンライン資本取引システム導入
Securities Exchange launches CaMS to mark 25 years
Kuensel、2018年10月12日、Rinzin Wangchuk記者
http://www.kuenselonline.com/securities-exchange-launches-cams-to-mark-25-years/

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【要約】
株式投資家は、取引注文をオンラインで出し、取引状況をリアルタイムで確認できる。そんな新しいオンラインシステムが王立証券取引所(RSEB)により開発された、新システムは11日、RSEBの創設25周年を記念してティンプーでローンチングされ、暫定政府のツェリン・ワンチュク司法長官をはじめとした政府関係者、上場企業や民間セクター代表者がこれを祝った。

新システムはRSEBが内製化で進める資本市場取引ソリューションの一環で、全証券取引システムの自動化の取組みの一部である。自動化することで資本市場への信頼度を高めて投資しやすくし、政府や民間セクターが長期資金にアクセスしやすうなるというメリットが期待される。

RSEB代表理事のキプチュ・ツェリン氏によれば、証券市場は43年前、四代国王が1975年1月7日に公布した王立保険公社(RICB)設立憲章に端を発しており、RICBの株式の一部を一般個人や公務員に公開したのが始まりである。その後同様の株式公開は他の公社についても行われたが、当時この株式を売買する中央市場が不在で、取引は非公式に行われ、保有者変更は非常に難しい手続だった。そこで、王立通貨庁(RMA)は、アジア開発銀行(ADB)の協力を得て、公式な取引を行うプラットフォームとしてRSEBを設立。株主の拡大、生産部門への貯蓄資金の供給、安価な資本調達、株主への流動性確保などをもたらした。

今では、上場企業数は4銘柄から21銘柄に増え、株主は1,828人から6万2,845人に増えた。払込資本総額は4億1,339万ニュルタムから75億ニュルタムに増え、上場銘柄の総額は330億ニュルタムに達する。153.2億ニュルタムが配当金収入として株主にもたらされ、公社債発行を通じて150億ニュルタムが企業や政府により調達された。

司法長官は、強固な経済基盤を築いて民間セクターの成長を支え、一方でコーポレートガバナンスや経営、内部統制システムなどを強化する上で、証券市場の役割は重要だと強調。これまで資本市場、特に証券取引については、不十分な制度的枠組み、貧弱な市場インフラ、民間セクターの未発達、機関投資家の不在、金融リテラシー不足等のために、成長の足かせになってきた。証券市場の自動化は、市場の発展に向けた大きな一歩で、援助に頼った第三者開発ではなく、自国の専門知識を動員した内製化によりこれを行ったという点でも非常に重要だと述べた。

RSEBのドルジ・プンツォCEOは、政府からの制度的政策的支援は、民間セクターの関与とともに、資本市場の利点を生かすのに必要不可欠であると強調。「資本市場は民間セクター成長のエンジンであり、条件が整えば市場をフル活用することが必須。企業の本来の価値は、上場されて初めて可視化される。」

創設25周年記念式典はこのほか、RSEBの25年間の歩みと、上場21企業の概要をまとめたレポートも公開された。

◇◇◇◇

なんだか知らないが、10月11日は当地ではイベントが集中した日だった。全国女性子ども委員会(NCWC)とユニセフ、セーブザチルドレンは、女性と子どもを家庭内暴力から守るための24時間ヘルプラインをローンチングするというので式典を開催、教育省はユニセフや同省配属のオーストラリア人ボランティアの手を借りて、インクルーシブ教育に向けた10年間のロードマップ策定のためのワークショップを開いた。言っちゃなんだが両方ユニセフである。そして本日ご紹介のRSEBの創設25周年記念式典。式典に花を添えるというだけのためにこんな招待状が3通も来てしまったであろうJICAの所長もさぞかし捌くのが大変だっただろう(笑)。当地に日本大使館がないと、こういうのが全部JICAの所長のところにもたらされる。

個人的には最も興味があったのは証券取引所の話。実は僕はRSEBのオフィスを昨年訪れたことがあり、このオンラインシステムのプロトタイプを既にそこで見ている。上場わずか21銘柄、しかも登録ブローカーは4社しかおらず、月・水・金の午前中しか取引がされない。今回の株式取引オンライン化は、ブローカーのみが使っていたシステムを個人投資家にも開くもので、取引を見える化するには大きな一歩だとは思う。

ただ、株式の配当金利回りは相当いいらしい。RSEBの人に聞いたところでは、預金金利よりも高いらしいので、株式保有者はなかなか株を手放したがらないのだそうだ。そのために、オンラインシステムで見た感じでは売り気配と買い気配がすごく乖離していて、取引成立になかなか至らない。流動性拡大にはまだまだ課題も多いように思う。もっと上場銘柄の数が増えてこれば状況も変わってくるのだろうが。

それにしても、この日ローンチングされたというレポートの方は欲しいな。今からちょうど1年前、RSEBについては少し調べたことがあったので、少々興味あり。
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