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ソトコト2018年10月号「あたらしい仕事図鑑」 [読書日記]

SOTOKOTO(ソトコト) 2018年10月号[あたらしい仕事図鑑]

SOTOKOTO(ソトコト) 2018年10月号[あたらしい仕事図鑑]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 木楽舎
  • 発売日: 2018/09/05
  • メディア: 雑誌
内容紹介
【特集】あたらしい仕事図鑑
Open up a new work
ユニークで、楽しくて、価値ある仕事!いまある仕事が、これからの仕事に変わる。
小さなニーズや「なんでないの?」という疑問から、
あたらしい仕事が芽生え、形づくられていきます。
趣味との境目があいまいかもしれません。ジャンル分けがしにくい職種かもしれません。
きっとそれが、自分ごととしておもしろく、日常と未来を前向きに進めていける仕事。
ピン!とくる仕事、見つかりますよ。

今のブータンでの仕事を終えた後、何をしようかと考えるところがある。歳も歳だから、そんなに選択肢があるわけでもない。それと同時に考えることが2つある。1つはブータンの若者の仕事、もう1つは我が子の将来の仕事である。

ブータンの若者、自分ではあまり汗をかかないのに、大きな成功は夢みていて、物事を動かすのに外国人には頼る。一攫千金なんて機会はそんなにはないし、修羅場に直面するとすぐに腰が砕けるようではそこまでも辿り着けない。コツコツと小さな努力を積み重ねていくしかないと思う。また1つの収入源だけで全部まかないきれるわけでもない。多分、金銭で支払わねばならないような生活費はなるべく節約して現物で代替できるような仕組みも組み合わせて、現金収入は少なくとも生きて行けるような持続可能なライフスタイルがもっと提案されていかないといけないのだろうと思う。少なくともそういう意識付けを図りたくて、ブータンの若者に日本の田園回帰の話をよくする。

技能実習生制度などで日本に行く若者も多い。日本の都市の生活に憧れるのも結構だし、大きな借金を背負って行くのだから、石にへばりついてでも頑張って技能を習得してきて欲しいとも願っているが、日本の若者の持続可能なライフスタイルというのをしっかり見て来て欲しいと思う。本書で紹介されているのはそのほんの一部に過ぎないが、それでもこれだけのバラエティの新しい仕事が出てきている。僕らが学生だった頃は、大学を出たらどこかの企業に就職するというのが唯一の途のように思えたが、今はそうではなくなってきているし、そういうところは見て来て欲しい。また、そういう新しい仕事も、物好きが高じて結果的にそうなったというのが本書を読んでて感じるところである。政府か外国人か、誰かが助けてくれるっていうのではなく、少なくとも自分は他人とは違うというエッジを磨いていないと、それを仕事にしていくという選択肢は将来的にも取り得ない。

次に思ったのは我が子の将来。まだこれから高校生になるという末っ子はともかくとして、今大学生になっている上の2人、特に真ん中の娘(大学1年生)については強く思う。絵を描くのが好きで、中学高校と漫画研究会でマンガやイラストばかりを描いていた。最後は漫研で部長も経験した。お陰で人並み以上に絵は描けるが、かといって美大に行って美術を専攻させられるほどの画力があるわけでもない。また、美大を出たからといって食っていけるわけでもない。

こういう娘の場合はどういう仕事があり得るのか、時々考えることがある。本書の中でもピンときたのは、議論をリアルタイムで可視化していく「グラフィックレコーダー」という仕事である。日本でも既に100人ぐらいはいるらしいが、初めてこの役割を体験したのは、2014年7月に仕事で韓国を訪れた時だった。ある会議の1セッションで、参加者が幾つかのテーブルに分かれて座って議論をしたのだが、その各グループにグラフィックレコーダーが1人張り付いて、進行していく議論をどんどんイラストに落していった。それが描かれた模造紙をもとに、最後のセッションでは各グループから発表を行ったのである。

その時は全くピンと来なかったのだが、最近、某工事現場で、言葉の通じない作業員にも論点がわかる形でメッセージを共有しようとして、やはり「安全第一」を模造紙にイラスト化したものを見かけた。こうした現場の議論を可視化していくには、そうした現場の情景をしっかり理解しておくことも必要なので、それなりの社会経験は必要なのだろうが、ある程度対象をデフォルメするような経験は漫研でも得てきているだろうから、本人にその気があればこういうのはできるだろうなとも思う。

趣味が高じて特技になり、それも続けているうちにいい出会いがあるとこういう仕事につながっていくのだろう。そういえば僕の親友も、学生時代に書店のバイトで知り合ってもう付き合いも30年になるが、本好きが高じて出版社を渡り歩き、この春からは「ブックコーディネーター」という肩書きで働いている。僕は彼ほど文芸書は読んでいない、もっぱら書く方での経験を積み重ねてきているので、本を出すにはどうしたらいいか、いい相談相手になってくれている。

僕はどうなんでしょうかね。ブータンでの残り時間は長くてもあと半年。ブータンでの経験をベースにして、名刺代わりに差し出せる著書ぐらいはしたためておこうと、取りあえずここで2年半の間に書いた原稿は今月出版社に持ち込んだ。自費出版をいいことに、扉の口絵に娘のイラストを使わせてもらうことも出版社にご了解いただき、今娘に何枚かイラストを描いてもらうべくやり取りを繰り返しているところである。(こんなのでも娘の実績になるんだったら嬉しいし。)

計画よりも3カ月遅れてしまったが、英文書籍の方がひと段落したので、これからの半年は、日本に帰ったらもう1冊出せるよう、原稿書いていきます。

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