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求人件数>若年失業者数 [ブータン]

若年失業者5,371人に対して求人は6,373件
5,371 unemployed youths vs 6,373 job vacancies in Bhutan
The Bhutanese、2018年7月7日、Sonam Yangdon記者
https://thebhutanese.bt/5371-unemployed-youths-vs-6373-job-vacancies-in-bhutan/

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【ポイント】
国営企業で初任給が15,000ニュルタム、職の安定性は保証されていて、従業員退職準備金積立も付き、公務員同等の俸給表や待遇も適用される―――そんな仕事であってもブータンの若者は手を出そうとはしない。FMCLやGreen Bhutan、Bhutan Livestock Development等の国営企業には、合計586件の求人がある。にもかかわらず、ブータンの若者は応募することすら拒否している。

労働省雇用人材局のシェラブ・テンジン局長に言わせると、現状は若者の非現実的な願望とデスクワークやブルーカラー職種に対する姿勢によるところが大きい。「彼らは自分のキャリア選択について確たる意思があるわけでもなく、その仕事に就いてもいいのかどうか混乱を来しているのです。その上、彼らは主にデスクワークの仕事を中心に考えていて、マネジメント的仕事にすぐに就けることを期待しています。事務職以外の仕事は考えもしません。肉体労働を伴うからです。」さらに、ほとんどの若者、特に都市に住む若者の場合、合同家族制が現存していると急いで仕事に就かねばならないという切迫感に欠ける。

労働省は未だ埋まっていない求人6,373件を求人サイトに掲載。国営企業以外にも、外資系のホテルや観光産業、フロントデスク、工房、パン屋、建設業、農業等の求人がある。一方で、2017年国勢調査では、失業中の若者が5,371人いることが明らかになった。若者の失業率は10.6%である。

ちなみに労働省によれば、国内求人のある事業所の労働条件や労働環境は、2007年労働雇用法及び関連規則により保証されている。

労働省関係者によると、同省では、高校卒業後の若者をできるだけ職業訓練施設へと誘導したい考えでいるという。ここで若者のマインドセットを変え、仕事に合ったスキルをここで身に付けさせたいとしている。シンガポールの場合、高校卒業後の進路として技術職業訓練系の進路選択をする若者が全体の6割を占めている。職業訓練校に在籍する間に、企業でのインターンを経験するという。

今後の方向性として、政府は、第12次五ヵ年計画において、最低日給制から時給制に移行して労働時間のフレキシビリティを高め、建設業であっても若者が入りやすい環境を整える必要があると考えている。加えて適切な社会保障制度、年金恩給制度、家賃補助制度などの拡充も必要との認識。

労働省が2013年から2018年にかけて実施した雇用促進プログラムでは、34,887件のポストが提示され、これに33,064人の若者が就いた。国営企業への就職あっせんにより、1,509人が職に就いた。6月28日の国会演説で、トブゲイ首相は国内には5,000件の求人があると述べたが、これは今年5月に開催された若者就職フェアに向け、労働省が集めた求人を合計した4,459件が根拠となっている。これに政府の海外直接雇用制度や外資系ホテルの求人1,914件を足すと、労働省が言う6,373件という数字になる。

◇◇◇◇

随分前に、若者に仕事を与えるのが政府の仕事ではないと首相が明言していたのが新聞記事に出ていたが、そうはいいつつも仕事に就いてくれないと政府批判のネタになることから、やっぱり就職の斡旋には非常な力を入れているのがブータンの政府である。

そんな政府と、そして合同家族(ジョイントファミリー)制に守られて、ぬくぬくとしていられる―――ブータンの若者はとても幸せだ。

仕事をえり好みしているんだから、失業率の数値がいかに高くても、どうしょうもない。僕の身近でも有期雇用の契約期間が間もなく満了する高卒のブータン人がいて、何とか今の仕事を続けられないかなと相談を受けたこともあるが、就活はやっているのかと訊くと誰もが知っている大手のところを数社狙って全滅。それなら建設作業員はどうなの、日本の援助で建設中の橋の現場なんて、日本の建設会社さんはブータン人の作業員を雇いたい気持ちは強いのに、全然ブータンの若者が来てくれないってこぼしておられたけど…と尋ねると、ポカ~ンとされた。彼にとっては不意打ちの質問だったらしい。今の若者らしく、スポーツには熱中する。体を動かすのは好きなのに、肉体労働は嫌なんだ。

まあ、彼らのemployabilityを高める必要性は認めるから、職業訓練校に行かせるという方向性もわからぬではない。職業訓練校で教官をされていた方からお話をうかがったところでは、いったん社会に出て仕事を経験し、そこでどんな技能が足りていないのかを知ってから職業訓練校に自ら入学の途を選択した生徒の方が真剣度が違うという。でも、記事から推察されるのは、労働省は高校卒業してすぐに職業訓練校に行かせようとしている。しかも職業訓練校に入れた後のemployability向上の具体的な施策としては、企業でのインターンシップのみが示唆されている。

職業訓練校で教わる指導の質はどうなんだろうか。職業訓練には統一カリキュラムもなく、各教官がネット等から調べてきた情報を元に、独自解釈で教務計画を作って教えている。教官間の横の連携はないと聞くし、そもそも教官自身に実社会で働いた経験もないと聞く。プンツォリンの科学技術カレッジやデオタンのジグミ・ナムゲル工科大学の卒業生で、成績優秀だった者をそのまま教官で採用しているんだとか。これらのカレッジの教員も社会人経験がなさそうだなというのは思ったが、職業訓練校の教官も同じような傾向がある。

そういう、足元のところから固めていかないと、いかにシンガポールがそうだからといったって、シンガポールのようにブータンができるとは限らない。

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