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難しい教員の業績評価 [ブータン]

教育省、個別教員成果管理は同省に移管するよう主張
MOE proposal says IWP should be done by MoE and ranking of teachers should be done by school authorities
The Bhutanese、2018年7月7日、Pema Seldon記者
http://www.kuenselonline.com/spirit-possession-accepted-as-circumstantial-and-corroborative-evidence-in-trongsa-double-murder-casehttps://thebhutanese.bt/moe-proposal-says-iwp-should-be-done-by-moe-and-ranking-of-teachers-should-be-done-by-school-authorities//

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【ポイント】
首相からの指示を受け、教育省はこれまで、個別業績評価システム(IWP)の教員への適用のあり方につき見直し検討を進めてきた。タスクフォースが全国11県、3市にわたって887人の教員、161人の学校スタッフ、74人の校長、3人の学校カウンセラーにヒアリングを行い、IWPの教員への適用には、教員の注意を教務から他の学校活動に逸らす、教員の書類準備にかける負担の増加、自分の実績を示すエビデンスの収集にかける負担の増加、IWPの教員評価ランク付けのあり方等に課題があると結論付けた。

これに基づき、教育省では提言をまとめた。

第1に、現在王立人事院(RCSC)所管となっているIWPについて、教員及び学校スタッフのIWPの所管をを教育省に移し、学校レベルでのIWPの評価をより徹底させること。

第2に、現在6つある教員IWPの成果領域のうち、教務に直接関係する「カリキュラムの実践」「包括的評価」の2領域のウェートを各25%に高め、より教務に集中しやすくする。

第3に、書類準備負担に関しては、教務関連領域の評価は生徒のテスト成績や年間授業計画、日次授業計画等、元々ある文書を用いて行うこととする。評価の80%は、これらの文書を用いる。教務に直接関連しない4領域での評価では文書に基づく評価のウェートは5%に抑制。

第4に、教員評価結果のランク付けは、学校長と学校運営委員会が行うこと。現在4段階評価になっているが、各ランクの人数制限(クオータ)は設けない。

◇◇◇◇

IWPという言葉がメディアで踊るようになったのは今年4月頃からだったと記憶している。それも、学校教員のパフォーマンス評価という文脈での言及がほとんどである。聞けばIWPは昨年度からの導入で、議論が喧しくなったのは、実際に評価プロセスが始まる学期末が近くなってきてからのことだった。

IWPを巡る巷の噂では、一生懸命頑張っていた教員が高評価が得られず、校長に近しい教員が、大した成果も出していないのに高評価を受けている、初年度だから多少のヒッチがあってもしょうがないとはいえ、あまりに露骨な依怙贔屓があるのではないかとか言われている。僕は学校の評価の現場に立ち会っているわけではないので、あくまで人づてで聞いた話として書かせてもらっている。

同時期にクエンセルにもこの記事は載ったが、久々に週刊タブロイド紙の方の記事を使わせてもらった。週刊なので、ある程度まとまった記事になっているのではないかと思ったもので。でも、この記事を読んで自分なりに整理する中で、気になったことも幾つかあった。

第1に、教員IWPをRCSCから教育省に移管すべきだという点についての疑問。それにどんな意味があるのかは、外国人の自分にはよく理解できない。確かにRCSCが現場の個々の教員のパフォーマンスを把握しているわけではないが、同じことは教育省にも言えるわけで、移管したらどこがどう良くなるのか、記事の情報だけでは理解が難しい。

第2に、これは確実に起きるだろうと予想されるのは、テストで生徒の成績が確認できるような教科の重視がさらに露骨になること。逆に言えば、テストで成績評価をすることが難しい、体育や音楽、美術といった科目は、より後回しにされる傾向が強まるだろう。今でもテストの時期が迫ると、体育や美術の担当教員の元には、「補習やりたいので授業時間を自分に使わせてくれ」という他教科の教員からの要望があり、結果体育や美術の担当教員が暇になるということが起きているらしい。そうすると、いくら頑張っても体育、美術、音楽の教員の業績評価って、良くできる余地が少ないので、教員が担当したがらないという悪循環が働く可能性が高い。

第3に、教育省が述べている提言内容には、校長による教員評価ランク付けをもっとフェアにさせるという仕掛けが乏しいのではないかというのが気になる。冒頭で述べたような依怙贔屓を思わせる評価結果が生じた理由の1つは、教務以外の評価項目のウェートも平等に高かったがために、校長が見ている前で学校行事等でのパフォーマンスが良かった教員は、アピール要素になった可能性は確かにあるが、教務での評価のウェートを高めることで、評価結果がフェアになるのかどうかは校長次第といえる。前述の体育、美術、音楽等の教員の業績評価についても同様である。校長がフェアに評価をやらないと、この仕組み自体がフェアにならない。

タグ:教育
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