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憑依霊の言葉が判決につながる国 [ブータン]

憑依霊の言葉がトンサ殺人事件の裏付けに
Spirit possession accepted as circumstantial and corroborative evidence in Trongsa double murder case
Kuensel、2018年7月3日、Tashi Dema記者
http://www.kuenselonline.com/spirit-possession-accepted-as-circumstantial-and-corroborative-evidence-in-trongsa-double-murder-case/

【ポイント】
2015年8月にトンサ県ケンガラブテンで起こった殺人事件に関して、県裁判所に検察側から、被告人カドが有罪であるとの証拠として、殺された被害者の霊が人に憑依して語った言葉が調書として提出された。この調書には9名が署名しており、中には殺された16歳の男子高校生が通っていたサムチョリン高校の教員と4人の生徒も含まれており、彼らは男子高校生の霊が学校の料理人に憑依して、彼とその祖母を殺害したのが彼の家の門番を務めていたカドであると述べたのを目撃したという。

この料理人は小学校も出ていないが、憑依された後、流暢な英語を話し始め、校長や被害者が好きだった教師、ガールフレンドと会いたいと何度も語ったという。

検察官は同じく、サムチョリン高校の別の女子生徒にも霊は憑依し、カドがやったと語る映像も証拠として提出。憑依霊の言葉であってもこの国の文化では受入可能なものであるとし、証拠として認めるよう裁判官に求めた。裁判官は、この国の文化や伝統は憑依霊を認めており、証拠法に基づき、状況証拠、裏付けとなる証拠としてこれを受け入れると述べた。

一方、被告人のカド(46歳)は無罪を主張。彼がトンサに連れてきた捜査犬はマンデチュ水力発電プロジェクトの警備員を務めている別の男性が真犯人であり、自分ではないと強く主張した。地元警察はこの警備員を5日間にわたって拘束したが、最終的には解放したという。警察と検察側は、この犬が警備員を特定できなかったこと、また被告人が証拠隠滅を図ったふしがあると主張。カドは2件の殺人の罪で終身刑、さらに武装強盗罪で9年、証拠隠滅と訴追妨害の罪で1カ月の懲役が言い渡された。

刑が確定すれば、憑依霊の言葉が証拠として提出され、判決に影響を与えた最初の事例となる。

◇◇◇◇

もはや解説は不要だろう。こういうことがあり得る国なのだというのがわかったエピソードであった。

タグ:トンサ
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