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華々しい首脳外交の陰で [ブータン]

日本、日本語試験センター開設を支援
Japan to help establish a Japanese language centre
Kuensel、2018年4月14日、スタッフレポーター
http://www.kuenselonline.com/japan-to-help-establish-a-japanese-language-centre/

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2017年の観光客数、21.5%の増
Tourist arrivals increased by 21.5 percent in 2017
Kuensel、2018年4月16日、Dechen Tshomo記者
http://www.kuenselonline.com/tourist-arrivals-increased-by-21-5-percent-in-2017/

2018-4-16 Kuensel.jpg

◇◇◇◇

片や両国の首脳がにこやかに握手して写っている写真とともにクエンセル3面に掲載された記事。一方はその翌日のクエンセル1面トップ記事である。

4月11日の首脳会談の模様、それと4月13日の外相会談の模様は、日本の外務省HPに詳しい。気持ち的には、ブータン国内に20橋以上の橋をかけ、今も新たな橋梁の建設のためにブータン遠隔地にスタッフを送って下さっている大日本土木の方々のご尽力にも光を当てて欲しかったと思う。大日本土木のブータンへの貢献は1980年代にさかのぼるので、既に30年以上になる。JICAのボランティアよりも過酷な環境で今も仕事されている方々がいらっしゃる。
首脳会談:http://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sw/bt/page4_003919.html
外相会談:http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_005919.html

日本語検定試験(JLPT)をブータン国内で受験できるようにするのはいいことだと思う。JLPTを受けたいブータン人はネパールやインドに行かないといけなかったわけで、そのひと手間が省けるのはいいにせよ、一方で日本のビザを取得するには、わざわざデリーの日本大使館に立ち寄らなければいけないという手間は依然として残っている。オーストラリアや英国は既に領事サービス代行オフィスをティンプー市内に設けていて、できればビザセンターぐらいはティンプーに設けていただけないかなと願っているのだが、今回の会談では話題に出なかったようだ。日本への年間渡航者数がどう頑張っても1000人に満たない中で、費用対効果も考えたら難しさもあるのかもしれない。

また、柔道場建設のような話も出たようだが、柔道専用というよりも、いざという時畳を外せば剣道も出来ますという設計にしていただけたら、剣道有段者としてはありがたい。稽古場探しでまた四苦八苦している状況なので。
◇◇◇◇

さて、そんな首相御一行の訪日だったわけだが、皮肉なことに週明けのクエンセルには2017年にブータンを訪れた観光客数の情報が1面トップに掲載された。なかなかミスリーディングな記事で、インド、バングラデシュなどの「域内ツーリスト」の数は50%減ったと書かれているが、これは増勢が鈍ったという意味で、実際のところ来訪数は24.9%増えている。2016年に前年比50.4%というとんでもない急増をしたので、増勢が落ち着いたということだろう。

2017年の来訪数は25万4,704人で、前年の20万9,570人から21.5%の増加だという。内訳は域内ツーリストが18万3,287人と大半を占めていて、ブータンで使われる「外国人ツーリスト」カテゴリーは7万1,417人ということになるが、記事に挿入されていた表で見ると、日本は上位8カ国には入っていない。

2017年は韓国が国交30周年を記念して特別なプロモーションをかけたので前年比5倍という急増を見せたが、逆に日本は2016年に同様のプロモーションをやった反動で圏外離脱である。マレーシアの2,956人よりも少ないということだけは記事から推察される。ちなみに、日本人来訪者数は、2015年は2,437人、2016年は推計だが5,650人ぐらいだったと思われる。

タイミング的にはちょっと皮肉な報道である。二国間関係を政府間のレベルだけではなく、他のレベルでも深化させていきたいというのが首相御一行を受け入れた日本側の意図としてあったのではないかと思われるが、コアなブータンファンが2000人強はいる一方で、あとは「安ければ一度行ってみるか」で終わっている感じがする。
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首相訪日関連でもう1つ。NHKがトブゲイ首相に単独インタビューをやってて、それがNHKワールドで取り上げられている。首脳会談では話題には出なかったテーマだが、「ビジネスのGNH」は首相のこだわりの部分だった筈で、NHKはよくこのテーマを拾ってインタビューに持ち込んだと思う。ただ、首相も、日本の企業の中には社員の幸福度を大事にしている企業も多いんだよという事例をもう少し踏まえて話していただけたらよかったと思う。そういう情報発信が日本側から足りてないということの裏返しだと思って今後に向けた反省材料としたいが、ブータンの企業が社員の幸福度を大事にしているかという点では、大半の企業が及第点に達していないという現実もあったんじゃなかったでしょうか。

ブータン首相、日本に労働者の幸福度引き上げを求める
Bhutan PM calls on Japan to raise worker happiness
NHK World、2018年4月12日
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20180412_39/

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